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今回は、今年度新たに新設された「生活応援課」の勉強会を行ったためご報告いたします。
今回は、事業の説明が大半なため、リンクがたくさん貼ってあります(青字部分をクリックすると関係ページに飛びます)。
議会前であるにも関わらず対応していただいた根本課長、本当にありがとうございました!
【女性新法って?】
まずは、生活応援課が新設されたきっかけとなった「女性新法」について記載します。
これは、「女性の福祉」、「人権の尊重や擁護」、「男女平等」といった視点に立ち、困難な問題を抱える女性一人一人のニーズに応じて、本人の立場に寄り添って、切れ目のない包括的な支援を行うために、令和6年4月1日に施行された法律です。
厚生労働省では下記の概要を出しています(どうでも良いけど行政のレジュメは情報を詰め込み過ぎだと思う…)。
詳細を知りたい方は、厚生労働省HP「女性支援事業の概要」で122ページという充実した内容が記載されていますので、ご確認ください(「122ページも読んでられないよ」という方は、引き続きお付き合いくださいませ)。
この法律ができる背景として、今まで女性支援に関する根拠法は「売春防止法」のみでした。
ところが、女性が抱える困難な問題は、近年、複雑・多様化、複合的なものとなっており、売春防止法の枠組み対応では限界が生じたため、新たに法律を制定する流れになりました。
ちなみに、売春防止法と女性新法の違いは、「『処分』や『更生』から『支援』への転換」と言われています。
いわば、高齢者やこどもや障がい者(児)のように、生きづらさを抱えた女性を『福祉』の枠組みに変更したというわけです。
そして、女性新法の基本理念は、大きく3つあります。
1.本人の意思が尊重されながら、多様な支援を包括的に提供する体制を整備すること。
2.関係機関及び民間団体の協働により、早期から切れ目なく支援を実施されるようにすること(行政はそのために民間団体を支援することとなっています)。
3.人権擁護を図るとともに、男女平等の実現に資することを旨とすること。
この基本理念に基づき、江東区は『生活応援課』という名前で、23区初の新法に対応した所管を立ち上げたのでした。
【実際、何をしているの?】
生活応援課は、区役所5階の一番奥にあり、女性やひとり親の支援を主に行っています。
また、非課税世帯への給付金業務も行っています。
相談室は4部屋あり、下記の相談に対応しています。
➀女性相談(DV相談を始めさまざまな相談、手続き等の同行)
電話や対面面談で、4名の女性相談員(相談経験に長けている様々な資格保有者たち)が対応しています。
余談ですが、DV(domestic violence)は明確な定義はありません。
男女共同参画局によると「配偶者や恋人など親密な関係にある、又はあった者から振るわれる暴力」という意味で使用されることが多いとされています。
「暴力」と一言で言っても、身体的・精神的・性的・金銭的などさまざまな種類がありますが、悩ましいのは、外部からのその発見が困難な家庭内において行われるため、潜在化しやすく、しかも加害者に罪の意識が薄いという傾向にあります。
このため、周囲も気付かないうちに暴力がエスカレートし、被害が深刻化しやすいという特性があり、被害者には女性が多い傾向があります。
実際の相談内容を聞きましたが、「これはひどいなぁ」と思う内容が少なくありませんでした。
また、この女性相談ですが、内容によっては(緊急性が高いと判断された場合)、本人の承諾の上で一時保護する場合もあります。
施設には官民両方のさまざまな種類があり、状況に応じて選ぶようになっていると説明を受けました。
中には、一般には秘密にしている施設もあり、スマホを使用できないこともあります(施設の場所を特定されると他の入居者にも迷惑がかかるため)。
➁家庭相談(家庭に関する悩みはなんでも相談を受け入れている)
こちらは、離婚など家庭の問題全般を受け付けており、2名の相談員(家庭裁判所の調停員)が対応しています。
具体的な相談案件を聞くと、夫婦仲からこどもの相談、親族との関係や関わりについての相談など多岐にわたります、緊急度は低いものの一人で解決することは困難な内容が多く、改めて相談することの大切さを実感しました。
余談ですが、家庭相談は、今後、共同親権が開始されることで、さらに相談が増えることが予測されてます。
※共同親権とは、2024年5月に離婚後も共同親権を選択できるように法律が改正され、2026年5月までに施行されることとなっていますが、これを書き出すと長くなるため割愛します。
③ひとり親相談(根拠法は「母子及び父子並びに寡婦福祉法」です)
こちらは、地域の母子家庭・父子家庭からの相談に応じ、自律に必要な情報提供や、助言・支援を行っており、江東区には3名の相談員がいます。
ひとり親家庭支援の取組としては、下記のとおりです。
④女性のなやみとDVホットライン
原則電話相談で、常時3名の相談員がおり土曜日も含め対応しています。
令和5年度には延べ4,773件の相談があったと話を受けました。
ちなみに、令和5年度の報告として、相談者のDV被害年数で一番多いのはダントツで11年以上でした(2番目に多い3~5年の倍以上の件数)。
理由としては「こどもが大きくなるまで我慢した」「DV被害者と気づくまでに時間がかかった」などさまざまですが、いずれにしても、被害を受け手から相談までのタイムラグの長さに驚きました。
最近では、役所他所管からの連絡やインターネットで調べて相談に来られる方が増えてきてはいるようですが、一人で耐えている間の辛さを考えると、胸が痛くなりました。
他、別途男性DV電話相談もありますが、こちらは相談件数が半年で数件と少ないため、月1回の相談対応となっています(他、東京都にも相談窓口があり週3日対応しています)。
【そのほかのアレコレ】
ほか、江東区独自の取組としては、連休明けから希望者に生理用品をお渡しする対応があります。
これは連休明けから開始されたのですが、相談に来る方に寄り添い、状況をみながら『区として何ができるか?』と常に考え行動している様子がよくわかりました。
まだまだ法律が施行されてから時間が経っていないためか、中には「女性限定」に反応する方はおられたり、相談に対応することはできてもDV証明書は出せないなど、課題はあります。
が、相談に来られた方に丁寧に向き合い、対応しようとしている姿勢を、高く高く評価しています。
最後に、生活応援課の根本課長より区民の皆さまへメッセージをいただいたので、ご報告いたします。
どんな小さな悩みでも良いので、早めに相談してください。
明確なDVでなくとも、困りごとが生じた時は電話してください。
色んな選択肢から最善を考えていきましょう。
根本課長らしい、落ち着いた雰囲気の中にも温かみを感じる言葉をいただきました。
また、根本課長が作成してくださった資料には、「気になる方を見かけたら通報義務はありますが、ぜひ、ご本人から相談するように勧めてください。問題が深刻化する前に支援を開始することが重要です」というメッセージがかかれていました。
新しく施行されたため、まだまだ社会の認知が高いとは言えませんが、少しずつでも認識が広まり、生きづらさや苦しさを抱える方が一人でも減るよう、引き続き所管の皆さんには頑張っていただくと同時に、相談員の方を始め感情労働をされている方々が、必要以上に疲弊しない形で支援を進めていただきたいと思いました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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