ブログへの訪問をありがとうございます。
昨日は、日中役所にて事務作業をしたり所管課長に質問や意見交換を行っていたのですが、そんな中、長女より『〇〇(次男)が自転車乗れたよー♪』という報告をグループLINEにくれました。
曲がる動作もばっちりらしいです。
そんなわけで、帰宅する機会があれば交通ルールをたたき込もうと教えようと思ったワタクシ。
それにしても、15歳まで自転車に乗れなかった次男って・・・。
さて、防災シリーズも気が付けば5回目になりました。
ここまでお読みいただいている方、本当にありがとうございます。
あと1回で終わる予定なので、どうかあと少しの間、お付き合いいただけたら幸いです。
まず、これまでの内容を簡単に振り返ります。
第1回では、首都直下地震が発生した場合、江東区ではどのような被害が起きる可能性があるのか、できるだけリアルにイメージできるように書きました。
第2回では、南海トラフ巨大地震に富士山噴火による広域降灰が重なった場合、都市では『建物被害』だけでなく『都市機能停止』が生活継続に大きく影響する可能性について書きました。
第3回では、江東区地域防災計画や防災対策の現況資料を読みながら、論点はかなり丁寧に整理されている一方で、発災時の運用レベルではもう少し具体化できる余地があるのではないか、ということを書きました。
第4回では、その続きとして、江東区地域防災計画の実効性をさらに高めるため、『理念型計画』を『運用型計画に近づけていくための提案を書きました。
そして今回は、その続きとして要配慮者支援、特に福祉避難所の課題と、もう一つの可能性について書いてみたいと思います。
では、行ってみよー☆
【はじめに】
ここまでのブログでも何度か触れてきましたが、都市型災害において大きな課題になるのは『救助』だけではありません。
むしろ、救助の後に続く生活の継続の部分が、非常に大きな課題になります。
特に江東区のように、
・人口規模が大きい
・集合住宅率が高い
・高齢者人口が多い
・在宅介護を受けている方も多い
という都市では、災害時に『誰をどこに避難させるか』だけでなく、避難した後に、どう生活を支えるかという問題が非常に重要になります。
とりわけ大きなテーマになるのが、要支援者支援、つまり高齢者や障害者など、災害時に特別な支援を必要とする方々への支援です。
江東区でも、希望される方には個別避難計画の作成が進められていますし、福祉避難所の整備も進められています。
昨年度からは予算を付けて、本格的に個別避難計画作成整備に取り組んでいます。
ただ、資料を読み現場を想像してみると、もう一つ考えておく必要があるのではないかと感じたことがあります。
それは、『避難した後、誰が介護を担うのか』という問題です。
避難所に要介護者が来たとき、その方の生活を誰が支えるのか。
在宅介護が止まったとき、どこで介護を継続するのか。
この部分は、理念としては書かれていても、実際の運用を考えると、まだ整理できる余地があるのではないかと感じています。
もちろん、これは行政だけの問題ではありません。
介護事業所、地域、医療、福祉、そして行政が一緒に考えていく必要があるテーマです。
だからこそ今回は、『行政と一緒に防災力を高めるための提案』として、災害時の要配慮者支援のあり方、特に 地域分散型の介護支援体制 について書いてみたいと思います。
いつものことですが、私は防災の専門家ではありません。
だからこそ、資料を読み、現場を想像しながら、『どうしたらもう少し実効性のある仕組みにできるのか』という視点で考えています。
今回の内容も、ひとつの提案として読んでいただき、行政職員の皆さんや福祉関係者の皆さんと一緒に、より良い形を考えていけたら嬉しいです。
【福祉避難所の課題】
ここからは、福祉避難所について少し整理してみたいと思います。
まず前提として書いておきたいのですが、福祉避難所という仕組み自体は非常に重要です。
高齢者や障害のある方、医療的ケアが必要な方など、一般の避難所では生活が難しい方のための受け入れ先として、全国の自治体で整備が進められてきました。
江東区でも、福祉避難所の指定や協定締結が進められており、この取り組み自体は大変重要なものだと感じています。
ただ一方で、資料を読み、過去の災害事例などを見ていくと、福祉避難所にはいくつかの構造的な課題があることも見えてきます。
その課題を一言で言うと、『制度としては存在しているが、実際の運用が難しい場面が多い』という点です。
まず一つ目の課題は、開設までに時間がかかる可能性があることです。
福祉避難所の多くは、介護施設や学校などが指定されています。
しかし、これらの施設は災害時にすぐ避難所として機能するとは限りません。
施設自体が被災している可能性もありますし、職員が参集できない可能性もあります。
また、施設利用者の安全確保が最優先になるため、すぐに外部避難者を受け入れることが難しいケースも想定されます。
つまり、制度として『福祉避難所』が存在していても、発災直後からすぐ受け入れが可能とは限らないという現実があります。
二つ目の課題は、移送の問題です。
仮に福祉避難所が開設されたとしても、そこに誰がどうやって移動するのかという問題があります。
例えば、寝たきりの高齢者、車椅子利用者、医療機器を使用している方など、こうした方々を、道路状況が不安定な災害時に安全に搬送することは、決して簡単ではありません。
特に首都直下地震のような都市災害では、道路の段差、瓦礫、液状化、交通混乱などが発生する可能性があります。
そうなると、理論上は福祉避難所があっても、そこにたどり着けないというケースが出てくる可能性もあります。
三つ目の課題は、人材(介護従事者)確保の問題です。
福祉避難所では、単に場所を提供するだけではなく、介護、看護、生活支援といった専門的な支援が必要になります。
しかし、災害時には介護職や看護職も被災者です。
施設職員の多くが出勤できない可能性もありますし、通常の業務だけでも精一杯になる可能性があります。
そのため、福祉避難所を『場所』として確保することと、実際に『介護や医療を提供できる避難所として運営すること』は、実は全く別の課題になります。
そして四つ目の課題は、受け入れ人数の問題です。
福祉避難所の受け入れ人数は、一般避難所と比べて多くありません。
これは当然で、要配慮者支援には専門的なケアが必要だからです。
しかし都市部では、高齢者人口も多く、在宅介護を受けている方も多いです。
そのため、災害時には福祉的配慮が必要な方が想定以上に増える可能性があります。
つまり、福祉避難所だけで全てを受け止めることは難しいという現実があります。
ここまで読むと、福祉避難所の制度がうまく機能しないのではないか、と感じる方もいるかもしれません。
しかし、私はそういう意味で書いているわけではありません。
福祉避難所は、災害時に非常に重要な役割を持つ仕組みです。
ただし、その仕組みをより実効性のあるものにするためには、福祉避難所だけに依存しない支援の仕組みを同時に考えておく必要があるのではないか、ということです。
つまり、
・避難所に集約する支援
・地域の中で分散して支える支援
この両方を組み合わせて考える必要があるのではないかと思うのです。
特に江東区のように人口密度が高く、集合住宅が多い都市では『地域の中でどう支えるか』という視点が、これからますます重要になってくるのではないでしょうか。
【拠点避難所の課題】
ここまで福祉避難所の課題について書いてきましたが、では実際に災害が起きたとき、多くの要支援者がどこに避難することになるのかというと、現実的には 拠点避難所(学校避難所など) になります。
江東区の地域防災計画でも、個別避難計画の中では、基本的に要配慮者はまず 地域の拠点避難所に避難する ことが想定されています。
ここまでは制度として理解できますし、現実的な考え方でもあると思います。
しかし、その先を少し想像してみると、いくつかの課題が見えてきます。
まず、一つ目は、要支援者の移送方法が不安定な問題です。
災害が生じた際、支援を要する方々を自宅から避難所に移送支援するのは、災害協力隊の方々となっています。
・・・が、災害協力隊の方々は担い手不足や高齢化が課題となっており、さらに、介護の専門性を持った方がおられる可能性は決して高くはありません。
例えば、寝たきりの高齢者、車椅子利用者、医療機器を使用している方など、こうした方々を、道路状況が不安定な災害時に安全に搬送することは、決して簡単ではありません。
行政も、そのあたりは承知しており、『救助には全力で当たるが、必ず助けるという保証はない』という前提で、個別避難計画を整備していますが、この辺りは、平時から最大限移送を安全に行うための対策をいろいろな手段で考え、整備する必要があると感じています。
二つ目は、避難所の生活環境の問題です。
学校体育館などの避難所は、基本的に大人数を一時的に受け入れる場所です。
床にマットや段ボールベッドを敷いて生活する形になることが多く、トイレや水、空調なども限られています。
この環境は、健康な成人でも大きな負担になるため、要介護高齢者や障害のある方、持病のある方にとっては、かなり厳しい環境になる可能性があります。
例えば過去の災害では、
・トイレ環境の悪化による感染症
・長時間の床生活による健康悪化
・服薬管理の混乱
・認知症の症状悪化
などが問題になったことが報告されています。
つまり、拠点避難所は命を守る場所としては非常に重要ですが、介護や医療を必要とする方の生活環境としては、必ずしも十分とは言えない面があります。
だからこそ、非常時でハード面はどうしようもないにしても、介護体制だけでも整備する必要があると感じています。
三つ目の課題は、介護を担う人の問題です。
災害時、拠点避難所の運営は主に
・区職員
・災害協力隊
・地域住民
が担うことになります。
しかし、これらの方々は必ずしも介護や医療の専門職ではありません。
もちろん、地域の助け合いはとても大切ですし、善意による支援は災害時に大きな力になります。
ただ一方で、現実的に考えると、数十人、場合によっては数百人の要介護者を、善意だけで支えることができるのかという問題は残ります。
例えば、排泄介助、移動介助、食事介助、体位変換、服薬管理など、こうした支援は、専門知識や経験が必要な場合も多いです。
特に認知症の方や医療的ケアが必要な方の場合、対応の仕方を間違えると要支援者の安全に関わる可能性もあります。
四つ目は、避難所運営の負担の集中です。
災害時、避難所では様々な業務が発生します。
・避難者の受付
・物資管理
・トイレや衛生管理
・情報共有
・苦情対応
・安全管理
これだけでもかなりの業務量になります。
そこに加えて、介護や医療の支援が必要な方が多数いる場合、避難所運営の負担は一気に増える可能性があります。
特に江東区のように人口が多い地域では、一つの避難所に多くの人が集まることも想定されます。
そうなると、避難所運営と要配慮者支援の両方を同時に回すことが非常に難しくなる可能性は大いにあります。
もちろん、行政としてもこうした課題を認識していないわけではないと思います。
だからこそ福祉避難所の整備や個別避難計画の作成が進められているのだと思います。
ただ、先ほど書いたように、福祉避難所がすぐに機能するとは限らない以上、発災直後の拠点避難所における要配慮者支援は、どうしても避けて通れない問題になります。
そこで考える必要があるのが、地域の中にいる専門職の力をどう活かすかという視点です。
江東区には、多くの介護職や看護職、福祉職が暮らしています。
訪問介護、デイサービス、特別養護老人ホーム、病院など、日頃から地域の中で高齢者支援に関わっている専門職の方々がたくさんいます。
もし、こうした方々が災害時に、自宅から近い拠点避難所に集まり、可能な範囲で専門的支援を提供できる体制を作ることができれば、避難所の状況はかなり変わる可能性があります(場合によっては福祉避難所との連携も可能)。
もちろん、これは簡単な話ではありません。
勤務先の被災、家族の安全、交通状況など様々な課題があります。
しかし、地域の中にいる専門職が、『どこに行けばよいのか』『どんな役割を担うのか』が見えていれば、災害時の支援体制は今よりもずっと動きやすくなるのではないかと思うのです。
【地域分散型支援について】
ここまで、福祉避難所の課題、そして拠点避難所で起こり得る課題について書いてきました。
そのうえで、今回提案したいのが 地域分散型支援 という考え方です。
これは難しい制度の話ではありません。
一言で言えば、
地域に住んでいる介護・看護などの専門職が、災害時に自宅から近い拠点避難所に集まり、要配慮者支援を担う仕組み
です。
江東区には、多くの介護職、看護職、福祉職が生活しています。
訪問介護、訪問看護、デイサービス、特別養護老人ホーム、病院など、地域の中で日常的に高齢者や障害者の支援に関わっている専門職の方々が数多くいます。
しかし災害が起きた場合、交通障害や施設被災などの影響で、普段の勤務先に出勤できない可能性があります。
そうなると、地域の中に専門職がいるにもかかわらず、その力を十分に活かせないという状況が起きる可能性があります。
そこで、発想を少し変えてみます。
「勤務先に行けない」のであれば、「(介護看護従事者の)自宅から近い避難所で支援する」
という形にするのです。
例えば、
・区内在住の介護職
・区内在住の看護職
・福祉施設職員(福祉避難所職員は除く)
・ケアマネジャー
・訪問介護従事者
・訪問看護従事者
などが、災害時には自宅から最も近い拠点避難所に参集し、要配慮者支援のチームとして活動する体制をあらかじめ想定しておく。
もちろん、これは義務ではなく可能な範囲での協力を前提とした仕組みになります。
この体制を整えることで、いくつかの重要な効果が期待できます。
まず一つ目は区民の安全確保です。
拠点避難所に要介護者が避難してきた場合、専門職がいるだけで対応の質は大きく変わります。
善意による支援はとても大切ですが、専門職が加わることで、避難所の安全性は格段に高まります。
二つ目は、介護・看護従事者自身の安全確保です。
災害時、専門職の方々も被災者です。
遠くの施設に無理に出勤しようとして移動することは、危険を伴う場合もあります。
その点、自宅から近い避難所で活動する形であれば、
・長距離移動のリスクを減らす
・家族の安全を確認したうえで活動できる
・無理のない範囲で支援に参加できる
という形になり、専門職自身の安全も守りやすくなります。
三つ目は、行政運営の効率化です。
災害時、行政職員は膨大な業務を抱えます。
・避難所運営
・物資管理
・情報発信
・被害状況の把握
・関係機関との調整 etc
こうした業務だけでも非常に大きな負担になります。
そこに加えて、要配慮者支援まで行政職員や地域住民だけで担うことになると、避難所運営は非常に厳しいものになります。
しかし、専門職による支援体制があれば、介護支援、健康管理、福祉相談といった分野を専門職が担うことができ、行政職員は本来の行政業務に集中しやすくなります。
つまりこの仕組みは、区民の安全確保、専門職の安全確保、行政の効率化この3つを同時に支える仕組みでもあります。
もちろん、この体制を整えるためには、
・事前の名簿整理
・参集ルールの整理(協定締結含む)
・避難所内での役割分担
・専門職チームの連携方法
など、平時の準備が必要になります。
しかし、それらは大きな制度改革ではなく、既存の地域資源をどう活かすかという視点で整理できる部分でもあります。
江東区のように人口が多く、集合住宅も多く、要配慮者支援の重要性が高い都市では、避難所の支援体制を地域の力と専門職の力で補完していくことは、非常に現実的な選択肢ではないかと思います。
【江東区モデルとしてどう具体化できるのか】
では、この地域分散型支援という考え方を、実際に江東区の防災体制の中でどのように具体化していくことができるのでしょうか。
ここでは、既存の地域防災計画や制度を前提にしながら、比較的現実的に導入できる形を想定して書いてみたいと思います。
まず大前提として重要なのは、新しい大きな制度を一から作るという発想ではなく、既存の仕組みに専門職の動きを組み込むことです。
江東区にはすでに、
・地域防災計画
・個別避難計画
・拠点避難所
・災害協力隊
・福祉避難所
・地域包括支援センター
・介護事業所ネットワーク
といった様々な制度や地域資源があります。
つまり、防災の基盤そのものが存在しないわけではありません。
むしろ、すでにある仕組みの中に 「専門職がどう関わるか」 を整理することで、支援体制の実効性を高めることができるのではないかと思うのです(実際、昨年度から避難訓練に福祉事業所が参加するようになっています)。
具体的には、次のような形が考えられます。
まず一つ目は、区内在住の要支援者と介護・看護従事者の把握と協力体制の整理です。
個別避難計画を作成した要支援者が行くであろう拠点避難所と、区内在住介護看護職員の直近拠点避難所を地図上で表すことで、避難所の需要と供給の確認を行うことができます。
また、これは強制的な制度ではなく、あくまで任意協力を前提にした仕組みになりますが、例えば区内在住の介護職や看護職の方々に対して、災害時の地域支援に関する登録制度を設けることが考えられます。
その際に重要なのは、『どこに行けばよいのかを明確にすること』です。
例えば、自宅から最も近い拠点避難所を参集先とする
というルールをあらかじめ共有しておくことで、災害時の混乱を減らすことができます。
二つ目は、避難所内での役割整理です。
災害時の避難所では、行政職員や災害協力隊が中心となって運営が行われますが、その中に
・介護支援担当
・健康管理担当
・要配慮者相談担当
といった役割を設け、そこに専門職が入る形を想定しておくことが考えられます。
これにより、要配慮者の支援が個別対応になりすぎず、ある程度整理された形で行うことができます。
三つ目は、地域包括支援センターや介護事業所との連携(報酬含む)です。
平時から、地域包括支援センターや介護事業所は地域の高齢者支援の中心的な役割を担っています。
そのネットワークを災害時にも活かすことができれば、避難所での支援体制はかなり安定する可能性があります。
例えば、
・地域包括支援センターが専門職連携のハブになる
・介護事業所が職員参集の連絡窓口になる
・ケアマネジャーが要配慮者の情報共有に関わる
といった形で、各機関の江東区民在住率によっては、平時のネットワークをそのまま防災に活かすことも考えられます。
そしてもう一つ重要なのは、訓練による実効性の確認です。
制度を作るだけではなく、実際に避難所運営訓練などの中で、専門職がどのように関わるのかを試してみることで、課題も見えてくるはずです。
例えば、
・要配慮者の受け入れ動線
・介護スペースの確保
・医療相談の流れ
・情報共有の方法
など、実際にやってみて初めて分かる課題も多いと思います。
こうした準備を少しずつ積み重ねていくことで、江東区の避難所は『避難する場所』から、『生活を支える拠点』へと近づいていくのではないでしょうか。
ちなみに、この取り組みは、行政だけで完結するものではありません。
地域住民、専門職、福祉関係者、そして行政がそれぞれの立場から協力しながら作り上げていくことで、はじめて実効性のある仕組みになるのだと思います。
江東区の地域防災計画には、すでに多くの重要な論点が整理されています。
だからこそ、その内容をもう一歩現場に近づける形として、こうした地域分散型の支援体制を検討することには、一定の意味があるのではないかと私は感じています。
【最後に】
ここまで、福祉避難所の課題、拠点避難所の現実、そして地域分散型支援という考え方について書いてきました。
江東区の地域防災計画は多くの論点を丁寧に整理しており、防災行政として真剣に取り組んでいることは資料を読めば十分に伝わってきます。
そのうえで、もう一歩実効性を高めるために考えておきたいのが、『誰が現場で支援を担うのか』そして『その人たちをどう守るのか』という視点です。
災害時、拠点避難所では多くの業務が発生します。
こうした業務を円滑に進めるためには、行政職員が現場で重要な役割を担うことになりますが、ここで一つ整理しておく必要があると思います。
それは、行政職員は直接の介護支援の担い手ではないということです。
行政職員の役割は、拠点避難所の運営を安定させ、必要な資源を調整し、全体を管理することです。
つまり、現場の『支援を回す仕組み』を整えることが、本来の重要な役割になります。
もし行政職員が、避難所運営に加えて、要配慮者の介護支援まで直接担うことになれば、業務負担は一気に増え、避難所全体の管理が難しくなる可能性があります。
だからこそ、介護や医療などの専門的な支援については、地域の専門職と連携しながら支援体制を整えていくことが重要になります。
同時に、もう一つ大切なことがあります。
それは、現場で支援を担う人が疲弊しない仕組みを、平時から整えておくことです。
過去の災害でも、自治体職員が長期間にわたり過酷な業務を担い、大きな負担を抱える事例が報告されています。
また、介護職や看護職、地域住民など、支援を担う人たちが疲弊してしまうケースも少なくありません。
災害対応は短期間で終わるものではありません。
都市型災害では、生活支援が数週間から数ヶ月続く可能性もあります。
そのため、支援体制を考えるときには、誰が支援を受けるのかだけでなく、誰が支援を担うのか、そしてその人をどう守るのかという視点がとても重要になります。
私は、防災の本質の一つはここにあるのではないかと感じています。
区民を守ることはもちろん大切です。
しかし同時に、支援を担う人が守られていなければ、支援そのものが続きません。
特に介護や看護の分野では、介護する人の安全が担保されなければ、区民は必要な支援を受けることができないという現実があります。
だからこそ、今回書いた地域分散型支援の提案は、区民の安全、介護看護従事者の安全、行政職員の持続可能な業務体制、この三つを同時に守ることを目指すものでもあります。
災害時の支援は、行政だけで完結するものではありません。
地域、専門職、そして行政がそれぞれの役割を持ちながら協力してこそ、初めて実効性のある体制になります。
江東区の地域防災計画には、すでに多くの重要な視点が盛り込まれています。
だからこそ、その計画をさらに現場で動く形に近づけていくことが、これからの防災にとって大切な作業なのではないでしょうか。
私自身、防災についてはまだまだ学びの途中です。
ただ、資料を読み、現場を想像しながら、「どうすればより実効性のある仕組みになるのか」を考え続けることが、地域防災を前に進める一つの力になるのではないかと思っています。
今後も、行政の取り組みに敬意を持ちながら、現場を支える視点を大切に、防災について考えていきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事へのコメントはありません。