『孤』の時代の高齢期について①~現状編~

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今回は、私が掲げている『ひとりで頑張らない地域づくり』の中の1つである『単身高齢者の支援』について書きます。

 

【まずは現状から】

なぜこれを書こうと思ったかというと、ケアマネジャーの本来の業務について整理する動きが進んでいるのですが、先週、厚生労働省より『ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会中間整理』が出されたためです。

内容を要約するとこんな感じです↓。

思ったよりも早く整理が進んでいることを受け、今までケアマネジャーに頼っていた困りごと対応についてどうするのかを真剣に考えなければならないと私は感じています。

具体的には、『郵便物、宅配の発送や受け取り』『書類の作成、発送、代筆、代読』『救急搬送時の同上』などです。

中間整理はこの後整理され、近いうちに困りごとが起きても『これはケアマネジャーの役割ではありません』と断られる可能性があるわけです。

今までケアマネジャーなどで対応してきた支援を今後は誰が担うのか?

このことについて、整理された後から考えても間に合ず、だからこそ、今のうちから国の動向を注視しつつ対応を考えることが、安心した地域づくりには重要になります。

 

続いて、江東区の高齢者に関する状況を書きます。

まず、江東区の高齢者世帯構成はこのような状況になっています(年齢×世帯構成は5年に1度行われる国税調査でしか調査されていないため、直近のデータは令和2年になります)。

直近(令和2年)を割合にするとこのようになります(自己作成)。

このグラフから言えることは、『江東区は40%が単身高齢者世帯であり、28%が単身リスクの高い高齢者世帯である』ということです。

 

ちなみに、令和5年3月に出た江東区高齢者生活実態等調査報告書から、介護を要している方が誰に頼るのかという調査については、このような回答となっています(私はこの調査が江東区の高齢者の現状として扱うことには懐疑的ですが、この資料しかないため使用します)。

※単身世帯の方が誰に頼っているかの結果までは掲載されていませんが、一番多いのは配偶者であり次いで子ども(娘)となっている結果から回答者の世帯状況を確認したら、単身高齢者の割合は24.9%でした。

単身世帯者は配偶者に頼るわけにはいかないため、この調査結果から現状の支援者でわかることは、『なんらかの介護などを要する状態になった時、頼れるのは、子ども(娘・息子)、子どもの配偶者、孫、兄弟姉妹』となるわけです。

この調査をみて、『配偶者・子どものいない方や頼れない方(11.8%)は恐らく介護保険(ヘルパーやケアマネジャーなど)に頼っているんだろうな』と感じたと同時に、これが対応できないと言った時、困らない環境を整備するのは行政の役割ではないかと感じたわけです。

 

続いて、私が掲げている『おひとり様でも頑張らない地域づくり』の視点から、終末期の意思表示に関する調査結果を掲載します。

ここで注目したいのは、『まだ話し合ったことはないが興味・関心はある』方が62.6%なのに対し、『詳しく話し合っている』方は1.4%しかいないという状況です(一応というフワッとしたものは除きます)。

終末期について62.6%の方が興味関心があるのに、実際に行動している方は1.4%しかいない現状。

この想いと行動の乖離について、私は少しでも小さくすることが高齢者の尊厳を守るという意味で大切だと考えています。

 

最後に、『東京都監察医務院で取り扱った自宅住居で亡くなった単身世帯の者の統計』から江東区の状況を報告します。

単身高齢者だけを抜粋して推移を記すとこんな感じです。

年間300人近くの方(高齢者は200名強)が自宅で孤立死しており、死後2~3日で発見されている状況がわかります。

この孤立死した方のどのくらいの方が、ご自身の思い通りの終末期(死後)を遂行できたかはわかりませんが、団塊世代が多い江東区では今後この数字は劇的に伸びていくことは避けて通れないと私は考えています。

 

まとめると、今の高齢者支援における社会動向と江東区における高齢者状況と課題はこんな感じになります。

・今まで高齢者の介護保険外の一部支援についてヘルパーやケアマネジャーが担っていたが、今後はそれが通用しなくなる(誰が制度の狭間をサポートするか問題)。

・年々高齢者の単身世帯が増えている(単身世帯者の制度外支援対応問題)。

・現に何かしらの介護を要する状態の方の34.7%は配偶者が対応している(単身世帯者の制度外支援対応問題)。

・終末期の準備について、62.6%の方が興味関心があるのに対し実際に行動している方は1.4%である(終末期の意思表示問題)。

・江東区の高齢者孤立死は200名を超えており、今後、この数字は伸びていくと思われる(単身高齢者の終末期・死後の尊厳問題)。

本当にざっくりとしたものとなりましたが、『おひとり様』の視点で江東区の現状をまとめました。

 

【伝えたいこと】

今回、改めて私がこのことを書くのは、団塊の世代が全員75歳に達する2025年を前に『江東区に住んでいる方々に対してどうやったら安心安全かつ尊厳を保持できる仕組みを創れるか?』を考えた時、終末期(死後)の準備をする環境を整えることが何よりも大切だと考えたからです(健康なうちはご自身で身の回りができるため江東区は住みやすいまちです)。

同時に、30年近く専門職であり地域活動に参画してきた立場であり、その中でさまざまな自治体の高齢者支援をみてきた私だからこそ江東区に寄与できるスキルだと考えており、この部分は議員という役割をいただいている間に整備しなければならないと考えています。

また、今さら書くことではありませんが、これは、高齢者だけに向けた支援ではありません。

江東区の平均年齢である方々が歳を重ね高齢者になった時、たとえ一人で生活をしていても『安心』できる環境をつくりたい。

その想いで議員になってから行政や議員の方々に働きかけを行っています。

そんなわけで、今回は社会の動向と江東区の現状を書かせていただきましたが、次回は『単身高齢者のリスクと課題』について、日本総研研究結果をもとに書きたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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