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今回は、前回報告した一般質問について、聴覚障がいの方などに向けて文字起こしをいたします。
今回は、私の質問(15分)を掲載し、次回、行政の答弁を掲載しますので、お時間のある方はご一読ください。
【はじめに】
この度初当選させていただきました、江東新時代の会の加藤陽子と申します。
これまで介護福祉士、介護支援専門員として高齢者介護で勤めてきた経験と、地域活動で培った経験を基に、大綱3点、質問させていただきます。
区長並びに関係理事者の方々には、明確なご答弁をよろしくお願いいたします。
【1 障害者差別解消法改正に伴う共生社会への取り組みについて】
まず大綱1点目は、本年10月1日から実施される『区立小・中義務教育学校給食費無償化』の対象範囲拡大に関連して、共生社会の実現に向けた見解についてお聞きします。
来月の学校給食費無償化の開始に向け、公立の特別支援学校に通う児童生徒を、その対象に入れていただけたことに対して、木村やよい区長のご判断を高く評価し、心から敬意と感謝を申し上げます。
障がいがあるが故に区立の小中学校に通うことができず、特別支援学校に通わざるを得ない児童生徒を、学校給食費無償化の事業開始時より対象に入れていただけたことは、23区でも初めてです。これは、来春から義務化される「障害者差別解消法」の観点からも、分かりやすく合理的配慮を示していただけたことを表しており、江東区民としてとても誇らしく感じます。
ぜひ、これを機会に、江東区は「誰一人取り残さないまちづくり」「共に生きる共生社会」の実現に向け、積極的に取り組んでいただきたいと期待しております。同時に、障がいに対しての壁を溶かし、誰しもが生きがいを持って生活できる社会になるよう、この江東区から進めていくことを強く要望いたします。
そこで、上記を踏まえ二点質問です。
まず一点目は、障害者差別解消法の一部改正に伴う本区の対応についてですが、令和6年4月より事業者による障がいのある人への合理的配慮の提供が義務化されます。障がいのある人への差別をなくすことで、障がいの有無に関わらず、おたがいに人格と個性を尊重し合いながらともに生きる社会をつくることを目指す、というこの法律の目的を踏まえ、今後、区としてどのような取り組みを進めていくのか、区の見解をお聞かせください。
2点目は、共生社会の実現についてです。今年度は、本区の障害者計画、障害者福祉計画、障害児福祉計画の最終年次となり、新たな計画の策定が行われます。
まず、計画策定の趣旨と背景についてお聞きします。
また、計画を実行することでつくられる地域の姿とはどのようなものなのか、その姿を実現していくためにどのように取り組んでいくのか、区の考えをお聞かせください。
【2 福祉の立場に立った食支援事業の実施について】
次に大綱2点目は、福祉の立場に立ったフードドライブや食の支援事業の実施についてお聞きします。
私は、数年前から江東区内で、有志による月に2回の食品の提供に携わっています。毎月30個以上のコンテナに入った食品が、地域の活動団体を通じて参加者に配布されております。特に、昨年一昨年と南砂長寿サポートセンターと南砂住宅自治会の主催で行われたフードパントリーでは、年齢に関係なくたくさんの人が来られ、生活に困っている方々が区内に多くおられる状況をリアルに感じました。
その実態を一部紹介します。
昨年6月にフードパントリーを実施した際には、来場者が230名以上いました。アンケートを実施したところ、回答者197名のうち、年代としては、一番多い層が20~64歳で44%、次いで75歳以上が28%となっており、コメントを読むと『助かりました、良かったです』『アルバイトを減らされ困っていた、とても助かった』など食の支援を必要としている方々に確実に届いていることがわかりました。
本年実施された際も来場者は286名おり、アンケート回答者193名のうち、年代として一番多い層は18~64歳で51%、次いで75歳以上が21%でした。コメントとしては、『春から子どもが進学したことにより世帯が分かれ、今より2倍かかる。今回は大変ありがたかった』『シングルマザーなので助かります』など、本年も有意義に活用していただいた様子がうかがえました。
また、高齢者の総合相談窓口である長寿サポートセンターのうち、独自事業としてフードパントリーに取り組んでいる南砂長寿サポートセンターでは、令和3年12月~令和4年11月までに、個人への食品提供は97か所、他の長寿サポートセンターや介護保険事業所など高齢者介護を提供している事業所への食品提供は29か所あったとのことでした。
このように、江東区には多くの食の支援を必要としている方がおられると実感しています。
一方、現在江東区では、家庭で不要となった食品を回収する「フードドライブ事業」を実施しています。
本年1月からは、常設窓口を区内2ヶ所から17か所に拡大して回収し、回収した食品はこども家庭支援課と連携し区内のこども食堂運営団体に2か月に1度提供、残りは台東区にあるNPO法人セカンドハーベストジャパンに提供していると伺いました。実施している清掃リサイクル課に確認したところ、『回収した全量を保管・仕分け・配分できるフードバンク組織が区内にないため、回収量の約半分をセカンドハーベストジャパンに引き渡している』とのことでした。
区内には、食の支援を必要としている方が多いにも関わらず、区民からいただいた食品を区内で提供しきれていない現状は、大変もったいないと感じます。
食の支援を必要としている方は、シングルマザー世帯、低所得世帯、高齢者世帯など様々です。これらの方々へ的確に食の支援や生活支援を実施するためには、清掃リサイクル部門ではなく、福祉の視点での提供支援が必要だと考えます。他自治体では、社会福祉協議会など福祉部門で「フードバンク」としての機能を担っている例もあります。
そこで、2点お聞きします。
区で回収した食品を江東区内で必要としている方々へ届けるためには、福祉の多様な所管が連携し、オール江東の視点で仕組みを作るべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。
また、江東区内にも一般社団法人のフードバンク組織や食の支援を行っている地域活動団体がありますが、江東区はそれらの地域活動団体とも連携し、様々な視点やツールを活用しながら、積極的に区内の食の支援を必要とする方々へ配布していくべきと考えますが、区の見解をお聞きします。
最後に、先日、行政視察に参加させていただいた際、姫路市の食品ロス削減の取り組みについて大変有意義な学びを受けました。中でも、行政の方々の食品ロス削減に取り組む姿勢、「市民の意識改革に一番力を入れている」ということを軸に官民協働でさまざまな創意工夫をされている姿勢から、多くの学びや気づきがありました。また、説明をしてくださった担当課長の「一つひとつの活動は大きくないが、市民と一緒に取り組んでいきたい」と話されていたことが印象的でした。
江東区でも、食の支援を始め、一つひとつの活動を区民目線で創意工夫し、区民と一緒に取り組んでいくべきと強く願い、この質問を終わります。
【3 孤独・孤立対策推進法施行及び地域コミュニティの醸成について】
大綱3点目は、来春より施行される孤独・孤立対策推進法及び地域コミュニティの醸成についてお聞きします。
令和5年5月31日に開催された第211回通常国会において、「孤独・孤立対策推進法」が成立しました。その中で、地方公共団体の役割は、法第4条に「基本理念にのっとり、孤独・孤立対策に関し、国及び他の地方公共団体との連携を図りつつ、その区域内における当事者等の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。」となっております。
孤独・孤立期間は長引けば長引くだけ、地域や社会との関係性を再構築することは困難だと言われております。だからこそ、孤独や孤立になり支障が生じる前段階でどう防ぐかという“予防”の視点と取り組みが重要であり、地域の中で区民同士が自分に合ったつながりを持つと同時に、町会、自治会やNPO法人、地元企業などが地域コミュニティを形成し、共に活動する機会をつくることが重要だと認識しています。
このことを踏まえ本区の現状を振り返ると、3つの課題が存在すると認識します。
一つ目は、地域福祉計画の施策と取り組みの中に「孤独・孤立対策に関する記載がない」ということです。この法律が今年度成立したものであるため仕方のないことと思いますが、来春の施行に伴い、孤独・孤立対策の施策や取組については、今から考える必要があると強く感じています。
二つ目は、本役所の各関係所管と区民との連携、協働が進んでいない現状を強く感じます。江東区の平均世帯員数は令和5年9月1日時点で1.86人となっております。また、孤独・孤立対策の推進には、長期視点と根気強く関わり続けることが肝要と言われています。区内の平均世帯数が二人を切っており、年齢も背景も様々な方に対して行われる取り組みだからこそ、行政における各所管の横断的な支援体制の構築が必要であり、同時に、行政だけで取り組むのではなく、地域の支援団体や企業とも積極的に官民連携を図り、中間支援組織を活用した協働事業を進める必要があると感じております。
三つ目は、現時点での江東区には40歳から65歳未満の方に対応できる所管も窓口もないということです。
現在、10代から30代の若者への孤独・孤立対策は青少年課が担っておりますが、いわゆる就職氷河期を始め、団塊ジュニアと呼ばれるボリュームゾーンの窓口や対応所管がないということは、これから孤独・孤立対策を進めていく上で、大きな支障を生むと感じております。
そこで、3点質問します。
まず、私は、江東区で孤独・孤立に悩む人を作らないという仕組みづくりが必要だと考えています。また、孤独・孤立の問題は複合的な要因によるものであり、当事者への支援にあたっては、個々の状況に応じて多様なアプローチによる横断的な対応が必要だと感じております。
だからこそ、行政における所管連携はもちろんのこと、江東区で活躍されている多様な支援団体や企業と手を組み、各分野の水平垂直による横断的な対応が求められると感じておりますが、江東区はどのように行政間で各所管の横断的な連携を図り、地域の関係団体とつながり支援体制を構築していくのか、現時点での区の見解をお聞かせください。
2点目として、私は、この課題に対して、孤独・孤立してしまった方へのサポートが必要であることはもちろんですが、行政の孤独・孤立に至らないための予防対策こそが本区の取り組む役割であり、地域の中でお互いにつながりがある関係、失われつつある地域コミュニティを醸成していくことが重要であると感じています。そこで、孤独・孤立の予防という観点からも、地域コミュニティを活性化する取り組みを進めるべきと考えますが、区の見解をお聞きします。
3点目として、地域の中で、孤独・孤立の状態を発見した際に相談できるような、孤独・孤立対策に特化した所管窓口を創設すべきだと考えますが、区の見解をお聞かせください。
【さいごに】
最後になりますが、今の社会は多様で複雑な課題が絡み合っており、解決に向けた取り組みをしなければならない行政のご苦労は計り知れないものと感じています。
しかし、だからこそ担当所管のみで課題解決に取り組むのではなく、積極的に他所管との連携、そして、地域の多様な企業や団体と手を組み、「オール江東」の視点でさまざまな施策に取り組むことができれば、『もっとよくなる江東区』の実現に繋がると感じています。
課題に対する取り組みを「負担」と捉えるのではなく、江東区の地域力を上げる「チャンス」だと捉え、前向きに地域福祉の向上に取り組んでいただけることを強く要望し、私からの質問を終わります。
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