本日の要約
結論:物価高の影響は、単身世帯・二人以上世帯のどちらにも表れており、特に食費・住居費・光熱費など削りにくい支出への対策が重要です。
理由:家計調査を見ると、収入が増えていても実質消費は弱く、食料品を中心に「払う金額は増えているのに買える量は減る」状況が見えるからです。
何をするか:今回は、総務省の家計調査から単身世帯・二人以上世帯の支出構造を確認し、江東区で必要な支援策を考えます。
ブログへの訪問をありがとうございます!
今日は、午前中議会運営委員会に出席し、午後からは資料作りに励んでいました。
職能団体の現況調査結果を分析していたのですが、現場の危機感に感情を揺さぶられました。
また、今回の調査は今後の(地域福祉の向上という意味で)官民連携を大きく左右する事案なため、結果をまとめながら、現場と行政の垣根を下げるためにどのように資料を活用することがベストかを考えていました。
さて、今日は、ここ数年多くの方が関心を寄せている物価高について、家計の状況を調べてみました。
スーパーなどに行く中で物価高は実感していますが、その実感が統計上の家計状況とどう重なるのか、総務省の家計調査から確認してみたいと思ったのです。
では、行ってみよー☆
【家計調査ってなに?】
家計調査は、ざっくり言うと、「日本の家庭が、毎月いくら収入を得て、何にいくら使い、どれくらい貯蓄・負債を持っているか」を調べる国の基幹統計です。
総務省統計局が、全国から統計的に選ばれた約9,000世帯を対象に、毎月調査しています。結果は、景気動向の把握、生活保護基準の検討、消費者物価指数品目選定・ウエイト作成、自治体や民間企業の分析などに使われています。
わかりやすく言うと、家計調査とは、家庭の『家計簿』を全国規模で集めて、社会全体の消費や生活実態を把握する調査です。
『暮らし向きが本当に良くなっているのか、それとも物価高で支出だけ増えているのか』を見極めるための基礎資料ですね。
調査で見ている主な内容は、次の4つです。
①収入
②支出
③貯蓄
④負債
家計調査は単なる『支出の統計』ではなく、収入・支出・貯蓄・負債を通じて、暮らし全体を見る統計なんですね。
特に重要なのは、日本経済の大きな柱である個人消費の動きを見る統計だという点です。
企業の売上やGDPにもつながるため、政府・自治体・日銀・民間企業も重視している統計です。
対象は、全国から選ばれた約9,000世帯です。
ただし、全世帯を調べているわけではありません。統計的な抽出方法で選ばれた世帯に、家計簿のような形で支出などを記録してもらいます。
ここで大事なのは、家計調査には主に3つの見方があることです。
①二人以上の世帯
②単身世帯
③総世帯
ニュースでよく出る『家計調査で消費支出が○%増減』という話は、たいてい二人以上の世帯の月次結果です。
一方、単身世帯や総世帯は、主に四半期ごとに公表されます。二人以上世帯の結果は毎月、単身世帯・総世帯の家計収支、二人以上世帯の貯蓄・負債は四半期ごとに公表される、と説明されています。
これをみる際に重要なのは、名目と実質の違いです。
名目は、実際に支払った金額の増減、実質は、物価上昇の影響を除いた数量・購買力ベースの増減です。
また、注意点として下記があります。
そのため、今回は単身世帯と二人以上世帯を分けて見た①平均値は実感とズレることがある
②住居費は低く見えやすい
③単月の数字はブレやすい
④世帯区分を混ぜてはいけないうえで、最後に共通する課題を整理します。
【単身世帯の現状】
単身世帯は月次ではなく四半期・年平均で見る形になるため、『消費支出・費目別・所得が読める範囲』を分けて整理します。
単身世帯の家計は、ひと言でいうと、食費・住居費・光熱水道などの削りにくい支出に圧迫されやすい構造です。
2025年の単身世帯の月平均消費支出は、e-Statの家計調査・用途分類年次値を整理したデータでは173,042円、うち食料が44,659円です。
食料だけで消費支出の約26%を占めます。
次いで、その他の消費支出34,611円、住居21,667円、教養娯楽20,250円、交通・通信19,190円となっています。
つまり、単身世帯では、食料、住居、通信・交通、光熱水道といった『削りにくい支出』がかなり大きいことがわかります。
二人以上世帯と比べると総額は小さいですが、1人当たりで見ると割高になりやすいのが特徴です。

一番大きいのは食料です。単身世帯では自炊しても外食・中食に頼っても、二人以上世帯ほど食材・光熱費・調理コストを分散できません。そのため、食費の比率が高くなりやすいです。
また、『住居』が21,667円に見える点には注意が必要です。
これは持ち家世帯や家賃を払っていない世帯も含む平均なので、江東区のように民間賃貸の負担が大きい地域では、賃貸単身者の実感とはかなりズレます。
e-Statの表にも、持家率や家賃・地代を支払っている世帯割合といった項目が用意されており、単純な住居費平均だけでは実態を読み切れない構造になっています。
【二人以上世帯の現状】
二人以上世帯では、食費に加えて、交通・通信、教育、光熱水道など、家族人数に応じて膨らみやすい支出を見る必要があります。
まずは、単身世帯と同じように円グラフで出しますね。

二人以上世帯の消費支出総額314,001円となっています。
二人以上世帯で最も大きいのは、食料94,895円で、消費支出全体に占める割合は約30.2%。これはかなり大きく、家計の中で食費が中心的な負担になっていることが分かります。
2025年は食料について、名目では増えていますが、実質では減少しています。
つまり、支払っている金額は増えているのに、物価を除いた実質的な消費量は減っているということです。
総務省の年報でも、2025年の食料は名目5.5%増、実質1.2%減とされています。
これは、住民感覚でいう『食費が高くなった』『同じ金額では前ほど買えない』という実感と合います。
次に大きいのが、交通・通信47,188円で割合は約15.0%です。
ここには、鉄道・バス・タクシーなどの交通費、ガソリン代、自動車関係費、通信料などが含まれます。
二人以上世帯では、通勤・通学・送迎・買い物・通院など、家族単位の移動があるため、交通・通信費が大きくなりやすいです。
特に自動車保有世帯では、自動車購入、維持費、燃料費、保険料などの影響が大きく出ます。
単身世帯と違い、二人以上世帯では家族の人数分の移動・通信ニーズが積み上がるため、この費目がかなり重くなります。
3番目に大きいのは、その他の消費支出44,560円で割合は約14.2%です。
この中には、理美容、身の回り用品、交際費、仕送り金、諸雑費などが含まれます。
二人以上世帯では、親族・地域・学校・職場などとの付き合い、冠婚葬祭、贈答、子ども関連の交際的支出などが入りやすく、単なる雑費ではありません。
政策的に見ると、この費目は生活の『余裕』や『社会的つながり』と関係します。
物価高や所得低迷でここが削られると、地域活動、親族間支援、子どもの体験活動などにも影響が出る可能性があります。
続いて、教養娯楽は32,809円で割合は約10.4%です。
ここには、旅行、宿泊、レジャー、スポーツ、書籍、習い事、娯楽サービスなどが含まれます。
ただし、これは世帯によって差が大きい費目です。
余裕のある世帯では旅行・レジャーに支出できますが、低所得世帯では真っ先に削られやすい部分でもあります。
さらに、光熱・水道は27,029円で割合は約8.6%です。
二人以上世帯では、人数が多い分、電気、ガス、水道の使用量が増えます。
ただし、単身世帯と比べると、基本料金などを複数人で共有できるため、1人当たりの負担は相対的に小さくなりやすいです。
住居は20,801円で割合は約6.6%ですが、ここはかなり注意が必要です。
単身世帯のときと同じく、家計調査の住居費平均には、持ち家世帯や家賃を払っていない世帯も含まれます。
そのため、江東区の民間賃貸世帯の実感よりかなり低く出ていると私は捉えています。
教育は12,746円で割合は約4.1%です。
平均で見ると大きくないように見えますが、これは子どもがいない世帯も含む平均だからです。
したがって、教育費を見るときは、二人以上世帯全体の平均だけでなく、世帯主の年齢別、子どもの有無別、世帯類型別で見る必要があります。
【二人以上世帯動向(推移から考える)】
今回の家計調査をひと言でいうと、2025年は消費が3年ぶりに持ち直した一方、2026年初は再び弱くなっています。
所得は伸びているのに、家計は消費に慎重になっているという内容です。
特に重要なのは、2026年3月の二人以上世帯の消費支出が1世帯当たり334,701円、前年同月比で実質2.9%減、名目1.3%減、季節調整済み前月比でも実質1.3%減だった点です。
名目より実質の落ち込みが大きいので、物価上昇を考慮すると、家計の購買力ベースではかなり弱い数字です。
ここで特に大事なのは、『名目』と『実質』の違いです。
名目は、実際に支払った金額の増減です。
実質は、物価上昇の影響を除いた数量・購買力ベースの増減です。
たとえば2026年3月は、名目では1.3%減ですが、実質では2.9%減です。
これは、支出金額も減っているうえに、物価を考慮すると家計が買った量・サービスの実質的な水準はさらに大きく落ちている、という意味です。
2026年3月の消費支出は、4か月連続の実質減少です。
内訳を見ると、増えている費目もありますが、全体としては『交通・通信』と『その他の消費支出』の落ち込みが、消費支出全体を押し下げています。
2026年3月の二人以上の勤労者世帯では、実収入は557,663円で、前年同月比は名目6.4%増、実質4.7%増でした
つまり、収入面だけを見ると悪くありませんが、支出行動まで見ると家計はかなり慎重になっていることがわかります。
可処分所得、つまり手取り収入も453,448円、実質4.7%増です。
一方で、勤労者世帯の消費支出は374,892円、実質3.6%減でした。平均消費性向は82.7%で、前年同月の89.9%から7.2ポイント低下しています。
これはかなり示唆的です。
所得は増えたが、家計はその増加分を消費に回しきっていないということです。
考えられる背景は、物価高への警戒、将来不安、耐久財購入の反動、税・社会保険料負担、住宅ローン金利や教育費への備えなどです
統計上は『収入が増えているから消費も強い』とは言えず、むしろ家計の財布のひもは締まり気味と読むのが自然です。
また、食費は金額としては増えているが、買える量・質はむしろ減っている可能性があるということです。住民感覚としての『食料品が高くて生活が苦しい』と整合する数字です。
2025年平均の勤労者世帯を見ると、可処分所得は532,408円で、名目では1.9%増えていますが、実質では1.7%減です。
特に世帯主年齢別では、50〜59歳で実質3.5%減、40〜49歳で実質2.2%減となっています。
一方、勤労者世帯の平均消費性向は65.0%で、前年より2.8ポイント上昇しました。
つまり、2025年は手取りの実質購買力が下がるなかで、消費支出を増やした側面があります。
これは、かなり重要です。
2025年の消費増は「所得が十分に増えたから余裕をもって消費が増えた」というより、物価高のなかで必要支出が膨らみ、結果として消費性向が上がったと見るべき部分があります。
【比較して考える】
2025年平均で見ると、支出構造は次のようになります。

単身世帯でも二人以上世帯でも、最大級の負担は食料です。
二人以上世帯では、食料が月94,895円で消費支出の約3割。単身世帯でも食料は最大費目で、月約44,700円です。
ここで重要なのは、食費は削りにくい支出だということです。
旅行や娯楽は控えられても、食料はゼロにできません。しかも物価高局面では、同じ金額を払っても買える量や質が落ちるため、生活実感はかなり悪化します。
政策的には、食費負担の軽減は、単身世帯にも二人以上世帯にも影響する共通課題です。
また、同じ物価高でも、困り方は違います。
単身世帯については、生活費支援と孤立防止を一体で考える必要があると感じました。
単身世帯と一言で言っても、若年単身者、現役世代、高齢単身者など状況はさまざまであり、食料支援だけでは不十分です。
食べ物があっても、買いに行けない、調理できない、相談先がない、医療につながれない、という問題が起きます。
そのため、配食、見守り、医療・介護・福祉相談をつなげる設計が必要だと理解しました。
二人以上世帯については、家族人数に応じて膨らむ支出をどう支えるかが重要だと感じました。
二人以上世帯では、とくに子どもの有無で必要政策が大きく変わります。
全体平均では教育費は小さく見えますが、子育て世帯だけで見ると負担は大きくなっています。
そのため、支援対象は『二人以上世帯全体』ではなく、子どもの人数、年齢、所得、住居形態で分ける必要があると思います。
【まとめ】
資料を読み込む中で、江東区の単身世帯にも二人以上世帯にも共通して重要なのは、次の5つだと考えました。
①食費対策(最大費目であり、物価高の影響が直接出る)
②住宅政策(平均値では見えにくいが、江東区では家計を圧迫する)
③光熱費対策(生活必需支出で削りにくい)
④交通・通信支援(就労、通学、通院、行政手続、孤立防止に不可欠)
⑤所得階層別支援(平均値では困窮層が見えない)
つまり、物価高対策は一律支援だけでなく、世帯構成、住居形態、所得階層、年齢層ごとに負担の出方を見ながら設計する必要があります。
上記について、国や東京都の支援動向を見極めつつ、それでも不足している部分を提案していけたらと思います。
また、特に江東区のように民間賃貸や集合住宅が多い地域では、全国平均の住居費だけでは生活実感を捉えにくく、住宅費を含めた家計負担の把握が重要になります。
その際には、単に家計を支えるだけでなく、区内店舗や地域サービスにもお金が回るよう、地域経済を支える視点も大切だと感じました。
【おわりに】
物価高で生活が苦しいという声は、区民の方々からも多く聞きます。
ただ、どの支出が、どの世帯に、どのように重くのしかかっているのかは、個別の声だけでなく、統計からも確認する必要があります。
今回、総務省のデータを見てみると、思った以上に生活に余裕がない状況が浮き彫りになったと感じました。
この点は、ブログでは詳しく書きませんが、個人的にもう少し深掘りし、経済課などとも意見交換したいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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