【ご報告】決算審査質問について③介護保険

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今回は、決算審査質問の最後である、特別会計の介護保険に関する質問について報告します。

専門分野であるが故に、厳しい評価になってしまう介護保険ですが、現場の声を聴きながら区政を進めていただくことを期待して、前向きな答弁を引き出せるよう工夫しました。

【決算と基金について】

まず、介護保険会計からの質問です。

令和5年度の決算では、介護保険給付費が、令和4年度と比べて20億円近く増えている現状がありますが、この状況について、区としてどのように捉えているか伺います。

➤令和5年度介護保繪件会計で保険給付費が増となった要因ですが、介護保険サービスを利用する方が増えていることによるものと認識しています。

令和4年度実績のサービス利用者は1月当たりの平均で1万5493人、令和5年度の実績は、1万6,085人となっており、592人増加しています。65歳以上の高齢者は、令和4年度末と令和5年度末で比較すると127人減少しておりますが、75歳以上の後期高齢者でみると、3,128人増加しております。

今後も65歳以上の高齢者人口は横ばいで推移すると見込んでおりますが、75歳以上の後期高齢者は増加していくと見込んでおり、後期高齢者になると介護サービスを受ける方が多くなってきますので、保険給付費は増加していくものと認識しております。

ありがとうございます。

当区は、いわゆる65歳以上を指す高齢者数は横ばいなものの、介護保険を受けるリスクが高まるとされている、75歳以上以上の後期高齢者数は増加することにより、今後の保険給付費は増加する、との認識について、私も同じであります。

一方で、保険給付費が増えているのに、令和4年度の決算と比べて令和5年度は1億円以上積立金がアップされていますが、その理由を伺います。

➤介護給付費準備基金は、介護保険料の収入額が、保険給付費に対して負担しなければならない保険料の金額を上回った場合に、保険料の余剰分を基金に積み立てております。

介護保険料は、介護保険事業計画期間における保険給付費及び地域支援事業費に対する負担割合を算出し、保険料の負担額を決定しております。

第8期の保険料は20億円の基金を取り崩し、保険料の抑制を図ることとなっており、この20億円は第8期期間中の令和3年度に4億円、令和4年度に6億円、令和5年度に10億円を取り崩し、介護給付費への繰り入れを行っております。

介護保険給付費準備基金が増となった要因ですが、令和5年度は基金の取り崩し額が大きかったこと、帆変量収入が見込んでいた保険給付費の負担割合を上回ったことによるものです。

なお、基金を積み立てた上で、最終的に歳入が歳出を約6億7,800万円上回ったため、令和6年度予算に繰り越しております。

ありがとうございます。

歳出が歳入を上回らないための配慮で、令和5年度は大きく繰り越しが行われたという説明について、理解しました。

では、改めてになりますが、第9期の事業計画ではどのように基金を活用していく予定か伺います。

➤令和5年度の基金残高は、36億9,266万7,302円となっております。第9期介護保険事業計画では、基金を25億円切り崩し、65歳以上の方の保険料を抑制することとしております。

これにより、第9期の保険料基準額は、6,200円となり、第8期の保険料から400円上昇することとなりましたが、基金を投入しない場合の保険料基準額は6,800円を見込んでいたため、基金を投入し、600円抑制しているところです。

第9期期間中の基金の運用ですが、令和6年度に7億円、令和7年、令和8年度にそれぞれ9億円取り崩し、保険給付費に繰り入れる予定です。

ありがとうございます。

1号、いわゆる65歳以上の方については基金を投入し600円保険料を抑制し調整したことは理解しましたが、2号、いわゆる40歳以上の方々については、どのように調整しているかを教えてください。

ありがとうございます。

介護保険料を払っている方全員に対して調整をしていることがわかりました。

この保険料抑制についてですが、私の知る限りでは、第7期以降連続して多額の基金を投入している現状は、これからますます増えるであろう介護給付費を鑑みても、そして、制度の持続可能性の視点からも、いつか限界が来るのではないかと懸念しています。

介護保険は社会保険であるため、使う方が増えればその分保険料が上がるということを啓発すると同時に、保険料をこれ以上上昇させないためにも、今一度、より健康でいられるための意識の醸成や、サービスの適正利用について啓発を行っていただくことを要望いたします。

最後に、第9期が始まって半年経ちますが、現時点で計画通りに進んでいるか、また、計画通りに進んでいない場合、課題はなにか伺います。

➤介護保険事業の歳出は、保険給付費が9割以上を占めており、保険料算定の根拠となっていることから、保険給付費の支出状況が、第9期介護保険事業計画が計画通り進んでいるか、大きな判断材料となります。

令和6年度の保険給付費の実績は8月支給決定額の5か月分まで実績が出ておりまして、実績額150億円余となっております。このままで推移すれば、令和6年度の支出予定額は360億円余となることが見込まれ、現在のところ、計画通りに進んでいると考えております。

引き続き、適正な事業執行に努めてまいります。

ありがとうございます。

引き続き介護保険給付の適正化に努めていただきたいと思いますが、『適正な事業の執行』について提案があります。

介護現場では、3年に1回の報酬改定と人材確保困難により、事業運営が厳しくなっている事業所が増えています。介護保険を利用する方々の選択肢を担保するためにも、当区で働いている介護職員が退職し、他区で勤めるという状況だけは避けたいと思っています。

そして、そのためには、行政と現場が協働して、事務効率化に向け取り組む事が必要だと感じています。
江東区は東京都の中でも特に法や基準などの解釈が厳しい区という評判が、ケアマネジャー業界では定着しています。

私自身、14~15年前に江東区で勤めて以来、東京都の職能団体やケアマネジャー仲間に子江東区で働いていることを伝えると、『あぁ~、江東区!あそこ、厳しいでしょ?大変だねぇ』と言われたことが何度もあります。

確かに『適正な運営』はとても大切ですが、現場に即したものでなければなりません。

介護保険制度は、2000年の地方分権一括法の目玉として始まり、保険者である当区は、自らの判断と責任により、地域の実情に沿った行政を展開していくことが期待されています。

当区の介護保険を利用する方やその家族に安定した質の高いサービスを提供するためにも、介護保険法やそれに付随するルールを行政のみで判断して施行するのではなく、運営指導で事業所を訪問した際に現場の声を聴く、職能団体などと行政が共に意見交換したり考えながら、利用者・事業所・保険者が三方よしの形で、介護保険を適正に運営していただきたいと要望して、次の質問に移ります。

続いて、介護保険の視点から、高齢者生活支援体制整備事業についてお聞きします。

昨年度は、『生活支援コーディネーターを3名増員し、2層体制の構築に着手』とありますが、具体体にどのような内容を行ったのか伺います。

➤本事業は、生活支援コーディネーターと協議体を配置して、高齢者の多様な日常生活の支援体制の充実・強化及び高齢者の社会参加の推進を一体的に図っていくことを目的としており、区内全域を第一層、江東区地域福祉計画における中圏域を第二層としております。

令和5年度は、地域ニーズの把握、地域資源の開発、担い手の養成とネットワーク化を目指し、アウトリーチ活動を強化しました。

具体的には、地域の企業や地域団体を回り意見交換を進めたほか、長寿サポートセンターと定期的に打ち合わせを行い、居場所づくりの相談などに協働して取り組みました。

また、ご近所ミニデイの開設支援や、ふれあい・いきいきサロンを対象にコロナ禍に於ける活動状況と参加者に生じた変化についてアンケート調査を実施しました。

その他、『江東区助け合い活動連絡会』の開催支援、地域福祉フォーラムの企画・実施なども行いました。

また、新たな試みとしては、大島7~9丁目を日常生活圏域とする住民を対象に、第二相協議会の立ち上げ準備を行い、住民への声掛け、住民ミーティングやワークショップなどを複数回開催し、結果、第2層協議体が設立に至りました。

ありがとうございます。評価はいかがでしょうか、伺います。

➤地域の担い手が不足する中で、第2層協議会を立ち上げることができたこと、設立に向けての準備や振り返りを繰り返し行ったことで、生活支援コーディネーター4名が協議を重ね、相互にスキルアップできたこと等、有効な活動ができたと認識しております。

しかしながら、まさに走りながら形をつくっているとことであり、試行錯誤しながら、様々工夫を講じながら、地域で高齢者の生活を支える体制づくりを進めているところであります。

ありがとうございます。

続いて、今後のさらなる2層体制構築に向けて、目標とどのように進めていく予定か伺います。

➤来年度は城東南部地域に第2層協議体構築を進めていきたいと考えております。まずは、設置可能な地域から第2層の協議体構築を進め、その取り組みを踏まえて、他の地域における第2層体制構築につなげてまいります。

最後に、介護保険の地域包括ケアシステムの視点では、介護事業者との連携がとても重要になると思いますが、具体的にどのように連携を図っていく予定か伺います。

➤介護事業者との連携の重要性は認識しておりますが、その前提として相互に地域課題を議論し共有する必要があると考えております。

現時点では、第1層協議体に介護事業者が参加しているため、まずは第1層協議体の中での介護事業者との連携のあり方について検討し、高齢者の皆さんが住み慣れた地域で安心して生活できるような仕組みづくりを模索してまいります。

ありがとうございます。

私自身、当区の地域福祉をより豊かにするためには第2層体制の構築に必要性を感じていたため、昨年度から始まった第2層協議体構築には大きな期待を寄せています。

一方で、協議体の構築については国が仕組みを示しているわけでもなく、自治体ごとにその体制もバラバラであることから、当区の協議体も試行錯誤しながら進めていることが予測されます。

だからこそ、地域全体の視点も持った生活支援コーディネーターと、介護保険という枠の中ではありつつも地域の課題や資源情報を持っているケアマネジャーとの意見交換の場やお互いの情報共有の機会は、地域福祉向上の視点で、とても大切だと感じています。

両者の交流機会については、例えば、21包括ある長寿サポートセンターや区内の職能団体を通じて実現するなど、方法は多々あります。

第9期地域包括ケア計画は『成熟期』となっており、8期までに構築した仕組みをより深める3年間になります。

そういう意味でも、第2層協議体で活躍される生活支援コーディネーターの方々が、持っている力を十分に活かし活躍できるよう、そして、地域福祉の向上に寄与していただけるよう、行政は現場に伴走し、必要に応じて専門職などと繋がる支援をしていただくことを要望し、質問を終わります。

ありがとうございました。

 

今回は、自分の得手不得手関係なく質問をしましたが、質問を作るにあたりいろいろなことを調べる中で学びました。

これからも得意分野だけでなく、区政の勉強を継続しながら住みやすいまち江東区を目指してまいります。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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