『弧』の時代の高齢期について②~提案編~

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昨年、『弧』の時代の高齢期について当区の現状を書きましたが、今回はその続きで、現状を踏まえた提案となります。

 

【取り組む社会課題について】

前回も書きましたが、社会や江東区に高齢者における終末期及び逝去後の課題はこのようになってます。

・今まで高齢者の介護保険外の一部支援についてヘルパーやケアマネジャーが担っていたが、今後はそれが通用しなくなる(今後、誰が制度の狭間をサポートするか問題)。

・年々高齢者の単身世帯が増えている(単身世帯者の制度外支援対応問題)。

・現に何かしらの介護を要する状態の方の34.7%は配偶者が対応している(単身世帯者の制度外支援対応問題)。

・終末期の準備について、62.6%の方が興味関心があるのに対し実際に行動している方は1.4%である(終末期の意思表示問題)。

・江東区の高齢者孤立死は200名を超えており、今後、この数字は伸びていくと思われる(単身高齢者の終末期・死後の尊厳問題)。

特に注目しているのは、『終末期の準備について、62.6%の方が興味関心があるのに対し実際に行動している方は1.4%である(終末期の意思表示問題)』です。

私は、この意識と行動の差については大きく分けて3つのパターンが挙げられると考えています。

まずは、『自分はまだ(準備しなくても)大丈夫』というパターン。

続いて、『準備の必要性は理解しておりしたいけど、どうやって進めたらよいかわからない』というパターン。

最後は、『必要性はあると思っているけど、自分が準備しなくても何とかなるでしょ』というパターン。

最初と最後は高齢期(終末期及び逝去後含む)の尊厳保持を啓発するしかないのですが、『どうやって進めたらよいかわからない』という方については、国及び行政が環境整備する必要があると感じています。

そのことを具体的にわかりやすく掲載している図があります。

出典先は日本総研が2022年11月に発出したホワイトペーパー『個・弧の時代の高齢期』という資料なのですが、お時間のある方はぜひご一読くださいませ(別冊もあります)。

青字部分をクリックしていただくとページが飛びますのでお読みください☆

このように段階を得るのですが、その時々の段階で必要な支援先を意思決定できるよう、そして、何度も同じことを言わなくても良いように、全体を踏まえた環境づくりが必要だと私は考えており、その旗振りこそ行政の役割だと感じているわけです。

このことを昨年から行政や区議会で会う人会う人に、話をしながら相談をしています(一人普及活動です)。

※余談ですが、上記の図を掲載するにあたり、日本総研の沢村香苗さんに使用許可の確認連絡をしたところ、『出典元を掲載すればOK』と許可をいただきました。迅速かつ快く対応してくださった沢村様には感謝の気持でいっぱいです。また、単身高齢者について興味のある方は、沢村さんが書かれた書籍『老後ひとり難民』をお読みください(もちろん私も持っていますので、興味のある方は議員控室にいらしてくださいませ)!

 

【国の状況について】

この対策について、国の中で最初に記したのは経済産業省となります。

『安心と信頼のある「ライフエンディング・ステージ」の創出に向けて~新たな「絆」と生活に寄り添う「ライフエンディング産業」の構築~報告書の公表』というなんとも長いタイトルで、平成23年8月10日に発出していますが、そこで書かれている図はこのようなものです。

いつも省庁の出す図はわかりにくく字も小さいのですが、恐らく、言いたこととしては『様々な機関が関わりながらうまいことやってね』と私は理解しています。

 

これを受けてか、その後一気に出現した業種が『終身サポート事業(身元保証サービス)』なる産業です。

もともと高齢者の身元保証に関しては、公益財団法人の日本ライフ協会が大半を担っていましたが、2017年に経営破綻してから雨後の筍のごとく乱立するようになります。(日本ライフ協会について興味のある方はググってくださいませ)。

たくさんの会社が乱立する中、『詐欺ですか⁉』と思われる会社が出現し問題となったことは、日々のニュースをチェックしている方はご存じだと思います。

 

それらの現状を踏まえ、内閣府が令和6年6月に『高齢者等終身サポート事業者ガイドライン』を発出しました。

国がこのようなガイドラインを出すことは評価しつつも、(以前も書きましたが)多省庁の管轄となっているため、責任の所在が明確ではなくやや不十分な感は否めません。

だからこそ、自治体(江東区)が国のガイドラインを踏まえ、区民が安心して安全な事業者を選定できるようサポート環境を創ることが重要だと感じています。

 

【江東区だからできること】

国の事業を踏まえつつ自治体に何ができるのかということを考えた時、現時点でできることはたくさんあります。

とりあえず思いつくものは、地域の関係団体への働きかけ(『終末期準備に係る信頼できる事業所一覧』を作成するなど)と、以前ブログでも取り上げた『単身世帯者が自身の準備を無駄にしない仕組み(横須賀市の就活情報登録事業のようなもの)』、そして、地域のケアマネジャーと話し合いを設けながら令和9年4月の介護保険改定に備えるということはできると感じています。

取り組む内容の切り口は様々ですが、いずれにしても社会の流れを把握しながら『今からできること』はたくさんあります。

もとい、『ここに全て任せておけば安心』というよりは、単身高齢者を軸に多職種が必要に応じて集まりながら、リスクや情報を分散しながらサービスを提供する方が、詐欺のリスクは最小限に抑えられると考えており、だからこそ、今のうちから環境整備にとりかかることが必要だと思うのです。

 

江東区は、昨年度『孤独孤立対策』のモデル事業として内閣府に協力した実績があります。

だからこそ、そうした実績を最大限活かして、内閣府に、孤独孤立に絡めた高齢者の終末期及び逝去後の仕組みづくりを提案し、モデル事業となることで予算とお試し期間を創る。

また、大久保区長が元都庁職員であったことなども活かしながら東京と連携して『高齢期の支援体制の環境づくり』をすることができるのではないかと思うわけです。

一見、無謀に思えるかもしれませんが、長年社会課題を放置しすぎてどうにもならなくなっている今・・・国や自治体の決定スピードより速く課題噴出している今だからこそ、江東区は色んな可能性を考えつつ積極的に取り組んでほしいと願うわけです。

つまり、問題が顕在化してから事業を検討するのではなく、問題になる前に全体の仕組みを考えその手段として事業を整備する

それが、本来行政の大きな役割の一つだと思うし、今の江東区役所はそれができるポテンシャルを持っていると思うのです(江東区の行政職員の質は非常に高いです)。

そんなわけで、これからもしつこくしつこくしつこく行政への働きかけを行いつつ、区議会の中でも他の議員さんに話をしながら意見交換をし、江東区全体で取り組むことができるよう働きかけていきたいと思います(どうか、ワタクシにつかまった方は、嫌な顔をせず聞いていただけたら幸いです)。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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