【視察報告】公設公営書店について➀

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今回は、8月7日に行った青森県八戸市の事業『八戸ブックセンター』の視察報告を行います。

なぜわざわざ八戸市の視察を行ったのか、また、八戸市の取組を通じて何を学んだかについて書きますので、ご一読いただけたら幸いです。

 

【経済産業省が動いた!】

実は、1年半ほど前に地域の方に『八戸ブックセンターは素晴らしい取り組みをしているから、絶対一度は視察に行った方が良い』とお勧めをいただいていました。

・・・が、昨年当選以降はおひとり様対策と介護に関する事業の発展に注力していたワタクシは、なかなか公設公営書店の取組みを学びに行くという機会がなく、日々を過ごしていました。

そんな中、今回のきっかけを作ってくれたのは、経済産業省でした。

この10年で全国から4600余りの書店が姿を消している現状(日本出版インフラセンターによると、2024年3月時点の全国の書店数は1万918店で10年前の1万5602店から約3分の2になったという)や、書店ゼロの街も増えている(出版文化産業振興財団(JPIC)の調査によれば、24年3月時点で、全国の「書店ゼロ」の市町村は27.7%に上る)ことなどを受け、令和6年3月に、書店を支援しようとプロジェクトチームを発足したのです。

※この詳細について興味のある方は、下記をクリックしてください。

【インタビュー】齋藤健経済産業大臣に聞く なぜ書店を支援するのか、書店振興プロジェクトチームに多くの反響

本好きのワタクシとしては、見過ごせないニュースです。

そして、この中で大臣が話されている『「書店」「図書館」「ネット」共存が理想』と語っており、中でも割を喰っている書店に対し、自治体として主体的に取り組んでいる自治体があることを知った時に、思い出したのです。

『あ!!!ここは、以前、お勧めされた場所だ!!!』

そんなわけで、今回は、青森県共生社会の取組に併せて八戸ブックセンターの視察を行ったのでした☆

個人的には、年々読書傾向が減少している現状を踏まえ、教育という視点からもどのようにアプローチしているのかに大きな関心を持っていましたが、想像以上の学びを得ることができましたことを、ここに報告させていただきます。

今回対応していただいた八戸市観光文化スポーツ部文化創造推進課の音喜多所長には、感謝の気持でいっぱいです。

 

【八戸ブックセンターができるまで】

八戸ブックセンターは、八戸市が運営しているまったく新しい形の書店です(全国初!)。

・・・というのも、当時の市長が「本のまち八戸」を公約として掲げていたため、当選した2014年から市長肝入り事業として力を入れていたようです。

八戸に「本好き」を増やし、八戸を「本のまち」にするため、新しい「本のある暮らしの拠点」というコンセプトに基づき、3つの基本方針を決め、それに則った施策を実行していると話を受けました。

1.本を読む人を増やす

➤本が身近にある環境をつくると同時に、それを手に取りたくなるような工夫ある陳列や空間設計、読み始めるきっかけとなるようなイベントの開催などを実施。

2.本を書く人を増やす

➤本を読めるということは書き手がいるわけで、その書き手を増やすために、執筆するためのブース設置やワークショップを実施。

3.本でまちを盛り上げる

➤本をより深く楽しむことができる町として、本を介したコミュニケーションを生み出す様々な施策を実施。

当時は、上記の実施を委託事業にするかを含め、様々な意見や検討が重ねられたとのこと。

結果、本の販売という単一の機能に留まらない、本を通じた市民交流やまちづくりの拠点として、セレクト・ブックストア機能、本のまち八戸の拠点機能、本に感売る企画実施機能という3つの機能を持つ場所として『八戸ブックセンター』は設立しました。

 

【具体的な取組み】

各機能の具体的な取組みを報告します。

➀セレクト・ブックストア機能

➤テーマ別の陳列などにより、本との偶然の出会いを創出するのと合わせて、本を『私有』して読む体験を促進。

➤売れ筋だけの取り揃えではなく多様な種類を取り扱うことで文化格差課題を解消(民間書店との棲み分け)。

➤様々なジャンルの入り口となる本を『遭えてセレクトして並べる』ことで、未読ジャンルへの選択肢を提案。

上記を進めるために、民間書店勤務者を4人市職員として採用。民間の知識やノウハウも活かす体制。

②『本のまち八戸』の拠点機能

➤『本のまち八戸』を推進する拠点施設として、民間書店や公立・学校図書館、マイブック推進事業との連携やサポートを行う。

➤『ブックサテライト増殖プロジェクト(市内の小売店や飲食店や公共施設に呼びかけ、小さな本棚を設置)』を実施し、生活の身近な場所に本と触れ合う機会の創出(現在は20店舗以上と連携)。

➤『カンヅメブース(本を執筆したい人に貸し出す個室)』や『読書会ルームの貸し出し(市内読書団体への貸出など)』を通じて、本を読む・書く・交流機会を支援。

➤積極的な情報発信や取材は断らないことで、より広い方々に本事業の取組を周知。

➤全国の図書館や教育機関などと連携し、『本のまち八戸』の取組を紹介することにより、八戸市のPRにも貢献。

➤こども達に向けた取り組みとして、学校図書館司書との連携や『マイブック推進事業(小学生に2千円の図書クーポンを配布)』などを行い、本屋に行き、自分で本を選んで購入する体験を実施(学校に常勤司書配置は青森県で唯一八戸市のみ)。

➤希望する小学校に出向いてブックトークを開催(8割の小学校から要望有り)。

③本に関する企画実施機能

➤八戸ブックセンターの企画運営方針に沿って各種企画事業に取り組む。

➤『本のまち読書会(スタッフ主導の読書会で作家等との交流やトーク会など)』をスタッフ主導で開催し、新たな本との出会いや本を通じた交流を生み出す。

➤『アカデミックトーク(大学の先生などを呼びトーク会)』を開催し、多様なゲストで幅広い世代の方に知的好奇心を刺激する。

➤作家に協力してもらい『執筆・出版ワークショップ』を開催し、ワークショップ形式で書く楽しさやつくる楽しさを体験する(4回実施。昨年度は2日間連続で高校生を対象に行った)。

➤『ギャラリー展』を確保し、2~3ヶ月ごとに多様な切り口の展示を行い、本を創ることの奥深さを知る事で本への興味を膨らませる。

 

【事業の効果と課題】

続いて実際の事業の効果と課題を教えてもらいました。

効果:民間書店のサポートや民間書店同士の架け橋になることができた。

効果:市内小学生に2,000円図書クーポン配布では、親子の会話が増えた、本屋に行くようになった、本を大切にすることを学んだなどがあった。

課題:公営でのコスト高に対する評価の可視化。

➤年9千6百万円ほどの予算(人件費込)をかけて運営している以上、評価を市民にどう実感してもらうかが課題と話を受けました。

また、今後の展望として、

・常時アンケートを取りながらいただいた声を反映していくことで、市民に求められるセンターを目指す。

・基本理念を忘れず企画に力を入れ、まずは『知ってもらう』を継続する。

・国の動向をみながら、出来ることを考えていく。

と話されていました。

全体のお話を伺いながら、公営でありながらイベントの企画運営など様々な取り組みを積極的に行い進めていることに感銘を受けました。

また、『ブックサテライト増殖プログラム』や『マイブック推進事業』など、地域全体を巻き込んでの取り組みは、非常に大きな学びを受け、当区では図書館や学校などで展開できそうな気がしました(予算の課題はありますが)。

次回は、写真満載で八戸ブックセンターの様子を報告します。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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