本日の要約
結論:江東区の地域包括ケアは、介護サービスを増やすだけでなく、医療・住まい・相談支援・介護予防・認知症支援を一体で組み直す段階に来ています。
理由:2040年に向けて介護需要が増える一方、担い手は減り、圏域ごとの課題や資源の差がより大きくなるからです。
何をするか:江東区は、圏域別の需要推計と課題の見える化を行い、関係機関を巻き込みながら実効性ある計画に落とし込む必要があります。
ブログへの訪問をありがとうございます!
今日は、午前中に大島六丁目団地内にある『カフェ06』にお邪魔し、認知症に関する方々からお話を聞いてきました。
今日聞いた当事者や現場の声も踏まえると、国の資料に書かれていることは、江東区にとってもかなり具体的な課題だと改めて感じました。
また、事前に所管課長にお話をしたのですが、江東区も認知症支援については、当事者や家族から丁寧に聞き取りしながら当事者等の声を活かしつつ体制を考えていきたいと伺っていたため、その旨お伝えさせていただきました。
そうそう。
当区の職員の方々は机上で事務作業だけではなく、積極的に関係機関に顔を出したりヒアリングを行っています。
すぐに何かが変わるということは江東区の体制上難しいのですが、江東区の職員さんは少なくとも『現場に行き向き合う』という姿勢を持っておられることは報告をさせてください。
さて、今回は、今までの資料から、地域包括ケアシステム構築に向けて、江東区が行うべきことをまとめました。
国が2040年を見据えた環境整備を明確に打ち出したことを受け、単に既存の延長で計画を策定するのではなく、データを上手に使いながら、今一度既存計画で取り組んでいる内容を棚卸し、新たに計画策定をし直すことが求められていますが、それを江東区ではどうしたらよいかについて書きます。
今回はあえて優先順位をつけず、まずは江東区が取り組むべき論点を一覧化します。次回は、それを踏まえて、私なりに優先順位をつけて提案したいと思います。
では、行ってみよー☆
【これまでの資料のおさらい】
これらの資料は、2040年に向けて介護需要が増える一方、担い手が減る中で、地域包括ケアシステムをどう作り直すかを議論する厚労省資料です。
4月24日資料は、地域を『大都市部』『一般市等』『中山間・人口減少地域』などに分け、人口・介護需要の変化に応じてサービス提供体制を考えるものです。
特に大都市部では、高齢者人口と介護需要が増え続けるため、多様なサービス、ICT・AI、民間活力を活用した基盤整備が必要とされています。
4月27日資料は、相談支援とケアマネジメントの見直しです。高齢者の課題が医療、認知症、独居、権利擁護、家族問題など複合化する中、ケアマネジャーが本来の専門業務に集中できるよう、業務分担、ICT活用、更新制・研修負担の見直し、主任ケアマネの役割明確化を進める内容です。
4月28日資料は、介護予防・日常生活支援総合事業の充実です。住民、NPO、民間、社協、ボランティア等を組み合わせ、通いの場、生活支援、介護予防、認知症施策を地域の実情に合わせて増やす方向です。
ただし、総合事業の見直しを令和6年度中に実施した市町村は約9%にとどまるため、自治体側の主体的な再設計が課題です。
4月30日資料は、高齢者向け住まい、とくに有料老人ホームや住宅セーフティネットの見直しです。入居者が住まいと介護サービスを適切に選べるよう、情報公表、紹介事業者の透明化、行政の指導監督、囲い込み対策、住宅部局と福祉部局の連携が求められています。
少子化が進む中、高齢者数は2042年まで増え続けると言われています。
だからこそ、2040年の江東区を描き、逆算的に取り組んでいくことが何よりも重要です。
【江東区はどんなことが求められている?】
江東区のような大都市では、『施設を増やすかどうか』だけでなく、在宅、医療、住まい、地域包括、ケアマネ、民間事業者、住民活動をどう組み合わせるかが政策の中心になります。
今回はあえて優先順位をつけず、まずは必要な論点を一覧化します。
大きく分けると、①データと計画、②医療・介護の受け皿、③地域包括・ケアマネ支援、④住まいと認知症支援、⑤人材・財源・政策形成の5つです。
この5つの視点で見ると、20項目は単なる事業の羅列ではなく、江東区の地域包括ケアを組み直すための設計図として読めます。
1 2040年・2050年を見据えた『江東区版・介護需要推計』を作り直す
土台になるのは、介護保険事業計画を単なる3年計画にせず、2040年・2050年を見据えた中長期推計にすることです。
また、計画策定においては、介護サービス量、地域支援事業量、保険料水準の中長期推計を行い、都道府県とも共通認識を持つことが示されています。
江東区では、区全体だけでなく、深川、城東、湾岸、砂町、南部など、生活圏域ごとの高齢者数、85歳以上人口、要介護認定者、独居高齢者、認知症高齢者、介護サービス利用量を分けて推計すべきです。
大都市部では高齢者人口と介護需要の増加が見込まれる一方、介護人材確保が難しくなるため、需要推計と人材確保を一体で考える必要があります。
2 日常生活圏域ごとに『介護サービスの不足・過剰』を見える化する
検討データとして、人口推計、認定者数、受給者数、介護サービス見込量、介護事業所・医療機関数、高齢者向け住まい、介護人材、在宅医療、施設・居住系サービスの医療ニーズ対応状況を挙げています。
江東区では、例えば『訪問介護が不足している地域』『通所介護はあるが医療ニーズ対応が弱い地域』『高齢者向け住まいは多いが在宅医療との接続が弱い地域』などを、圏域別に地図化することが重要です。
単に事業所数を見るのではなく、実際の受給者数、稼働率、待機状況、夜間対応、看取り対応、認知症対応、医療処置対応まで把握する必要があります。
3 東京都・近隣区との広域調整を強化する
都道府県と市町村が共通の課題認識を持ち、市町村を越えた広域的な議論を行うことが不可欠とされています。
江東区単独では、病院、在宅医療、介護人材、施設整備を完結できません。
特に区民は区内だけで医療・介護を利用するとは限らないため、東京都、墨田区、中央区、江戸川区、葛飾区等との医療・介護圏域の調整が必要です。
東京都の老人福祉圏域・二次医療圏の議論に、江東区として具体的なデータを持ち込み、区民の受け皿確保を主張できる体制を作る必要があります。
4 在宅医療・介護連携を『会議』から『実際の受け皿づくり』へ進める
2040年に向けて85歳以上が増え、医療と介護の複合ニーズを抱える人が急増するため、在宅・施設・医療機関の受け皿確保と急変時対応が必要とされています。
江東区では、在宅医療・介護連携推進事業を、研修や顔合わせで終わらせず、入退院支援、救急搬送後の戻り先調整、看取り、認知症急変時対応、訪問看護・訪問介護の連携まで実務化する必要があります。
特に高齢者施設等と協力医療機関のマッチングは、国資料でも足元の検討事項に挙げられています。
5 高齢者施設・高齢者住まいと協力医療機関のマッチングを区が支援する
協力医療機関を確保できていない福祉施設・介護施設が一定程度あり、地域差が大きいこと、未対応施設へのマッチングが必要とされています。
江東区では、特養、老健、介護医療院、有料老人ホーム、サ高住等について、協力医療機関の有無、夜間・休日対応、急変時対応、看取り対応、救急搬送後の受入れ体制を把握し、区医師会、病院、訪問診療、訪問看護と結び直すべきです。
これは、施設入所者だけでなく、救急医療の逼迫防止にも直結します。
6 ケアマネジャーが本来業務に集中できるよう、区が『シャドウワーク』を整理する
ケアマネジャーは医療・介護連携のハブとして専門性を発揮し、一人ひとりに寄り添ったケアマネジメントに注力できる環境整備が必要とされています。
また、法定業務以外の業務はケアマネジャー個人の問題ではなく、地域課題として市町村が関係者と協議すべきものとされています。
江東区では、ケアマネが実際に抱えている、金銭管理、身寄り問題、住宅トラブル、通院同行、書類代行、虐待疑い、消費者被害、孤独死リスクなどを調査し、『ケアマネが担う業務』『地域包括が担う業務』『社協・成年後見・民間支援につなぐ業務』に分けるべきです。
7 地域包括支援センターを『相談窓口』から『地域マネジメント拠点』に変える
地域包括支援センターについて、地域のネットワーク構築、社会資源の創出、地域ケア会議への主体的関与など、地域づくりの役割を重視しています。
江東区では、地域包括支援センターが個別相談で手一杯にならないよう、地域づくり担当機能を明確化すべきです。具体的には、マンション管理組合、町会・自治会、民生委員、薬局、スーパー、コンビニ、郵便局、警察、消防、NPO、社協と連携し、孤立高齢者や認知症高齢者を早期に把握できるネットワークを作ることが必要です。
8 ケアプランデータ連携・ICT・AI活用を区内事業者へ広げる
業務効率化として、ケアプランデータ連携システムの普及促進やAIによるケアプラン作成支援が挙げられています。
江東区では、区内の居宅介護支援事業所、訪問介護、訪問看護、通所介護、地域包括支援センターを対象に、ICT導入状況、紙・FAX依存、請求・記録・連携業務の負担を調査し、導入支援を行っています。
そのため、小規模事業所は単独でICT化しにくいため、区が研修・伴走支援・共同導入の仕組みを用意するのが現実的です。
9 主任ケアマネジャーを地域の人材育成・支援の核にする
主任ケアマネジャーについて、他のケアマネジャーへの指導・育成の役割を持ち、制度的位置付けや研修、評価、柔軟な配置を検討するとされています。
江東区では、主任ケアマネを単なる資格者として扱うのではなく、困難事例の助言、若手ケアマネ支援、医療連携、地域ケア会議での課題抽出、ケアプラン点検の質向上に関わってもらう体制を作るべきです。
区として主任ケアマネ連絡会を強化し、地域包括ごとの支援体制に組み込むことが考えられます。
10 総合事業を「軽度者の受け皿」として本格的に再設計する
市町村が中心となり、多様な主体を含めた地域の力を組み合わせて地域をデザインすること、住民や多様な主体による入浴・食事支援、運動習慣づけ、活動Aの弾力化、生活支援コーディネーターを中心としたタウンミーティングや試行的実施が示されています。
江東区では、総合事業を『安上がりな代替サービス』としてではなく、通いの場、買い物支援、見守り、食事支援、入浴支援、スマホ支援、移動支援、就労的活動、ボランティア参加を組み合わせる地域支援の仕組みにする必要があります。
今後、軽度者への生活援助サービスのあり方が国で検討されるため、江東区として先に受け皿を厚くしておくべきです。
11 介護予防・日常生活圏域ニーズ調査を政策評価に使う
ニーズ調査は、日常生活圏域ごとの地域診断に資するものとされ、第10期では被保険者番号と照合可能な形式も示されています。
一方で、見える化システムへの登録は一部自治体にとどまるとされています。
江東区では、ニーズ調査を実施して終わりにせず、転倒リスク、閉じこもり、口腔機能、低栄養、社会参加、認知機能低下、孤立傾向を圏域別に分析し、総合事業・通いの場・地域包括の活動に反映すべきです。
12 通いの場を、マンション・商業施設・公共施設まで広げる
通いの場は、住民主体の介護予防、社会参加、支え合い、多世代交流の場として位置付けられています。
江東区では、既存団体だけでなく、大規模マンションの集会室、商業施設、図書館、スポーツセンター、文化センター、団地集会所、空き店舗などを活用し、身近な場所で参加できる通いの場を増やすべきです。
内容も体操だけでなく、会食、趣味、スマホ講座、防災、認知症予防、就労的活動、多世代交流まで広げると、参加の入口が増えます。
13 認知症施策を『早期発見』だけでなく、本人参画・権利擁護まで広げる
認知症高齢者や認知症の独居高齢者の増加を踏まえ、早期かつ適切な医療・介護、地域の取組、独居認知症高齢者への支援、権利擁護、意思決定支援が必要とされています。
江東区では、認知症施策推進計画を作るだけでなく、本人ミーティング、ピアサポート、認知症カフェ、若年性認知症支援、行方不明対策、消費者被害防止、成年後見、日常生活自立支援事業を一体で整備すべきです。
認知症本人や家族が計画づくりに参加する仕組みも重要です。
14 有料老人ホーム・サ高住の実態を区が把握する
有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅が多様な介護ニーズの受け皿となっているため、市町村全域・日常生活圏域ごとの設置状況、要介護者数、利用状況を勘案することが求められています。
江東区では、区内の有料老人ホーム・サ高住について、定員、入居者数、要介護度別人数、認知症対応、医療処置対応、看取り、協力医療機関、併設介護事業所、特定施設指定の有無を把握し、介護保険事業計画に反映させるべきです。
15 住宅型有料老人ホーム等の『囲い込み』対策を行う
住宅型有料老人ホームやサ高住で、同一・関連法人の介護事業所が併設され、入居者に過剰な介護サービスが提供される、いわゆる『囲い込み』の問題が示されています。
江東区では、住宅型有料老人ホーム等について、ケアマネ事業所の独立性、入居者のサービス選択の自由、支給限度額利用割合、同一法人サービスへの集中、ケアプランの妥当性を確認する必要があります。
ケアマネジャーの独立性を担保する体制、指針公表、研修、相談担当者設置、行政チェックの仕組みの検討が必要です。
16 入居者紹介事業者・紹介手数料の透明化を促す
入居者紹介事業者について、高齢者や家族、自治体、医療機関、地域包括、ケアマネ、医療ソーシャルワーカー等が、適切な紹介事業者を確認・選択できる仕組みが必要とされています。
また、有料老人ホーム側も紹介事業者の活用や提携の有無、紹介手数料の算定方法等を公表・明示する必要があるとされています。
江東区では、区民相談や地域包括支援センターで、紹介事業者を利用する際の注意点、手数料の仕組み、契約前に確認すべき事項、退去条件、医療・介護が必要になった場合の対応を案内できるようにすべきです。
17 住宅部局と福祉部局の連携を制度化する
高齢者住まいの情報把握について、住宅担当部局や都道府県と連携して設置状況等を積極的に把握することが重要とされています。
江東区では、福祉部局だけで高齢者住まいを扱うのではなく、住宅課、建築部局、福祉部局、保健所、社協、居住支援法人、不動産団体、医療機関をつなぐ会議体を作るべきです。
特に、身寄りのない高齢者、保証人がいない高齢者、退院後の住まいがない高齢者への支援は、介護だけでなく住宅政策そのものです。
18 介護人材確保と生産性向上を、区の産業政策・雇用政策として扱う
介護人材確保、生産性向上、ICT・介護ロボット、タスクシェア、経営の協働化、文書負担軽減などが制度の持続可能性の柱として示されています。
江東区では、介護人材を福祉部門だけの課題にせず、区内就労支援、シルバー人材、外国人材支援、介護助手、短時間就労、介護事業所の共同採用、研修費補助、ICT導入支援と結びつけるべきです。大都市部では人材の取り合いが起きやすいため、『区内で働き続けてもらう』ための処遇・研修・働きやすさ支援が重要です。
19 給付と負担の見直しに備え、低所得高齢者への影響を把握する
介護費用の増加、保険料上昇、給付と負担のバランス、負担能力に応じた負担、低所得者への配慮が論点になっています。
江東区としては、国の制度改正を待つだけでなく、利用控えが起きていないか、低所得高齢者がサービス利用を減らしていないか、補足給付や保険料段階の影響、独居高齢者の生活困窮を把握する必要があります。
制度の持続可能性は重要ですが、必要な介護を受けられなくなる人を出さないため、区独自の実態把握が不可欠です。
20 地域ケア会議を『個別事例検討』から『政策形成の場』に変える
資料を通じて共通しているのは、個別支援から見える地域課題を地域づくりや計画に反映することです。
地域ケア会議への主体的関与や地域づくりの必要性が示されています。
江東区では、地域ケア会議で出た課題を、『訪問介護不足』『身寄りなし高齢者の支援不足』『医療機関との連携不足』『認知症独居高齢者の見守り不足』『住宅型有料老人ホームの囲い込み懸念』などに分類し、介護保険事業計画、高齢者地域包括ケア計画、住宅政策、地域福祉計画に反映する仕組みを作るべきです。
つまり、必要なのは個別事業を増やすことだけではなく、現場で見えた課題を計画に戻し、計画をまた現場で動かす循環を作ることです。
【まとめ】
これまでの資料を踏まえると、江東区が目指すべき方向は明確です。単に『介護サービスを増やす』ことではありません。
むしろ、2040年に向けて、圏域ごとの高齢化、医療ニーズ、住まい、介護人材、地域資源の違いを把握し、在宅医療、介護、住まい、相談支援、介護予防、認知症支援を一体で組み直すことが中心です。
江東区のような大都市では、サービス資源は一定程度存在します。
しかし、資源があることと、必要な人に届くことは別です。
今後は、区が圏域ごとの課題を把握し、地域包括支援センター、ケアマネ、医療機関、介護事業者、高齢者住まい、マンション管理組合、住民団体をつなぐ『調整機能』を強化することが、最も重要な政策課題になります。
【所感】
国が示す資料を踏まえて、自治体のやるべきことを書き出したとき、江東区はすでに取り組んでいることも多いと感じました。
特に、現状把握については調査をしっかり行っており、状況を捉えることができていると思います。
一方で、把握した状況を課題として整理し、目標やKPIに落とし込む部分には、まだ改善の余地があると感じています。
また、計画を関係機関に伝え、実際の動きにつなげる部分には、さらに強化の余地があると感じています。この点を意識して優先順位を立て、計画に落とし込むことができれば、江東区の地域包括ケアシステムはより実効性のあるものになると思います。
私は立場的に現場の声を聴けるため、現場感覚を入れながら、明日は優先順位について書いていきたいと思います。
【おわりに】
本当は、今回挙げた取り組むべきこと一つひとつに所感を書きたかったのですが、論点が非常に多いため、今回は全体像を整理するところまでにしました。
そのため、次回(GW明け)は、今回整理した論点に優先順位をつけ、江東区として何から取り組むべきかを書きたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました

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