防災について③~計画分析編~

本日の要約

結論:江東区の防災計画は論点は揃っているが、現場で動くための運用具体性が不足している。

理由:指揮系統・役割分担・要配慮者支援・在宅避難支援などが抽象的で、実行段階の設計が弱いため。

何するか:計画を「理念型」から「運用型」へ転換し、現場で動く体制・責任・手順を具体化する。

ブログへの訪問をありがとうございます!

今日は、午後から本会議があり、令和7年度補正予算が可決されました。

議会の中で他会派の賛成反対討論を聴きながら、多様な視点からの貴重な意見を学び、もっと精進して取り組もうと決めたワタクシ。

はい、頑張ります。

 

そうそう!

私事ですが、今朝、次男より『高校受かったよー』と連絡を受けました。

『制服はお兄ちゃんのところよりカッコいいんだよー』と、どこまでも緊張感がなくお気楽な次男。

うん、君はどんな環境でもしなやかに生きていけるだろうね・・・なんて思いながら、おめでとうを伝えました。

 

さて、今日は、防災の3回目ということで、江東区地域防災計画について書きます。

毎回感じるのですが、江東区の計画って本当に丁寧に作成されています。

この地域防災計画においても、幅広い分野を網羅し、防災行政の基本方針として一定の整理がなされています。

危機管理室職員の皆さんも、毎年、アップデートする形で避難訓練や様々な対策に取り組んでおられます。

・・・という前置きの上、『さらなる期待を込めて』現状の計画に対して提案したいことを書きます。

とはいえ、私自身、防災という分野は門外漢であり、計画書だって7回くらいしか読んでいないし、防災関連専門サイトや論文もすべてに目を通しているわけではないので、『あぁ、福祉専門職とはいえ防災において素人目線ではこんな感じなのね』という感じでお読みいただけたら幸いです。

あ、ちなみに、今回は過去最長で10,000字を超えています・・・。

では、行ってみよー☆

 

【江東区地域防災計画等について】

今回、防災計画を考えるにあたっては、2つの資料を読み返しました(青地をクリックしてください)。

① 江東区地域防災計画 令和6年度修正( 計画編 )

② 江東区地域防災計画 令和6年度修正(資料編その1:図表等)

③ 江東区地域防災計画 令和6年度修正(資料編その2:関係法令・協定等)

④ 江東区防災対策の現況について(令和7年度)

これね、何がすごいって『ボリューム(厚さ)』がすごいんです。

計画だけでも、バスタオルを巻いたらちょっとした枕になるくらいの厚みです。

が!!!あえて書きますが、この『ボリューム』が私は悩ましさを感じてしまうのです。

なんとなく整っているように見えてしまうというか、前書きに書いた通り、これらの計画は幅広い分野を網羅し、防災行政の基本方針として一定の整理がなされていますが、何度読んでもイメージが湧かない。

つまり、誰が、どのタイミングで、どのような手順で、どの資源を使って、誰の責任で実行するかという『具体性がない』んです。

これは致命傷だと私は感じています。

そんなわけで、①と④について、これから弱点を書いていきます。

あ、あくまでも門外漢の私の独断と偏見が入っているため、皆さまも計画等を読んでいただき、それぞれ課題を洗い出していただけたらと思います。

※しつこいですが、危機管理室職員の皆さまは、少ない職員であるにも関わらず、膨大な課題に対し真摯に取り組んでおられます。今回は、簡潔に書くためかなり辛辣に感じるかもしれませんが、決して行政批判ではないこと、職員に対するリスペクトを持ったうえ期待を込めて書いていることをご了承ください。

 

【計画と現況に対する評価】

計画としての守備範囲は広いのに、発災直後に『誰が・どの優先順位で・どの資源を使って・どの判断基準で動くか』の解像度が薄い部分が多いです。

計画編は509ページと大部で、総則から予防、応急、復旧、東海地震事前対策まで網羅していますが、その分、現場で必要な『運用の詰め』が本文では抽象化されやすい構造です。

特にそう感じるのは、計画自体が広く『在宅避難の推進』『受援応援体制の強化』『民間団体との協定締結の推進』『複合災害への留意』などを掲げている一方で、2025年の『防災対策の現況について』でも、今後の重点として『個別避難計画の作成推進』『福祉避難所の役割明確化と実効性確保』『一時滞在施設開設時の連携方策の具体化』『物流受入・搬送体制の確立』などが並んでいます。逆に言えば、そこはまだ“これから具体化する領域”だと区自身が認めているとも読めます。

実際、来年度予算には、受援応援策定計画策定に関する予算新設や、協定機関との分科会設立、災害協力隊や避難所リーダーに関する予算の拡大が入ったりと、具体的に動く予定となっており、来年度以降に期待しています。

 

以下、計画と現況から読み取れたリスク面を、できるだけ具体的に挙げます。

1. 計画の前提が「地域が動く」ことに大きく依存している

計画では、学校避難所運営協力本部を『施設』『区派遣職員』『災害協力隊』『ボランティア』が相互調整して運営するとしています(この表現がすでに曖昧)。

また災害協力隊は331隊ある一方で、自主防災組織の高齢化や担い手不足が課題だと明記されています。

つまり制度上は地域が回す前提ですが、実際には地域差と担い手不足で、同じ計画が地域ごとに全く違う結果になるリスクが大きいです。

 

2. 要配慮者支援が「名簿・計画はある」が「初動で実行できるか」は別問題

計画では、個別避難計画は災害協力隊など地域団体が中心となって進め、対象化から概ね5年以内の完成を目指すとしています。

これは制度設計としては理解できますが、裏を返すと、初動の避難支援が地域団体の実働力にかなり依存しているということです。

名簿や計画が存在しても、震災時に搬送者・担架・階段介助・連絡手段・受入先が動かなければ、紙の計画で終わるリスクがあります。

 

3. 福祉避難所の位置づけがまだ“受け皿”寄りで、初動の介護空白が残る

計画では福祉避難所を『自宅や避難所での生活が困難で、介護などのサービスを必要とする高齢者や障害者等のための施設』としています。

一方、現況資料では今後の重点として『福祉避難所の役割の明確化や運営体制の支援、施設拡充など開設の実効性の確保』を掲げています。

これはつまり、福祉避難所の実効性がまだ詰め切れていないということです。

特に一般避難所に到着した要介護者を誰がどの時点で振り分け、誰が介護し、何日以内に福祉避難所や別施設に移すのかが曖昧だと、初動数日で大きな空白が出ます。

 

4. 避難所運営の司令塔が複数主体で、責任分界が曖昧になりやすい

学校避難所運営協力本部は、施設・区派遣職員・災害協力隊・ボランティアが相互調整するとされています。

平時の理屈としてはよいのですが、発災直後は相互調整型ほど意思決定が遅くなることがあります。

誰が最終判断者か、区職員不在時は誰が代行するか、要配慮者対応・物資配分・入退所管理・学校再開との調整を誰がしきるかが現場で曖昧だと、運営は止まりやすいです。

 

5. 在宅避難を強く打ち出しているが、在宅避難者支援のオペレーションが弱い

計画は『在宅避難・日常備蓄の推進』を掲げ、マンションでも安全確認ができれば在宅避難になるとしています。

現況資料でも『在宅避難者など避難所以外への避難者に対する支援の推進』が重点化されています。

つまり方向性は正しいのですが、在宅避難者をどう把握し、誰が継続支援し、どこまで物資・医療・介護を届けるかの現場運用がまだ弱いです。

江東区のように集合住宅率が高い地域では、避難所だけでなく在宅避難者の把握失敗が大きな災害関連死リスクになります。

 

6. マンション防災を重視しているが、高層・集合住宅の“縦の孤立”対策が足りない

計画はマンション防災の啓発、管理組合支援、資器材支援を掲げています。

現況資料でもマンション対策としてエレベーターの早期復旧、管理組合の防災対策推進を置いています(ここは問題意識としては正しい)。

ただ、江東区の実態を考えると、上層階の要介護者・在宅医療者・寝たきり高齢者をどう支えるかは、啓発だけでは足りません。

エレベーター停止時の搬送力、飲料水運搬、排泄支援、介護職の到達ルートまで運用化しないと、計画は現場で空文化しやすいです。

 

7. 受援応援は方針があるが、受け皿の具体が不足しやすい

計画では『受援応援体制の強化』を掲げ、海上保安庁等への直接要請の例もあります。

現況資料でも物流・輸送対策として『国のプッシュ型支援や都からの支援物資の受入・搬送体制の確立』を重点にしています。

つまり支援を受ける考え方はありますが、実務ではどこに荷を下ろすか、誰が仕分けるか、どの車列を優先するか、どの避難所・在宅避難者にどう配るかで詰まります。

受援は“要請”より“受ける能力”が本丸なので、ここが弱いと応援が来ても使い切れません。

ただし、ここは来年度計画策定を行う予定なため期待しています。

 

8. 帰宅困難者対策はあるが、住民避難との競合リスクが高い

計画では一時滞在施設を最長3日運営の標準とし、帰宅困難者の概念や施設例も整理しています。

現況資料でも一時滞在施設の確保や開設時の連携方策の具体化が重点です。

ただ、江東区では有明・青海などで帰宅困難者受入れが想定される一方、住民避難、要配慮者支援、物流導線、学校避難所運営と人・施設・交通が競合するリスクが大きいです。

紙の上で帰宅困難者対策と住民避難対策が並んでいても、現場では同時に回らない可能性があります。

 

9. 複合災害への言及はあるが、降灰・長期広域停滞レベルの運用想定は薄い

計画は複合災害への留意として、先発災害から後発災害へのシームレス対応、避難の長期化に伴う災害関連死抑止などを掲げています。

方向としては正しいと思いますが、南海トラフ後の降灰、広域物流停滞、長期在宅継続困難、介護サービス停止のような首都圏特有の長期都市機能低下シナリオまでは、運用レベルで落ちていない印象です(ここは今後の大きな弱点)。

 

10. 協定依存の箇所が多く、協定が機能しない時の代替設計が見えにくい

計画には民間団体との協定締結推進や、津波時に協定・覚書を結んだ企業施設や集合住宅への避難誘導などが出てきます。

これは重要ですが、協定は締結と実動が別です。

相手側のBCP、人員参集、鍵管理、開設判断、保険・責任、夜間対応が機能しなければ、協定施設は使えません。

協定先が動かなかった場合の第二案・第三案まで見える構造になっていないと危ないです。

 

11. 災害協力隊の数はあるが、質と継続性のばらつきを前提にした設計が薄い

331隊あること自体は大きいです。

しかし計画自身が高齢化と担い手不足を課題と認めています(ここで怖いのは、数をもって実効性と誤認すること)。

隊数が多くても、訓練頻度、年齢構成、夜間参集率、女性参加、マンション型コミュニティへの浸透、要配慮者対応能力は地域差が大きいはずです。

計画本文だけだと、そこまでの質的差を吸収する運用が弱く見えます。

 

12. 「避難所は足りない」前提に対する設計がまだ十分に現実化されていない

計画は在宅避難や分散避難を推進していますが、江東区の人口規模と集合住宅比率を考えると、避難所は足りない前提で、在宅・マンション・自主避難・福祉避難所・一時滞在施設を一体で回す設計が必要です。

現況資料が『在宅避難支援』『マンション防災』『福祉避難所の実効性確保』を重点に置いているのは、裏返すとそこがまだ十分ではないからです。

 

13. 「啓発」は多いが「強制力ある準備」が少ない

在宅避難、マンション防災、日常備蓄、地域共助など、計画には啓発や支援の文言が多いです。

これは行政計画として自然ですが、リスクとしては、住民・管理組合・事業者の準備水準が上がらないまま、やったことになりやすいことです。

特にマンションは管理組合の力量差が大きく、啓発だけでは排水・電源・要配慮者支援・備蓄は揃いません。

 

14. 災害関連死リスクの中心が“避難所外”にあるのに、まだ避難所中心の読みに偏りやすい

計画自体は在宅避難も触れていますが、全体の読み味としては、どうしても拠点避難所、学校避難所運営協力本部、福祉避難所といった施設側の構造が中心です。

江東区では実際には、在宅避難者、集合住宅上層階、要介護者、地域から切れた単身高齢者の方が危険になりやすいのに、そこへの継続支援の細かな仕組みがまだ弱いです。

 

15. 計画の弱点は“理念不足”ではなく“運用の最終1メートル不足”

ここが一番大きいです。

計画には必要な論点はかなり入っています。

要配慮者、福祉避難所、在宅避難、マンション防災、物流、帰宅困難者、受援応援、複合災害まで触れています。

問題は、実際に現場で誰が走るか、誰が鍵を開けるか、誰が名簿を持つか、誰が優先順位を切るか、誰が介護するか、誰が在宅避難者を拾うかの最後の1メートルです。そこが弱いから、読んだときに『これではいざという時に誰も動けない』と感じやすいのだと思います。

 

・・・という具体的評価を踏まえ、私の全体評価を一言で言うと、『江東区の地域防災計画は、論点の棚卸しとしては広いが、都市型・高齢化・集合住宅型災害に必要な“実装の密度”がまだ足りない』です。

江東区の計画は、考えていないわけではありません。

ただ、今の段階では『まだ考えてある計画』であって、『現場が動ける計画』にはなり切っていませんということが悩ましさとなります。

とはいえ、私自身、以前のブログで『計画を盤石なものにするためのゴールは2030年』と書きましたが、江東区防災対策の現状でも同様に『2030年度までに、首都直下地震等による人的物的被害を概ね半減させることを目標』としています。

今後の取り組みに期待ですね☆

 

【計画の弱点は・・・】

続いて、またしても厳しいコメントとなりますが、計画の弱点を書きます。

これを書く意図としては、弱点を知ることで反転させながら強みに変えていってほしいという期待です。

1 最大の弱点:計画はあるが運用主体が存在しない

江東区の防災計画は非常にボリュームがあります。

しかし実際には、誰が現場で指揮をとるのかがほとんど書かれていません。

具体的に書くと、少なくとも私の気づいただけで、避難所運営、要配慮者搬送、物資管理、介護支援はすべて『関係機関と連携』と書かれています。

しかし、現場では“連携”では動きません

現場は必ず、指揮官、実行部隊が必要です。

この部分が非常に弱いです。

 

行政職員の実務能力前提が高すぎる

計画を読むと、職員が、状況判断、優先順位決定、調整を行う前提になっています。

しかし現実は、係長以下が窓口、マニュアル依存、現場経験不足な感が否めません。

つまり、現場の能力と計画の想定が一致していないのです。

私は、災害時だからこそマニュアルをしっかり作成しないと、『職員がつぶれる』と感じており、かなり危機感を持っています。

ちなみに、サラッと書いているように読めるかもしれませんが、『職員がつぶれる』ということは『行政機関が停止しすべての機能がストップする』ことに繋がるため、私はかなり深刻な状況と捉えています。

 

3 地域力に依存しすぎている

計画では、『共助』がかなり強調されています。

具体的には、町会・自治会、災害協力隊、自主防災組織です。

しかし江東区は、町会加入率約53%、さらに、高齢化、担い手不足、タワマン増加と地域力が弱くなっている都市です(これは都心の特徴)。

それなのに計画は、昭和型コミュニティを前提にしています。

これはかなり大きな構造矛盾です。

 

4 避難所運営の現実を想定していない

江東区の避難所は69か所、人口約54万人超。

単純計算すると、1避難所数千人になります(実際は在宅避難者がいるにしてもMax想定は必須です)。

しかし計画では、介護、医療、トイレ、物資管理の運営体制がほぼ書かれていません。

つまり実際の運営モデルがない。

 

5 要配慮者対策が理念止まり

要配慮者対策は、個別避難計画や福祉避難所が書かれています。

しかし、現場で一番大事な搬送がほぼ書かれていません。

例えば、寝たきり、車椅子、認知症の方を誰が拠点避難所まで運ぶのかです(その際に薬やお薬手帳など必須携帯品についても書かれていない)。

ここが計画の最大の空白です。

これは本当に重要な問題です。

 

6 長期災害を想定していない

計画の多くは72時間想定です。

しかし実際には、都市災害では、物流、医療、介護、廃棄物などが、数週間〜数ヶ月影響を受けます。

特に私が先日のブログに書いた南海トラフ、富士山噴火による降灰などは完全に計画外です。

 

何度も読み返して気づいたことを書いてみましたが、皆さまは地域防災計画を読んで、どのように感じたでしょうか?

また、防災に対する提案をする中、私自身福祉業界で働いていたから福祉視点に重きを置いてしまったのかなぁと思っていたのですが、日本の自治体防災の最大の弱点は『福祉』だということは、様々な災害に関する論文で読んで気のせいではないことを知りました。

・・・というのも、日本の防災は『消防モデル』となっており救助中心です。

しかしこれからの都市災害は生活維持であり、そういう意味では、今年度私を防災まちづくり特別委員会に指名してくれた幹事長に感謝です(二瓶さんありがとうございます!)。

 

【現況資料から見える弱点は・・・】

続いて、政策・実務視点でまとめられた『江東区防災対策の現況について(2025)』から見ていきます。

この資料は、江東区地域防災計画の前提となる、被害想定、地域特性、防災対策の現状を整理した説明資料です。

資料のポイントは下記のとおりです。

① 江東区は低地デルタ地帯で災害リスクが高い

② 首都直下地震では震度6強以上がほぼ全域

③ 液状化・水害が大きなリスク

④ 情報伝達や地域防災力が重要

一方で課題として、液状化リスク、水害リスク、都市機能停止、情報伝達、共助の維持などが書かれています。

 

そして、この資料(江東区防災対策の現況)を政策の視点で読むと、一番弱い部分はかなりはっきりしています。

それは、『被害想定は詳しいが、被害が起きた後の“運用モデル”がほとんどない』です。

もう少し具体的に説明しますね。

1 被害想定は非常に詳しいが『何をするか』が弱い

資料には、地形(江東デルタ)、震度分布、液状化、水害、建物被害、ライフラインなど『何が起きるか』はかなり整理されています。

一方で、災害後に『どうやって生活を維持するか』の部分はほとんど書かれていません。

つまり運用レベルの詳細が書かれておらず、これが最初に私が書いた『具体性がない』に繋がるわけです。

例えば、資料では、避難所、情報伝達、自助共助は書かれています。

しかし、実際に問題になる、食料供給、医療継続、介護継続、物流回復、廃棄物処理などはほぼ触れられていません。

2 都市防災の最大問題は「生活」

都市型災害では、救助はもちろんですが、それ以上に生活維持が問題になります。

例えば、首都直下地震では、倒壊はそれほど多くない、火災も限定的と言われています。

しかし、物流停止、水停止、電気停止、トイレ問題で生活が崩れます。

江東区の計画はここが弱いです。

同時に、恐らくその認識があるからこそ、来年度は全員に携帯用トイレの配布を事業化したのだと思います。

3 要配慮者対策が理念止まり

計画でも書きましたが、資料では、個別避難計画、福祉避難所が書かれていますが、現場で一番難しい『搬送』がほぼ書かれていません。

とはいえ、ここは全国の自治体でも最大の弱点なため、江東区に限らないのですけどね。

4 避難所の運営モデルがない

避難所について、資料では、開設、運営と書かれています。

しかし、実際には避難所では、食料、トイレ、医療、介護、物資管理、苦情対応が起きます。

その現場運営モデルがほぼ書かれていません。

特に、苦情対応などは絶対に拠点避難所対応の職員が直接対応しなくて良い仕組みを作ることは必須だと感じています(区民が意見を書く紙を用意し、それを1日1回集め、回答は防災アプリで発信するとか)。

5 長期災害の視点がない

これも計画に書きましたが、資料は基本的に『短期災害』を想定しています。

しかし都市では、災害は数週間から数ヶ月続く可能性があります。

結論

この資料の政策的な最大の弱点は『被害想定型防災』に終始しています。

つまり、何が起きるか、どれくらい被害が出るかは書かれていますが、各機関がどう運営するかが弱いのです。

 

【江東区の防災の本当のボトルネック】

今日は最後になりますが、ここは完全に主観の話であり妄想です。

3年間、防災関係の勉強や意見交換などで感じることなのですが、江東区の防災の本当のボトルネックは『横断的に意思決定する機能が弱い構造』にあると感じています。

具体的に説明しますね。

以前から私は福祉避難所の絶対数が足りないことを悩ましく感じており、江東区の地形特徴を加味したうえで、『拠点避難所に介護従事者を集約する形』を提案しています。

しかし、この所管に状況を確認すると目の前の業務でいっぱいいっぱいの状況であり、他所管や福祉関係機関と連携を取る余裕がないことがわかります(課長の能力とかそういう話ではありません)。

つまり、本来他所管と連携を取らなければならないことも、それをする準備すらする余裕がないのです(しつこいですが、これは課長の能力ではなく構造の課題です)。

そんなわけで、私が感じた課題と提案を書いてみます。

1 江東区の防災は「縦割り」で作られている

江東区の防災は危機管理室がまとめています。

しかし実際の災害対応は、福祉部、障害者支援、高齢者支援、子育て、教育、土木、清掃、医療、産業、企画など、ほぼ全ての部署が関係します。

つまり、防災は全庁プロジェクトなんです。

しかし実際には、危機管理室、要配慮者担当各所管が調整からすべて動くようになっています。

そのため、横断的な政策形成に対する動きに時間がかかる側面があります。

2 課長レベルでは限界がある

本来、防災政策は所管課長のみに委ねてはいけない政策だと私は理解しています。

なぜなら、課長は異動や退職があるから、課長が変わることで制度化されていない政策は止まる可能性があるからです(そのことが何よりも怖いです)。

ってか、はっきり言っちゃうと、業務量に対して危機管理室に人材が少なすぎるんですよ。

だから、彼らがどんなに全力で取り組んでも、課題を伝えても提案を受けた際、それを他所管や関係機関と連携する余裕がないわけで。

ここは本当に悩ましいと感じています(部署人員を増やしてほしいです!)。

3 本当はどこが動くべきか

そんなわけで、この問題は危機管理室だけではなく、少なくとも連携部分については企画部門がサポートできるような構造にするとよいと思うんですよね。

理由は、企画部門が、全庁調整、政策統合、組織横断を通常業務として行っているからです。

つまり、所管課長が通常業務から所管横断の調整まですべてを行うのではなく、所管横断の部分は企画課が対応するとか何かしらサポートできる体制を構築する必要があると感じています。

 

ちょっと強く書いてしまいましたが、私が一番心配しているのは、『行政職員が過度に疲弊してしまうこと』です。

平時の準備段階でこれだけ滞っている構造を観てしまうと、いざ災害が来たときはどうなるのか心配してしまいます。

そして、『行政職員の過度な疲弊』ですが、これは本当に起きます。

実際、過去の審査委資料を読んでいると、東日本大震災はもちろん、熊本地震や能登地震でも、自治体職員は長時間労働、苦情対応、判断負担でかなり疲弊しました。

以前、江東区の職員総数から実際に参集できる割合を調べ人数を算定したうえで、各所管部長職以上・総務課・企画課・危機管理室職員を除いた人数を拠点避難所2名体制24時間で、休日も加味しながら対応職員の過不足を計算したことがあるのですが、まぁまぁ散々な結果でした(資料が昔のパソコンにあるため具体的な数字をかけないですが余裕がなかったのは確かです)。

行政が機能不全に陥ると災害対応もストップし区民に甚大な影響を及ぼします。

だからこそ、平時に万全を目指して計画を策定することが重要で、それが行政職員の心理的負荷を最小限にするとともに区民の命を守ることに繋がるため、現時点で所管課長が困難に感じている部分は、他所管が対応できる体制を構築し、地域防災計画の運用レベルに向けた改善に取り組んだ方が良いと思うのですよね。

 

なんて書いていると、すでに10,000字を超えてしまい疲れすぎたので、地域防災計画の実効性向上に向けた提案は次回書きます。

最後までお読みいただきありがとうございました(本当にこんな長文を最後まで読んでくださった方には、感謝しかありません)。

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