ブログへの訪問をありがとうございます!
最近は、区政レポートを作成することに追われていましたが、仲間の協力をいただきながらステキな形にすることができホッとしています。
そこで、前回のブログで書いた『単身世帯の高齢期』に伴い、今一度改めて『おひとりさま』について考えてみたいと思いました。
【孤独・孤立対策の現状】
世界で孤独対策に取り組んだのはイギリス(2018年)ですが、日本では、新型コロナウイルスをきっかけに2021年に『孤独・孤立対策担当大臣』が新設されました。
それまで長らく『個人の問題』としてきた孤独・孤立ですが、高齢化と都市化、社会的孤独のリスク、コロナ禍の影響(生活スタイルの変化など)により、『社会全体の問題』として位置づけ、国が主体的に取り組む方向に舵を切ったわけです。
2021年12月には『孤独・孤立対策の重点計画』なるものが策定され、地域支援ネットワークの強化や相談体制の拡充が進められています。
この最新は、令和6年6月11日孤独・孤立対策推進本部決定となりますが、ポイントとしてこのような図を挙げています。
特に重点を置いて取り組むべき事項については、
① 地方向上団体及びNPO等への支援
② 孤独・孤立状態の予防を目指した取り組み強化
③ 重点計画に定める施策のエビデンスに基づく評価・検証を通じた取組の推進
となっています。
いかにも学者様やお役人様、公金をアテにする方々が考えそうなものですね(皮肉です)。
【孤独や孤立は悪なのか⁉】
私は、こういう『孤独・孤立対策』なるものを見るたびに、いつも違和感を感じるのです。
というのも、『孤独・孤立』は外見ではわかりにくいからです。
英語で表現するとわかりやすいかもしれませんが、『孤独』には2つの意味があります。
Solitude:積極的に一人でいることを楽しむ状態や状況。
Loneliness:誰かとつながりたいという欲求が満たされておらず、寂しさや疎外感を感じる状態
前者は、いわゆる『おひとりさま』状態のことを指します(自分から進んで一人の状態を選択する)。
後者は、国が取り組もうとしている『本人が望んでいない状態』を指します。
この違いを明確にせずに過剰に孤独・孤立対策を取り上げることは、ある意味、おひとりさまを満喫している方、また、折り合いをつけながらおひとりさまでいる方々に対しては『余計なお世話』であり、あらぬプレッシャーをかけることになるのではないかと危惧しています。
つまり、『孤独』事態を問題と捉えるのではなく、『孤独で困っている状態』を改善することが重要であり、もっと言ってしまうと『孤独でも困らない環境を創ることが重要』ということを、対策に取り組む方々には理解していただきたいと思うのです。
ここを理解せずに取り組む対策は、厳しい言葉ですが、単なる支援者の自己満足でしかないと私は考えています。
また、本気で対策を取ろうとするならば、Lonelinessになることなく、おひとりさまでも安心して生活できる環境づくりを構築することであり、それは、日常生活上の中で当たり前にあるものであることが重要だと感じています。
この手の対策で、近年、福祉業界で流行っているのは『アウトリーチ』なるものです(ワタクシは、支援者がやった感を出すために使うこの言葉が好きではありません)。
これは『支援が必要な人に対して、支援者が出向いて働きかけること』であり、日常生活上当たり前に起こり得ることではありません。
この『困った人に対応する仕組み』というものは、本人の自尊心を低めるだけではなく、ともすれば、支援者の『善かれ』に引っ張られてしまう恐れがあります。
そうではなく、これからの時代は『困る前に対策する』ことが重要だと思うのです、
つまり、『本気で対策を講じたいのであれば、ひとりで生活していても困らない環境を徹底して創ることに注力することが大切なんじゃないの?』ということです。
これは、孤独・孤立に対してのみの考え方ではなく、すべてにおいて言えることです。
困った人に対しての支援を考えるのではなく、そもそも誰も困らない状況をつくる。
これが、本当の意味の『孤独・孤立対策』であり、『誰も取り残さない地域づくり』だと私は考えており、そのために地域の状況を把握して仕組みを考えるのが行政の役割だと、私は考えています。
【必要なのは『困らない環境』を創ること】
そもそも、『ひとり(これからは単身者と書きます)』という状況・状態は、単なる事象です。
そこで課題が生じて初めて『問題』となり、解決に向けた何かしらの対策が必要になるわけです。
・・・であるならば、まずやらなければならないことは『単身者が抱えている課題』を集約し、困る前に解決できるよう社会で仕組みを創ることが必要なのではないかと思うのです。
そのための取り組みの一つとして『高齢期の終末支援』を提案しています。
江東区の平均世帯員数は、今年1月1日時点で1.84人になっています。
単身世帯が増え続けている状況だからこそ、『ひとりで生活していても困らない環境』をつくる。
それが、区民お一人おひとりの意思を尊重することに繋がると感じています。
なぁんて。
こんな考えに至ったのは、対人援助を長年行う中で『人の持つ可能性』を知ったからだと自負していますが、生き方が多様化している時代だからこそ、意思決定のレールを用意することが、これからの自治体には求められていると感じています。
皆さまは『孤独・孤立対策』について、どう感じますか?
最後までお読みいただきありがとうございました。
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