本日の要約
結論:災害は想像できるかどうかで被害の大きさが大きく変わる。
理由:都市災害では「建物が壊れる」よりも「生活が止まる」ことで被害が拡大するため。
何するか:江東区の具体的な被害を時間軸で理解し、今から現実的な備えを進める。
ブログへの訪問をありがとうございます!
昨夜は今週末に防災イベントを行うという友達に、防災アプリのチラシを渡すという口実理由で会いました。
さて、昨日も少しだけ書きましたが、東日本大震災が起きた日をきっかけに、今日から災害について書きます。
・・・と言うのも、ここ1年くらいの間に、火山学や地球科学を専門としている京都大学名誉教授の鎌田浩毅先生が、さまざまなネット番組に出演され、『南海トラフ地震は2035年前後5年間に起こる!』と話をされているんですね。
2035年前後5年間ということは、2030年代と考えてよいと思うのですが、『これってすぐじゃね?』と思ったのは私だけではないはず。
また、その際の被害想定も説明されていたのですが、かなり危機感を抱く内容であったと同時に、あと5年間でしっかりと備えをすれば、被害を最小限にできると考えているため、逆算しながら対策について何回かにわけで書いていきたいと思います。
ここで主張したいのは、『リアルにイメージを持ったうえで、今から準備すること』です。
5年あるから大丈夫ではなく、2030年まで5年あるからこそ逆算しながら改めて対策を進めていかなければならないということを主張したいわけです。
では、行ってみよー☆
※鎌田名誉教授の動画は④と⑤ですので、お時間のある方もない方も、ぜひご視聴ください。
【リアルに実感する】
一言で震災と言っても体験をしていない人はなかなかイメージを持ちにくいと思います。
そんなわけで、まずは昨日も添付した5つの動画をご紹介します。
ちなみに、私はYouTubeの『みんなで創る防災・減災』という番組をよく観ますが、シミュレーションがリアルすぎるため、災害にトラウマのある方は視聴しないでください。
① 【発生から100年】1923年関東大震災(地震シミュレーション)関東などで震度7~大津波警報/解説付き
② 【新被害想定】もしも今、南海トラフ巨大地震が起きたら?「迫りくる2つの危機」/地震シミュレーション
③ 富士山噴火シミュレーション「前回宝永噴火から300年 いつ噴火してもおかしくない」
④ 【南海トラフ地震と首都直下地震】東日本大震災を超える甚大な被害/首都圏には19個の地震の巣が潜む/首都直下地震はいつ起きてもおかしくない/南海トラフ地震は2030年代に起こる/防災知識が未来を守る
⑤ 【富士山の噴火と被害】300年前の噴火からの教訓/火山灰が5cm降るとライフラインはすべて停止/火山灰の影響は地震被害より長期/スロースリップから地震を予知/噴火リスクに科学も活かせ/地学の面白さ
これらの動画をきっかけに、リアルな震災を理解していただけたらと思います。
【江東区はどうなる?】
続いて、首都直下型地震が起きた際、江東区はどうなるのかということですが、江東区の資料ではこのように書かれています。
●江東デルタ地帯の軟弱地盤、海抜ゼロメートル地帯の多さ、内部河川の多さ が挙げられていて、東部は地盤沈下の影響で地盤高が低い地域がある。
→「揺れ」だけではなく、液状化、道路の段差・沈下、ライフライン途絶、橋や護岸周辺のアクセス障害、長期の生活機能低下が重なりやすい。
→江東区の想定では、都心南部直下地震が起きた場合、江東区は 震度6強が84.4%、震度7が13.7% とされている。
●建物被害は 全壊約9,700棟、うち 火災による全壊約3,100棟、死者 401人、負傷者 8,091人、重傷者 1,244人 という想定である。
●ライフラインは、停電38.6%、電話不通7.3%、上水道断水52.4%、下水道被害6.6%、ガス供給停止100%。復旧の目安は、区の資料では 電気4日、電話4日、上水道17日、下水道21日、ガス6週間 とされている。
1923年型の相模トラフ巨大地震(いわゆる関東大震災)に近いものが来たとしても、現在の江東区では当時と同じ被害の出方にはなりません。
建物構造、防潮堤、水門、消防力、情報伝達手段が違うからです。
ただし、揺れ自体は非常に強くなり得て、江東区では地盤条件のせいで液状化・沈下・ライフライン停止は依然として深刻です。
津波は、区の公式見解では住宅地広域浸水までは想定されていませんが、湾岸・河川沿いからの即時退避は必要です。
つまり、現代の江東区での関東大震災級シナリオは「火の海と津波」よりもむしろ 強震+液状化+都市機能停止+避難生活長期化 の色が濃いです。
また、かなり率直に言うと、江東区で一番ありそうで、一番きついのは次の組み合わせです。
揺れで家具と人がやられる
→ 建物・道路・配管が傷む
→ 断水とガス停止が長引く
→ マンションも戸建ても生活継続不能になる
→ 一部では火災と避難混乱が重なる
この流れが、江東区ではかなり現実的です。
以上のことから、個人が江東区で備える優先順位はこうなります。
1位:家具固定と寝室安全化
2位:飲料水と携帯トイレ
3位:ガス停止前提の食と熱源
4位:自宅の避難ルートと地区の避難場所確認
5位:湾岸・河川沿いなら上階退避判断
首都直下型地震の場合は、一都三県が大きな被害にあうため他県などからの応援が期待できますが、南海トラフ地震の場合、被害者は日本人口の半分以上と言われているため、多分恐らく他県などからの応援は期待できません。
また、地震に触発されて富士山が噴火したときには、降灰の影響ですべてのインフラが止まるだけでなく、少なく見積もっても1か月以上は安易に外出できない状況になる可能性もあります(降灰はゴミ袋に入れて廃棄しないと駄目なため時間がかかる)。
降灰っていわゆるガラスを細かく砕いたものと同じだから、これが降ると車はもちろん自転車での移動も危険になり、なおかつ厳重装備をしないと外出で肺を傷つけてしまうんですよね。
このあたりのシミュレーションについては、後日改めて行いますね。
次に、細かい部分についての想定を書いてきます。
【避難行動】
江東区では『とにかく遠くへ逃げる』ではなく、火災が拡大する地区は広域避難場所へ、比較的火災危険度が低い地区は地区内残留という考え方です。
たとえば、豊洲・有明・東雲・辰巳の一部などは地区内残留地区として扱われる一方、内陸側の地区では木場公園、猿江恩賜公園、清澄庭園、大島・北砂団地一帯などへの避難割当があります。
つまり、江東区では住所によって正解の避難先が違うので、自宅住所ベースの確認がかなり大事です。
【避難所の現実】
避難所は、建物が壊れた人だけでなく、断水・ガス停止・トイレ不能・エレベーター停止で自宅生活が成り立たなくなった人も集まるため、かなり混みます。
東京都は、避難所では発災直後から多くの避難者が殺到し、物資不足、トイレ衛生悪化、プライバシー不足、避難者間トラブルなどが起こり得るとしています。
江東区でも、小中学校などが拠点避難所になりますが、最初の24〜72時間は『十分に快適な避難所』より『混乱した受け入れ拠点に近い』と思っていたほうが現実的です。
【高層マンション・湾岸部の特徴】
豊洲・東雲・有明・辰巳などの湾岸部は、古い木密地域のような延焼大火リスクは比較的低い一方で、長周期の揺れ、高層階での室内被害、エレベーター停止、受水・排水障害、液状化による周辺道路障害が前面に出ます。
つまり『建物は立っているのに生活が崩れる』型です。
特にタワーマンションでは、在宅避難ができるかどうかが 水・トイレ・電源・階段移動能力に左右されます。
江東区がマンション防災や在宅避難を重視しているのは、このためです。
【低層住宅地・内陸部の特徴】
一方、亀戸・大島・北砂・東砂・南砂・深川エリアの一部では、古い住宅・商店・工場の混在、狭い道路、密集度の高い街区があるため、家具転倒、建物被害、出火、延焼、道路閉塞 の複合被害が問題になります。
江東区資料でも、死者の約74%が建物倒壊由来、負傷者の約87%が建物倒壊由来とされていて、まず命を左右するのは 耐震化と家具固定です。
ここは津波よりも、まず揺れと火災が本丸です。
【想定:時間順に書くとこうなる】
これを読むだけでもなんだか怖くなってしまいますが、次に、時間順にかなり詳しく書いてみます。
これを書く意図としては、震災時は行政に対応を任せれば安心というわけではなく、むしろ、『災害の具体的知識を持ち、自分で対策を考えておくことが重要』ということを知っていただきたいということです。
●発災0〜10秒●
最初に来るのは、関東大震災の動画でも印象的だった『いつ始まるか分からない不気味さ』ではなく、実際には突然の強い突き上げと横揺れです。
江東区は軟弱地盤が多いため、場所によっては揺れが増幅され立っていられず、室内では家具・冷蔵庫・本棚・食器棚・テレビが一気に倒れたり滑ったりします。
気象庁の震度7相当では、固定していない家具の大半が移動・転倒し、耐震性の低い建物では傾きや倒壊が起こり得ます。
マンション高層階では、地表の震度が6強でも体感上はかなり長く大きく揺れることがあります。
●発災10秒〜3分●
区内の古い木造住宅や耐震性の弱い建物では、壁の崩落、屋根瓦・外壁・ガラスの落下、ブロック塀の倒壊が起こり始めます。
エレベーターは自動停止し、閉じ込めも起こり得ます。
オフィスや商業施設ではスプリンクラー・天井材・照明の落下、棚の商品崩れ、非常口周辺の混乱が起きやすいです。
江東区では特に、埋立地や旧河道、地下水位が高い場所で 液状化による噴砂・地盤の不同沈下・マンホールの浮き上がり・舗装の波打ちが起きやすく、建物そのものは倒れなくても、入口の段差化、給排水管の破損、周辺道路の通行障害が深刻化しやすいです。
東京都の液状化予測図も、液状化は地盤条件に強く左右され、絶対評価ではないものの、東京東部・臨海部で注意が必要だとしています。
●発災直後〜30分●
火の手が最も怖い時間帯です。
東京都の想定でも江東区は火災による建物被害が無視できず、全壊約9,700棟のうち約3,100棟が火災由来です。
コンロ、通電火災、事業所設備、車両火災が同時多発し、道路が狭い場所や倒壊物がある場所では消防活動が遅れます。
江東区全体としては木密地域ばかりではありませんが、地域差が大きく、東京都の地域危険度調査でも町丁目単位で倒壊危険度・火災危険度・活動困難性が評価されています。
つまり、同じ江東区でも豊洲・有明のような比較的新しい市街地と、古い低層住宅や中小工場が混在する地区では、被害の出方がかなり違います。
●30分〜半日●
ここで江東区らしい問題が前面に出ます。
大きな津波で住宅地全体が水没する可能性は、区の公式見解では高くありません。
江東区は東京湾内湾の津波について、大正関東地震で最大津波高2.22m、南海トラフ巨大地震で2.63m、ただし住宅地等は浸水しない想定、防潮堤は T.P.+4.47m〜+6.87m とされています。
つまり、江東区で主役になるのは東北のような巨大津波ではなく、水辺・河川沿いの危険、堤外地や河川敷の浸水、そして“避難の遅れ” です。川沿い・運河沿い・湾岸部にいる人は、強い揺れの直後に水辺から離れて上階へが基本です。
●半日〜1日●
ライフライン障害が生活に刺さり始めます。
江東区想定では断水52.4%、ガス供給停止100% なので『家が無事でも暮らせない』という人が大量に出ます。
特にマンションは、建物本体が倒壊しなくても受水槽・ポンプ・排水管・エレベーター停止 によって高層階ほど生活継続が難しくなります。
トイレが流せず、エレベーターが止まり、買い出しも困難になります。
東京都も、発災後はライフラインの途絶と交通寸断で生活環境に大きな支障が出ると明記しています。
江東区での「避難」は、建物倒壊から逃げる避難だけでなく、住めるけれど生活できない家からの避難が大量発生するのが特徴です。
●1日〜3日●
道路は見た目以上に厳しくなります。
液状化した道路、沈下した歩道、浮き上がったマンホール、橋梁周辺の段差、駐車車両、落下物、火災規制で、消防・救急・物流が詰まりやすくなります。
江東区は川と運河と橋が多いため、ある橋や交差点が詰まると局所的に孤立感が強まります。
東京都の想定でも、道路閉塞により救出救助・消火・物資輸送が遅滞、長期化するおそれがあるとされています。
帰宅困難者の問題も重なり、区内の駅周辺・大規模施設周辺は人だまりが発生しやすいです。
初めは簡単に書こうと思ったのですが、いろいろな資料を読んだり勉強する中で『あ、これは簡潔に書いちゃいけない案件だ』と思ったため、できるだけ詳しく書きました。
少しでも災害のリアルを実感していただけたら幸いです。
また、次回は南海トラフ地震(とそれに付随する富士山噴火)の場合に江東区がどうなるかについて書こうと思います。
しつこいようですが、大切なのは『リアルにイメージを持ったうえで、今から準備すること』であり、怖がらせるだけという意図はないことをご了承いただくとともに、改めて災害時について一人ひとりが自分事として考えるきっかけになればよいなと願っております。
最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事へのコメントはありません。