本日の要約
結論:都市型災害では「避難」だけでなく「生活維持」を軸に防災を考えることが重要。
理由:インフラ停止や医療・福祉の停滞により、生活機能そのものが失われるリスクが高いから。
何するか:地域・専門職・行政が連携し、在宅避難や分散型支援を含めた実効性ある仕組みを整える。
ブログへの訪問をありがとうございます!
さてさて・・・東日本大震災の日をきっかけに書き始めた防災シリーズですが、やっとやっと今回で最終回となります。
最初からお読みいただいている方には振り返りの部分はしつこく感じると思うため、飛ばしてお読みください。
そして、一人でも多くの方に、防災を考え備えの行動に繋がれることを願っております。
では、行ってみよー☆
【江東区の特徴と計画を振り返る】
ここまでのブログでは、首都直下地震や南海トラフ巨大地震などを想定しながら、江東区における災害リスクや地域防災計画の内容について整理してきました。
まず改めて確認しておきたいのは、江東区という地域の特徴です。
江東区は、東京湾に面したデルタ地帯に広がる都市であり、地盤が低く、河川や運河が多いという地理的特徴を持っています。
そのため、液状化や水害といったリスクが比較的高い地域でもあります。
さらに都市構造としては、
・人口約54万人
・集合住宅率約9割
・高齢者人口約11万人
・要介護認定者約2万人
という規模の都市であり、いわゆる『都市型災害』の影響を強く受けやすい地域でもあります。
災害と聞くと、建物倒壊や火災などの被害を想像する方が多いかもしれません。
もちろんそれらも重要なリスクではありますが、都市部ではそれに加えて、インフラ停止や物流の混乱、医療・介護サービスの停滞などによって生活そのものが維持できなくなる可能性が大きな問題になります。
特に江東区の場合、集合住宅が多く、在宅介護を受けている方も多いため、災害が発生した際には『避難すること』だけではなく、その後の生活をどう維持するのかという課題が非常に大きくなります。
こうした地域特性を踏まえて、江東区では地域防災計画が策定され、防災対策の現況資料なども整備されています。
実際にこれらの資料を読んでみると、江東区の防災計画は、決して表面的なものではなく、かなり幅広い論点を丁寧に整理している計画であることが分かります。
震災対策、水害対策、避難所運営、在宅避難、マンション防災、要配慮者支援、帰宅困難者対策、受援応援体制など、都市型災害に必要とされる多くのテーマが計画の中に位置付けられています。
また、防災対策の現況資料を見ると、区として現在の課題も把握しながら、段階的に対策を進めようとしていることが読み取れます。
例えば、個別避難計画の作成、福祉避難所の整備、マンション防災の推進、在宅避難の支援、受援体制の強化といった取り組みは、都市型災害において非常に重要なテーマです。
つまり、江東区の防災行政は、多くの課題を認識しながら、防災体制の整備に着実に取り組んでいる自治体だと言えると思います。
その一方で、資料を読みながら現場を想像してみると、もう一歩踏み込んで考えておく必要があるのではないかと感じる部分も見えてきます。
それは、計画の内容そのものではなく、『運用』の部分です。
地域防災計画は、理念や方向性を示すという意味では非常に重要な役割を持っています。
しかし実際の災害現場では、『誰が』『どのタイミングで』『どの手順で』『どの資源を使って』『どこまで判断するのか』といった運用レベルの判断が、非常に大きな意味を持ちます。
特に都市型災害では、避難所運営、要配慮者支援、物資管理、情報発信など、多くの業務が同時に発生するため、現場の判断負担は非常に大きくなります。
そのため、計画を理念として整えるだけでなく、現場で実際に動かせる形へと少しずつ具体化していくことが、これからの防災において重要になってくるのではないかと思います。
江東区は、人口規模が大きく、都市構造も複雑であり、首都直下地震や水害など複数の災害リスクを抱える地域です。
だからこそ、防災計画を基本方針として整備するだけでなく、『現場で実際に機能する仕組み』として育てていくことが、これからの地域防災の大きなテーマになるのではないでしょうか。
ここまでが、これまでのブログを通して見えてきた江東区の特徴と、防災計画の振り返りです。
そして次に考える必要があるのが、都市型災害の本質は何か、という視点です。
【都市型災害の本質は生活維持】
ここまでの内容を踏まえて、改めて考えてみたいのが、都市型災害の本質とは何かという点です。
災害というと、多くの人がまず思い浮かべるのは、建物の倒壊や火災、津波などの被害ではないでしょうか。
もちろん、こうした被害は非常に深刻であり、命に直結する問題です。
しかし都市部の災害を考えるとき、それと同じくらい重要になるのが『生活の継続』という視点です。
都市では人口密度が高く、社会インフラや物流、医療、福祉など、多くの仕組みが密接につながりながら生活が成り立っています。
そのため、災害によってこれらの仕組みの一部が止まると、連鎖的に生活機能が失われていく可能性があります。
例えば、電気や水道などのライフラインの停止、交通機関の混乱、物流の停滞による食料や生活物資の不足、医療機関や介護サービスの機能低下といった状況が重なると、建物が無事であっても生活そのものが維持できなくなる可能性があります。
特に都市部では、この『生活機能の停止』が長期化するリスクが大きいと考えられています。
実際、過去の大規模災害でも、救助活動が一段落した後に、生活環境の悪化による健康被害や災害関連死が大きな問題になりました。
例えば、避難所生活の長期化による体調悪化、トイレ環境の悪化による感染症、服薬管理の混乱、慢性疾患の悪化、在宅介護の継続困難など、生活環境の問題が積み重なることで、命に関わる状況が生まれることがあります。
つまり、都市型災害においては『命を守る救助』と同時に、『生活を守る支援』が非常に重要になるということです。
特に江東区のように人口規模が大きく、高齢者や要介護者も多い地域では、この視点がさらに重要になります。
高齢者の方や持病を抱える方、障害のある方などにとって、生活環境の変化は健康状態に大きく影響します。
また、在宅介護を受けている方の場合、訪問介護や訪問看護などのサービスが止まると、自宅での生活そのものが難しくなる可能性もあります。
このような状況を考えると、都市型防災の中心的な課題は、『避難させることだけ』ではなく、その後の生活をどう維持するかという点にあると言えるのではないでしょうか。
言い換えれば、都市型災害では、救助の後に続く生活支援こそが、本当の意味での防災力を左右するという側面があります。
もちろん、行政だけですべての生活支援を担うことは現実的ではありません。
都市では、地域住民、専門職、民間事業者など、多くの主体が関わりながら生活が支えられています。
そのため災害時にも、地域住民の助け合い、医療や福祉の専門職の力、民間企業の物流やサービス、行政の調整機能、といった様々な力を組み合わせながら生活を支えていく必要があります。
そしてそのためには、平時から『誰がどの役割を担うのか』『どの資源をどう活かすのか』『どの段階で支援を動かすのか』といったことを整理しておくことが重要になります。
都市型防災の課題は、単に災害そのものにどう対応するかというだけではありません。
その後の生活をどう守るのかという視点を持つことで、防災のあり方も少し変わってくるのではないかと思います。
特に江東区のような都市では、人口規模の大きさや高齢化の進行、集合住宅の多さなどを考えると、『生活維持』という視点を防災の中心に据えることが、これからますます重要になってくるのではないでしょうか。
そしてこの視点に立ったとき、次に考えるべきなのが、都市型災害に備える具体的な地域モデルです。
次の章では、ここまでの内容を踏まえながら、『都市型災害に備える江東区モデル』という視点で、いくつかの提案を整理してみたいと思います。
【都市型災害に備える江東区モデルの提案】
ここまで、江東区の地域特性と地域防災計画の整理、そして都市型災害の本質が『生活維持』にあるのではないかという点について書いてきました。
では、こうした前提を踏まえたとき、江東区の防災はどのような方向を目指していくべきなのでしょうか。
私は、江東区の都市構造や人口規模を考えると、防災の中心に置くべき考え方は『生活維持型防災』ではないかと思っています。
具体的には、72時間行動計画運用レベルの落とし込み、防災アプリのQ&Aや在宅避難者の把握、専門職の参集ルール、分散型支援などです。
これは、従来の『避難中心の防災』を否定するものではありません。
命を守る避難は、当然ながら最優先の対応です。
しかし都市では、避難そのものがゴールではありません。
避難した後に、どのように生活を維持していくのかという視点がなければ、防災は十分に機能しない可能性があります。
その意味で、江東区の防災をさらに実効性のあるものにしていくためには、次の三つの視点が重要ではないかと考えています。
一つ目は、『在宅避難を前提とした生活支援』です。
都市型災害では、すべての住民が避難所に移動することは現実的ではありません。
特に集合住宅が多い江東区では、建物自体が安全であれば、自宅で生活を継続する『在宅避難』が重要な選択肢になります。
そのため、防災の考え方としては、避難所に集約する支援と在宅避難を支える支援、この二つをバランスよく整備していくことが重要になります。
例えば、情報発信、防災アプリの活用、物資供給の仕組み、地域の支援ネットワークなどを通じて、在宅避難者が孤立しない仕組みを整えていくことが、防災力の向上につながるのではないでしょうか。
二つ目は、『避難所を生活支援拠点として機能させること』です。
避難所は単なる一時的な避難場所ではなく、災害時の生活を支える拠点でもあります。
しかし現実には、避難所運営には多くの業務があり、行政職員や地域住民だけで全てを担うことは容易ではありません。
そこで重要になるのが、地域にいる様々な専門職の力を活かすという視点です。
江東区には、介護職、看護職、福祉職など、地域の中で生活支援に関わっている専門職が数多く暮らしています。
こうした方々が、可能な範囲で避難所の支援に関わることができれば、要配慮者支援、健康管理、福祉相談といった分野で、避難所の機能を大きく高めることができる可能性があります。
これは行政の負担を減らすという意味だけではなく、支援の質を高めるという意味でも重要な視点だと思います。
三つ目は、『地域資源を活かした分散型支援』です。
都市の強みは、多様な人材や資源が地域の中に存在していることです。
医療機関、介護事業所、福祉施設、地域包括支援センター、民間企業、地域団体など、平時から地域を支えている様々な主体があります。
こうした地域資源を災害時にも活かすことができれば、防災体制はより柔軟で強いものになります。
そのためには、
・専門職の参集ルール
・地域資源の連携方法
・避難所内の役割分担
・訓練による実効性の確認
といった点を、平時から少しずつ整理していくことが重要になります。
江東区の地域防災計画には、すでに多くの重要な視点が盛り込まれています。
だからこそ、これからの防災は、新しい制度を一から作ることよりも、すでにある仕組みをどう運用していくかという段階に入っているのではないかと思います。
都市型災害に備える江東区モデルとは、特別な仕組みを作ることではなく、地域の力、専門職の力、行政の調整力を組み合わせながら、生活を支える防災体制を作っていくことなのではないでしょうか。
そしてその積み重ねが、結果として江東区の防災力をさらに高めていくことにつながるのではないかと感じています。
【区民の安全安心を最大限守るために】
ここまで、江東区の地域特性や地域防災計画の整理、そして都市型災害における生活維持という視点について書いてきました。
では、そのうえで改めて考えたいのが、『区民の安全安心を最大限守るためには何が必要なのか』という点です。
防災というと、どうしても行政の役割に注目が集まりがちです。
もちろん、災害時に行政が果たす役割は非常に大きく、避難所運営、物資供給、情報発信、関係機関との調整など、多くの重要な業務を担うことになります。
しかし同時に、防災は行政の取り組みを基盤としつつ、地域や専門職、民間の力と重なり合うことで、より実効性を高めていくものだと思います。
都市では、地域住民、医療や福祉の専門職、民間事業者、地域団体など、さまざまな主体が関わりながら生活が成り立っています。
そのため、災害時にもこうした地域の力を活かしながら支援体制を作っていくことが重要になります。
特に都市型災害では、行政の対応だけで全てを支えることは現実的ではありません。
人口規模の大きい都市では、災害時に膨大な数の避難者や在宅避難者が発生する可能性があります。
そのため、防災の基本的な考え方としては、行政の取り組みを土台としながら、地域全体で支える防災という視点が重要になります。
もちろん、地域の助け合いという言葉だけで課題が解決するわけではありません。
災害時には、多くの人が被災者でもあります。
そのため、無理な負担を前提とした支援体制では、長期的に持続することは難しくなります。
だからこそ大切なのは、誰か一人の負担に頼るのではなく、それぞれの立場でできることを少しずつ持ち寄る仕組みを平時から整えておくことだと思います。
例えば、区民一人ひとりが防災への意識を持つこと、地域のつながりを少しずつ育てていくこと、専門職が地域の中で役割を果たせる仕組みを作ること、行政がそれらを調整し支えること、こうした積み重ねが、結果として地域全体の防災力を高めていくことにつながるのではないでしょうか。
また、防災を考えるうえで忘れてはならないのが、支援を担う人たちを守るという視点です。
災害時には、行政職員、医療従事者、介護職、地域住民など、多くの人が支援の担い手になります。
しかし、その人たちが過度に疲弊してしまえば、支援そのものが継続できなくなってしまいます。
だからこそ、防災を考えるときには、『誰が支援を受けるのか』だけでなく、『誰が支援を担うのか』、そして『その人たちをどう守るのか』という視点を持つことがとても重要になります。
区民の安全安心を守るということは、単に災害から命を守ることだけではありません。
災害後の生活をどう支えるのか、そして支援を担う人たちが無理なく活動できる環境をどう整えるのか。
こうした視点を持ちながら、地域全体で防災を考えていくことが、これからの都市防災にとって大切なことなのではないかと思います。
そしてその積み重ねが、江東区という都市の防災力を、より強く、より持続可能なものにしていくのではないでしょうか。
【最後に~全6回のまとめと行政への期待~】
ここまで全6回にわたって、防災について書いてきました。
最初は、首都直下地震や南海トラフ地震、富士山噴火といったシミュレーションを通じて、災害を『リアルに想像すること』から始めました。
災害は、日常生活の中ではなかなか実感しにくいものですが、具体的なイメージを持つことが、防災を自分事として考える最初の一歩になると思ったからです。
そのうえで、江東区の地域特性や地域防災計画、防災対策の現況資料などを読みながら、江東区の防災体制について整理してきました。
改めて感じたのは、江東区の地域防災計画は、多くの論点を丁寧に整理している計画であるということです。
在宅避難、マンション防災、要配慮者支援、福祉避難所、受援体制、複合災害への対応など、都市型災害に必要な多くのテーマがすでに計画の中に位置付けられています。
その意味で、江東区の防災は『何もない状態』から始める必要はなく、すでに多くの基盤が整っていると言えるのではないかと思います。
だからこそ、今回のブログで私が考えたのは、『新しい制度を作ること』ではなく、すでにある計画や仕組みを、いかに現場で動く形に近づけていくかという視点でした。
都市型災害では、避難だけでなく生活維持が大きな課題になります。
避難所運営、在宅避難、要配慮者支援、医療や介護の継続など、さまざまな課題が同時に発生します。
そのため、防災の実効性を高めていくためには、平時から役割分担を整理すること、地域の資源を見える化すること、専門職との連携を深めること、現場職員が動きやすい仕組みを整えること、といった取り組みを、少しずつ積み重ねていくことが重要ではないかと思います。
そしてもう一つ、今回のブログを通じて強く感じたのは、防災は行政だけで完結するものではないということです。
都市では、地域住民、医療や福祉の専門職、民間企業、地域団体など、多くの人たちが関わりながら社会が成り立っています。
災害時にも、こうした地域の力が重なり合うことで、初めて支援体制が機能していくのだと思います。
だからこそ、防災を考えるときには、『行政がすべてを担う防災ではなく地域全体で支える防災』という視点がとても重要になります。
その中で、行政の役割は非常に大きなものです。
行政は、地域全体の防災体制を調整し、必要な資源をつなぎ、支援の仕組みを整える中心的な役割を担っています。
同時に、災害時には行政職員の皆さんが最前線で対応にあたることになります。
過去の災害では、自治体職員が長期間にわたって過酷な業務を担い、大きな負担を抱える事例も数多く報告されています。
だからこそ、防災を考えるときには、区民を守ることと同時に、行政職員が過度に疲弊しない仕組みを整えることも、とても重要な視点になるのではないかと思います。
そして、現場を支える視点から、防災の実効性をさらに高めていくための提案を考えてみたいと思ったのです。
職員が迷わず動ける計画。
負担が一点に集中しない体制。
地域の力や専門職の力を活かした支援の仕組み。
こうした環境が整うことで、災害時の行政対応はより安定したものになるはずです。
そしてそれは、結果として区民の安全安心につながっていくのではないでしょうか。
防災は、一度整えれば終わりというものではありません。
社会環境や人口構造が変化する中で、少しずつ見直し、改善し続けていく必要があります。
江東区は、人口規模も大きく、都市構造も複雑で、首都直下地震や水害などさまざまなリスクを抱える地域です。
だからこそ、防災について考え続けること自体が、地域を守る力になるのではないかと思います。
そして、すでに整えられている計画や仕組みを、現場でより機能する形へ近づけていくことこそが、これからの江東区防災にとって重要な段階なのではないでしょうか。
・・・と、ここまで資料を読み現場を想像しながら考えたことを書いてきましたが、、私自身、防災についてはまだまだ学びの途中です。
それでも、資料を読み、現場を想像しながら、『どうすればもう少し実効性のある仕組みにできるのか』を考え続けることは、決して無駄ではないと思っています。
これからも、行政の取り組みに敬意を持ちながら、地域防災について考え続けていきたいと思います。
そして、このブログが、小さくても区民の皆さんが防災について考えるきっかけになれば、とても嬉しく思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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