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今回は、江東区議会第2回定例会一般質問で質疑した大綱2点目の詳細を報告します。
【今回の質問ポイントについて】
大綱2点目は、掲げているスローガン『ひとりで頑張らない地域づくり』の推進に向け、単身高齢者への安否確認を中心とした支援体制について質問をしました。
これは毎年質問しているテーマですが、今回は、安否確認と逝去後の早期発見の仕組みに重きを置いて質問をしています。
高齢者のこども世代以降は、核家族化が進んだことで『終末期』に対するイメージが湧かない方も増えています。
だからこそ、いざという時の意思決定を元気なうちから行うことが、高齢者自身の意思を尊重することに繋がるという主張をしており、地域福祉計画にその旨を盛り込むことを含め質問しています。
【一般質問やり取り】
【質問】
続いて、大綱2点目の『単身高齢者への支援について』です。
最初に、本区の高齢者に関する現状からお伝えします。
令和2年の国勢調査では、高齢者の単身世帯は40%、単身リスクの高い老夫婦世帯は28%となっており、単身または単身リスクの高い高齢者は68%という状況です。
また、令和5年3月に出された『江東区高齢者生活実態調査報告書』では、親族世帯との同居や近くに住むことを望まない割合は46.1%となっております。
このことから、本区は単身高齢者が多いこと、そして、これからも単身生活を継続しようという方が多いことを示しています。
また、日常生活の中での不安に関する質問では『老後、高齢への漠然とした不安』が回答の最多となっています。
ほか、『人生の最終段階において自分の希望や考え方を家族などと話し合っているか』という質問に対しては、『まだ話し合ったことはないが、興味・関心はある』が過半数を超える56.4%となっています。
これらのことから、高齢者の多くは、高齢期に起こるリスクやそれに対する対策をうまく想像できず、それが漠然とした不安につながると同時に、準備ができないのではないかということ、そして、単身なため、自身の最終段階の希望や考え方を家族と十分に話し合う機会が持てないのではないかと考えています。
また、今までシャドーワークと呼ばれている、いわゆる福祉専門職による業務外の善意による支援について、現在は厚生労働省がケアマネジャーの業務見直しを進めており、再来年度の改定以降は福祉専門職による善意に頼れなくなる可能性も予測されます。
これらのことから、これからは高齢期に起こる状況の見える化と、高齢者の意思決定支援の仕組みづくりが必要だと考えます。
具体的には、例えば、昨年度より開始したお悔みコーナーの『お悔み手続きガイド』のように、死後を含めた終末期の段階を見える化することによる老後の理解促進と、最期まで自分らしさを保つための準備負担を軽減できる仕組みづくりを提案いたします。
このように、誰でも元気なうちから終末期及び死後の準備を始めることができる環境づくりは、高齢者の尊厳を守る上で必要な支援になると考えますが、本区の見解を伺います。
続いて、単身高齢者の生活リスクについて質問をいたします。
単身高齢者の生活リスクを考えた際、高いものの一つとして『孤独死』があります。
現在本区では、単身高齢者の緊急時対応として『あんしん情報キット』がありますが、これは消防署とも連携しており、とても有効な事業だと評価しております。
しかし、あんしん情報キットは緊急時対応を目的としているため、お亡くなりになっていた場合には十分に活用できない状況となっています。
そこで、昨年の代表質問でも申し上げましたが、横須賀市の『終活情報登録事業』を本区でも実施し、既存のあんしん情報キットに登録確認の項目を追加すれば、もし、ご自宅や外出先でお亡くなりになっても、当人の意思決定を速やかに把握し対応することができ、尊厳を守ることに繋がると考えております。
このように、生前の準備を無駄にしないためにも、当事者が準備した情報を行政が登録し、必要に応じて情報開示する終活情報登録が必要だと考えますが、本区の見解を伺います。
また、区のあんしん情報キットなど、既存の事業を活用した終活情報登録の必要性について、本区の見解を伺います。
ほか、単身高齢者向けに、住まい確保支援や見守り・緊急通報など様々な支援が事業化されていますが、これらには対象要件が厳しく、単身高齢者が孤独死した場合に早期発見されない不安から事業を受けたいと希望しても、対象要件にうまく該当せずに利用できない方が一定数いる現状があります。
せっかく有効な事業があるのに対象要件に該当していないために活用できない方がおられるのは、区民にとっても事業を提供している本区にとってももったいないことです。
そこで質問ですが、逝去後の早期発見という視点で、単身高齢者がどんな状況でも希望すれば安心して生活が送れる環境を整備するため、安否確認や通報関係事業の対象要件を見直すべきと考えますが、本区の見解を伺います。
本区の平均世帯員数は1.83人となっており年々低下傾向にあります。
だからこそ、老後に漠然とした不安を抱くことなく、ひとりで生活を送っていても安心できる環境づくりが必要であり、そのための整備を進めて頂くことを要望し、この質問を終わります。
【答弁】
次に、単身高齢者への支援についてのご質問にお答えいたします。
まず、単身高齢者でも終末期及び死後の準備を始めることができる環境づくりについてであります。
人生の終末期に、自身の死後に生じる葬儀やお墓、財産処分などの問題を、希望に沿った形で、ご自身が生前に整理するいわゆる「終活」は、誰もが人として尊厳のある最期を安心して迎えるための手続きであり、単身高齢者の方々もその準備を円滑に進められるよう区が環境づくりを進めていくことは、重要な取り組みであると認識しております。
本区では福祉会館などの高齢者施設において、遺産や相続に関する講座を開設しているほか、権利擁護センターでも司法書士による終活支援の講習会を行っております。
今後も引き続き、誰もが尊厳ある終末期を迎えられるよう、環境づくりに努めてまいります。
次に、終活情報登録事業についてであります。
ご提案の事業は、本人が亡くなったり意思疎通が難しくなった際に、あらかじめ本人が生前登録した終活情報を、親族や病院、福祉施設等に自治体が情報開示を行うもので、これにより本人が安心して終末期を過ごすことができる取り組みであると認識しております。
一方で、登録情報には家庭事情や財産情報、延命措置や臓器提供の可否などの個人情報のほか、葬儀には宗教観や死生観も含まれるため、これらの情報を区が預かることに対しては慎重に検討していく必要があることから、今後も他の自治体の事例等を調査・研究してまいります。
次に、既存の事業を活用した終活情報登録の必要性についてであります。
本区の「高齢者あんしん情報キット」は、65歳以上の高齢者を対象に、かかりつけ医や服薬内容、緊急連絡先などの情報を自宅の冷蔵庫などに保管してもらい、救急搬送などの際に、それらの情報を速やかに救急隊や医療機関に提供することを目的とした事業であります。
万一に備えた情報管理といった点で、終活情報登録事業に類似した既存事業ではありますが、緊急時の医療に対する情報提供を目的とした「高齢者あんしん情報キット」に、終活情報を含めることの可否につきましては、事業の趣旨や方向性なども含めて今後検討してまいります。
次に、安否確認や通報関係事業の対象要件の見直しについてであります。
本区では、お部屋探しサポート事業により賃貸借契約をした単身高齢者・単身障害者を対象としたⅠOT電球を活用した見守りサポートや、慢性疾患等により日常生活を営む上で常時注意を要する高齢者を対象とした、緊急時に警備会社へ自動通報を行う高齢者救急通報システム設置事業のほか、声かけ訪問、電話訪問など、様々な見守り事業を実施しております。
これらの見守り事業、通報事業は、それぞれの事業を必要とする状況にある方への支援を主眼としていることから、対象要件の見直しについては、各事業の趣旨や目的を見極めながら、慎重に検討してまいります。
新しい事業の提案についてはハードルの高い部分でありますが、10年先を見据えてこれからも終末期の意思決定支援の必要性を伝え、本区にあった事業を提案していきます。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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