【防災】東京都と江東区の計画から考える、災害時のトイレ防災

要約

結論:災害時のトイレ防災は、備蓄や設置だけでなく、実際に使い続けられる運営体制まで考える必要があります。

理由:東京都と江東区の計画では、ライフライン停止、し尿処理、在宅避難、避難所運営などが重なり、トイレ対策が地域全体の課題になることが示されているからです。

何をするか:今回は、東京都と江東区の防災計画をもとに、災害時のトイレ対策と、江東区で今後さらに必要な備えを整理します。

ブログへの訪問をありがとうございます。

今日は、午前中に会派会議があり、お昼は西大島で開催された『おとな食堂』に行きました。

地域の方々との交流機会の確保はとても重要なため、後日にはなりますがブログでも報告したいと思います。

 

さて、前回は、災害時のトイレをテーマに、『1週間分の備蓄』は安心のゴールではなく、発災直後を乗り切るための入口ではないか、ということを書きました。

今回は、その続きとして、東京都と江東区の防災計画をもう少し整理してみたいと思います。

防災の資料は、どうしても言葉が固く、分量も多いため、日常的に読むには少しハードルが高いものです。

ただ、実際に読み進めてみると、東京都も江東区も、首都直下地震をかなり現実的に見据えながら、被害想定、地域防災計画、アクションプラン、トイレ防災、そして区の地域防災計画へと、段階的に整理を進めていることがわかります。

特に江東区については、東京都の計画や方針に沿いながら、災害用トイレの確保、し尿処理、家庭・事業所での備蓄、訓練や普及啓発まで、非常に丁寧に計画を進めていると感じています。

一方で、計画が丁寧に作られているからこそ、次に問われるのは『実際に現場で無理なく回るのか』という点です。

災害協力隊、町会・自治会、学校関係者、避難所運営に関わる方々の負担をできる限り小さくしながら、在宅避難者も安心して自宅で生活を続けられるようにするには、どのような準備が必要なのか。

今回は、東京都や江東区の計画そのものを細かく紹介するというより、それらの計画をもとに、江東区で災害時のトイレを本当に使える仕組みにするには何が必要なのかを考えます。

では、行ってみよー☆

 

【東京都の資料はどう読むべきか】

ざっくり言えば、被害想定は『何が起きるか』、地域防災計画は『どう備えるか』、アクションプランは『具体的に何を進めるか』、トイレ防災マスタープランは『トイレ対策をどう具体化するか』を見る資料です。

東京都の防災資料を読むとき、まず押さえておきたいのが、資料ごとの役割です。

似たような名前の資料がいくつも出てくるため、最初は少しわかりにくいのですが、大きく言えば、次のような関係になっています。

まず、東京都の新たな被害想定 ~首都直下地震等による東京の被害想定~は、東京で大きな地震が起きた場合に、どのような被害がどのくらい発生するのかを推計した資料です。

たとえば、死者数、建物被害、避難者数、帰宅困難者、ライフライン停止、交通障害などが示されています。

つまり、この資料は『東京で何が起こり得るのか』を知るための資料です。

防災政策の出発点になる、いわば問題設定の資料です。

次に、『東京都地域防災計画 震災編 令和5年修正の概要』は、その被害想定を踏まえて、東京都がどのような防災対策を進めるのかを整理した計画資料です。

こちらは、単に『被害が大きいです』と示す資料ではありません。

その被害を少しでも減らすために、東京都、区市町村、防災関係機関、事業者、都民が、それぞれどのように備え、どのように対応するのかを整理するものです。

簡単に言えば、『被害想定』は、何が起きるかを見る資料。

『地域防災計画』は、それに対してどう備えるかを見る資料。

この2つはセットで読む必要があります。

被害想定だけを読むと、『大変な被害が起こるらしい』で終わってしまいます。

一方、地域防災計画だけを読むと、『なぜこの対策が必要なのか』が見えにくくなります。

だからこそ、まず被害想定でリスクを確認し、そのうえで地域防災計画で対策の方向性を見る、という読み方が大切だと思います。

特にトイレや水の問題を考える場合、この読み方はとても重要です。

なぜなら、トイレ問題は、単に『避難所に仮設トイレを置く』という話ではないからです。

断水、停電、下水道の被害、建物内の排水管の損傷、し尿収集車の不足、道路閉塞、避難者の集中、在宅避難者の備蓄切れなど、いくつもの要素が重なって起こります。

そのため、被害想定で『どのくらい止まるのか』を見たうえで、計画で『どう対応するのか』を見る必要があります。

 

【2025年3月の東京防災アクションプランとは何か】

次に、2025年3月に改定された『東京防災アクションプラン』です。

これは、東京都地域防災計画で掲げられている防災対策を、より具体的な事業や工程に落とし込んだものと考えるとわかりやすいです。

地域防災計画が『東京都としてこう備える』という大きな設計図だとすれば、東京防災アクションプランは、『では、具体的に何を、どのように進めるのか』を示す実行計画に近いものです。

このプランでは、地震、風水害、火山噴火などの自然災害に対して、防災対策を計画的に進めることが目的とされています。

特に、2024年の能登半島地震の教訓や東京の特性を踏まえ、二つの柱が示されています。

一つは、都市の強靱化です。

これは、建物の耐震化、木造住宅密集地域の不燃化、液状化対策、通信設備の強化、道路やインフラの強化など、災害が起きても被害をできるだけ小さくするための取組です。

もう一つは、災害対処能力の向上です。

これは、災害が起きた後に、行政や地域、住民がどれだけ早く、的確に動けるかという取組です。

マンション防災、出火防止、町会・自治会等の活動強化、防災訓練、避難所運営、要配慮者への配慮、防災DXなどが含まれます。

このプランで大切なのは、『公助』だけでなく、『自助・共助・公助』のそれぞれの取組を整理していることです。

たとえば、住民側には、家具の転倒防止、備蓄、防災訓練への参加、家族の安否確認方法の確認などが求められます。

地域側には、町会・自治会、マンション管理組合、災害協力隊などによる共助の力が求められます。

行政側には、避難所運営体制の強化、災害時のトイレ環境整備、水道施設の耐震化、物資輸送体制の強化などが求められます。

特に今回のテーマであるトイレに関しては、『安全・安心に生活できる環境の向上』の中で、災害時のトイレ環境整備が位置づけられています。

また、『発災後の生活に不可欠な水や備蓄品の確保と輸送』も重要な取組として整理されています。

つまり、東京都は、災害時の生活継続において、水、備蓄、トイレ、避難所運営、マンションでの在宅避難を一体の課題として捉えていると言えます。

ここは、江東区のようにマンションが多く、在宅避難者が多数発生する可能性がある地域にとって、非常に重要です。

 

【東京トイレ防災マスタープランとは何か】

そして、今回特に注目したいのが、2025年3月に東京都が新たに策定した『東京トイレ防災マスタープラン』です。

これは、災害時のトイレ対策に特化した東京都の計画です。

一言で言えば、首都直下地震などで水洗トイレが使えなくなったときに、都民の健康、衛生、尊厳、在宅避難をどう守るかを整理した計画です。

私は、この計画はとても重要だと思っています。

なぜなら、トイレは災害時に後回しにされがちですが、実際には命と健康に直結するからです。

水洗トイレが使えなくなれば、排せつ物の処理が滞ります。

衛生環境が悪化すれば、感染症や害虫の発生につながります。

トイレが不衛生だったり、使いづらかったりすれば、排せつを我慢する人も出てきます。

水分や食事を控えれば、脱水症状やエコノミークラス症候群などの健康被害につながるおそれもあります。

つまり、トイレは単なる便利設備ではありません。

災害時には、命と健康を守るためのインフラになります。

東京トイレ防災マスタープランでは、携帯トイレ、簡易トイレ、仮設トイレ、マンホールトイレ、自己処理型トイレ、災害対応型常設トイレなど、ライフライン被害があっても利用できるトイレを広く『災害用トイレ』として整理しています。

また、避難所だけでなく、避難場所、自宅、外出先、その他公的施設、公道など、さまざまな場所でトイレ対策が必要だとしています。

ここが大切です。

災害時のトイレ対策は、避難所に寝泊まりする人だけの問題ではありません。

在宅避難者も、帰宅困難者も、外出先で被災した人も、トイレを必要とします。

特に江東区では、自宅が倒壊しなくても、水道、下水道、エレベーター、建物内排水設備などが使えず、在宅避難が難しくなる方が出る可能性があります。

そのため、トイレ対策は、避難所の中だけで完結させるのではなく、地域全体で考える必要があります。

東京トイレ防災マスタープランのもう一つ重要な点は、トイレを『数があればよい』と考えるのではなく、『量』と『質』の両方を重視していることです。

数が足りなければ当然困ります。

しかし、数だけあっても、暗い、汚い、怖い、遠い、段差がある、清掃されない、備品がない、という状態では、安心して使うことはできません。

女性、子ども、高齢者、障害のある方、妊娠中の方、介助が必要な方など、多様な利用者に配慮したトイレ環境が必要です。

さらに、トイレは設置すれば終わりではありません。

清掃、消毒、備品補充、し尿処理、使用済み携帯トイレの保管、悪臭対策、防犯対策、利用ルールの周知まで含めて、初めて『使えるトイレ』になります。

この視点は、前回のブログで書いた『使う人、掃除する人、支える人をどうつなぐか』という問題ともつながります。

 

【江東区地域防災計画は?】

では、江東区はどうしているのでしょうか。

江東区地域防災計画は、災害対策基本法に基づいて、江東区防災会議が作成する区の総合的な災害対策計画です。

区、防災関係機関、区民、事業所が、それぞれどのような役割を果たすのかを定めています。

江東区の計画は、令和4年5月に東京都が10年ぶりに公表した首都直下地震等の新たな被害想定や、東京都地域防災計画の修正などを踏まえて、令和7年3月に修正されています。

この点は、とても大切です。

つまり、江東区は東京都の被害想定や地域防災計画を受けて、区の実情に合わせて地域防災計画を見直しているということです。

私の所感としては、江東区は東京都の計画に沿いながら、非常に丁寧に計画を進めていると感じています。

特にトイレに関しては、単に『避難所に仮設トイレを置く』という書き方ではなく、発災直後からの時間軸、し尿収集、下水道施設への搬入、家庭や事業所の備蓄、普及啓発、訓練まで含めて整理されています。

これは高く評価したい点です。

 

【江東区地域防災計画におけるトイレ対策】

江東区地域防災計画では、トイレに関する記載は、主に『住民の生活の早期再建』の章に出てきます。

基本的な考え方は、震災や風水害等で発生したごみ、し尿、災害廃棄物などを、関係機関と連携しながら迅速に処理し、被災地の環境を維持・回復するというものです。

その中で、区は、各避難所等の避難者数、災害用トイレ、し尿収集車の台数などを把握したうえで、し尿収集計画を作成し、東京都下水道局と連携して、水再生センターや下水道幹線のし尿受入れマンホールへの搬入を行うこととしています。

ここはかなり実務的です。

災害時のトイレ対策は、トイレを置くだけでは成り立ちません。

使った後のし尿をどう収集するのか。

どこへ運ぶのか。

道路が使えるのか。

し尿収集車、いわゆるバキュームカーを確保できるのか。

搬入先の水再生センターや受入れマンホールが使えるのか。

こうしたところまで考えなければ、トイレは使い続けられません。

江東区の計画では、発災後3日目までは、し尿収集車による収集・運搬が困難な状況が予想されるため、可能な限り、し尿収集車による収集を要しない災害用トイレを活用するとされています。

これは非常に重要です。

発災直後からすぐに仮設トイレが届き、し尿収集車が回り、行政がすべて処理してくれる、という前提にはなっていません。

むしろ、最初の3日間は、道路閉塞、交通規制、職員体制、収集車両の確保などを考えると、収集を前提としない携帯トイレや簡易トイレが重要になります。

その後、発災後4日目からは、し尿収集車による収集が可能な災害用トイレも含めて確保し、対応するとされています。

また、都と連携して、災害発生当初は避難者約50人当たり1基、その後、避難が長期化する場合には約20人当たり1基の災害用トイレの確保に努めるとしています。

この『50人に1基』『20人に1基』という考え方は、避難生活が長期化するほど、より多くのトイレが必要になることを示しています。

災害時のトイレは、発災直後だけではなく、時間が経つほど利用者の疲労や不満、衛生面の問題が大きくなります。

だからこそ、長期化を見据えた数の確保が必要になります。

 

【ライフライン復旧想定とトイレの関係】

ここで、震災時のライフライン復旧想定もあわせて見ておく必要があります。

東京都の資料などでは、首都直下地震等の際、電力は比較的早く復旧していく想定がある一方、上下水道やガスはより長い期間を要する可能性が示されています。

東京都の日常備蓄リーフレット等では、ライフラインの回復想定として、電力4日、上水道17日、下水道21日、都市ガス42日という目安が示されています。

もちろん、これは災害の規模や地域によって変わる目安ですが、少なくとも『1週間分あれば安心』とは言い切れないことがわかります。

江東区の被害想定でも、上水道や下水道の復旧には1週間を超える期間が見込まれています。

つまり、『まず3日分』『できれば1週間分』という備蓄の目安は、ライフラインが3日や1週間で戻るという意味ではありません。

特にトイレは、上下水道が関わります。

水道が止まれば流せません。

下水道や建物内排水設備が損傷していれば、水があっても流してよいとは限りません。

マンションでは、給水ポンプや排水ポンプ、受水槽、排水管など、建物内設備の状態によって、各戸でトイレが使えるかどうかが変わります。

その意味で、電気、上下水道、ガスの復旧想定は、単なるインフラの話ではなく、在宅避難が続けられるかどうかに直結します。

食事ができるか。

水を飲めるか。

手を洗えるか。

トイレを使えるか。

エレベーターが動くか。

情報を得られるか。

これらはすべて、在宅避難の継続に関わります。

だからこそ、江東区の計画が、トイレ、し尿処理、生活用水、家庭・事業所の備蓄まで含めていることには、大きな意味があります。

 

【家庭・事業所にも求められる備え】

江東区地域防災計画では、家庭や事業所に対しても、災害用トイレやトイレ用品の備蓄を求めています。

具体的には、し尿収集車による収集を要しない災害用トイレ、トイレ用品を、最低3日分、可能であれば1週間分備蓄すること。

また、水の汲み置きなどにより生活用水を確保することが示されています。

ここで大切なのは、『収集を要しない』という点です。

発災直後は、し尿収集車がすぐに来られない可能性があります。

そのため、各家庭や事業所では、使ったその場で固めたり、一定期間保管できたりする携帯トイレや簡易トイレが必要になります。

ただし、私はここでも、やはり『3日分・1週間分』はゴールではなく入口だと考えています。

計画上、まずは3日分、可能なら1週間分という目安を示すことは重要です。

備蓄を始めるきっかけになります。

しかし、下水道の復旧が21日程度、ガスの復旧が42日程度と示される資料もある中で、1週間分だけで安心とは言い切れません。

特に江東区のように集合住宅が多い地域では、各家庭だけでなく、マンション管理組合や自治会単位での備えも必要です。

各戸が携帯トイレを持つ。

管理組合が使用済み携帯トイレの一時保管場所を決める。

排水管点検が終わるまで水洗トイレを流さないルールを共有する。

高層階の高齢者や要配慮者への支援を考える。

こうしたことが、在宅避難を続けるうえで大切になります。

 

【江東区の計画で評価したい点】

特に評価したいのは、江東区の計画が、トイレの設置だけでなく、発災後の時間軸、し尿処理、家庭・事業所の備蓄、訓練まで含めて整理している点です。

江東区の計画を読んで、私が特に評価したいのは、トイレ対策をかなり具体的に整理している点です。

第一に、時間軸が示されています。

発災後3日目までは、し尿収集車に頼らない災害用トイレを中心にする。

4日目以降は、収集が必要な災害用トイレも含めて対応する。

この整理は、現実的だと思います。

第二に、し尿処理の流れが整理されています。

避難所等に設置した仮設トイレ等の設置状況を把握し、環境清掃部が収集・運搬体制を整備し、砂町水再生センター、有明水再生センター、し尿受入れマンホールへの搬入・処理体制を確保することが示されています。

第三に、家庭や事業所の備蓄も位置づけられています。

行政が全部対応するのではなく、家庭・事業所も自助として備える。

そのうえで、区が普及啓発や訓練を行う。

この考え方は、災害時には欠かせません。

第四に、災害用トイレの訓練や周知にも触れられています。

災害用トイレは、備蓄しているだけでは使えません。

組み立て方、設置場所、使い方、使用後の処理方法を知っておく必要があります。

江東区が、総合防災訓練などの機会を活用し、住民による災害用トイレの組立・設置や展示の機会をつくるとしている点は、とても重要です。

防災は、資料を整えるだけではなく、実際に使える状態にしておくことが大切だからです。

 

【これからさらに大切になる視点】

そのうえで、計画を現場で本当に機能させるために、今後さらに大切になると感じていることがあります。

それは、避難所運営に関わる方々の負担をできる限り小さくしながら、在宅避難者が安心して在宅避難を続けられる仕組みをつくることです。

江東区では、多くの方がマンションや集合住宅で暮らしています。

首都直下地震が起きたとき、自宅が倒壊しなければ、在宅避難を選ぶ方は多いと思います。

在宅避難は、避難所の混雑を減らし、本当に避難所での生活が必要な方を受け入れるためにも重要です。

自宅で生活を続けられる方が自宅にとどまることは、避難所に本当に避難が必要な方を受け入れるためにも大切です。

しかし、在宅避難を続けるには、水、トイレ、食料、情報、電源、生活用水、建物内設備の確認などが必要です。

もし、在宅避難者のトイレ備蓄が数日から1週間で尽きれば、拠点避難所やマンホールトイレ、公園、給水拠点に人が集まる可能性があります。

そのとき、避難所運営に関わる災害協力隊、町会・自治会、学校関係者、区職員、地域の支援者に、トイレの清掃、消毒、備品補充、行列整理、苦情対応などの負担が集中してしまうおそれがあります。

支援者自身も被災者です。

無限に動けるわけではありません。

だからこそ、区の計画を実効性あるものにしていくためには、トイレの数を確保するだけでなく、清掃・消毒・苦情対応・行列整理などを担う人を守る視点が必要です。

たとえば、在宅避難者がトイレだけを利用する場合のルール。

避難所内の生活スペースに入らず利用できる動線。

清掃・消毒・備品補充の役割分担。

使用済み携帯トイレの一時保管場所。

苦情や要望を受け止める窓口。

支援者の交代制や休憩の確保。

マンション管理組合との連携。

こうしたことを平時から決めておくことで、災害時の混乱を減らせると思います。

 

【所感】

今回、東京都と江東区の計画を読みながら、改めて感じたことがあります。

それは、江東区は東京都の被害想定や各種計画に沿って、非常に丁寧に計画を進めているということです。

特にトイレに関しては、発災直後の3日間、4日目以降、長期化した場合、し尿収集、下水道施設への搬入、家庭・事業所の備蓄、訓練・普及啓発まで、段階的に整理されています。

これは素直に評価したいと思います。

一方で、計画が丁寧に作られているからこそ、次の段階として、現場で実際に運用できるかをさらに具体化していくことが大切だと思います。

災害時に避難所を支える方々、特に災害協力隊や町会・自治会、学校関係者、地域の支援者の皆さんに過度な負担がかからないようにすること。

そして、自宅で生活を続ける在宅避難者が、必要な支援を受けながら安心して在宅避難を続けられるようにすること。

この両方を実現することが、江東区の防災にとってとても重要だと感じています。

在宅避難者を支えることは大切です。

同時に、支える側を守ることも大切です。

この二つは対立するものではありません。

むしろ、支える側を守る仕組みがあってこそ、在宅避難者への支援も続けられます。

災害時のトイレは、備蓄すれば終わりではありません。

設置すれば終わりでもありません。

し尿を処理できること、清掃できること、使う人がルールを理解していること、支援者が疲弊しないこと、在宅避難者が必要な情報を得られること。

そこまで含めて、初めて『災害時に使えるトイレ』になるのだと思います。

そのためにも、江東区では、災害用トイレの備蓄や設置だけでなく、在宅避難者の利用ルール、清掃体制、苦情対応、マンション管理組合との連携まで含めた運用ルールを、平時から具体化しておく必要があると感じています。

 

【おわりに】

東京都の計画、江東区の計画は、かなり丁寧に整えられてきています。

だからこそ、これからは、区民の皆さん、町会・自治会、災害協力隊、マンション管理組合、学校、行政が、それぞれの立場で、実際に動ける形にしていくことが必要です。

『まず3日分、できれば1週間分』は、備蓄を始めるための大切な目安です。

しかし、それは安心のゴールではありません。

特に水とトイレについては、ライフライン復旧や建物内設備の確認に時間がかかる可能性があります。

自分の家庭でできる備え。

マンションで決めておくべきルール。

拠点避難所で想定しておくべき運用。

支援者を守るための仕組み。

こうしたことを、平時の今から一つずつ確認していくことが、災害時の安心につながるのだと思います。

江東区の丁寧な計画を、現場で無理なく使える仕組みにしていくこと。

そして、災害協力隊をはじめ避難所運営に関わる方々の負担をできる限り軽くしながら、在宅避難者が安心して生活を続けられる地域にしていくこと。

これからも、計画を『作って終わり』にせず、現場で無理なく使える仕組みにしていくという視点で、防災対策を見ていきたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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