【視察報告】孤独・孤立対策について~青森県庁~②

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今回は、前回に続き青森県で学んだ共生社会を目指した地域づくりについて報告します。

 

【様々な形で住民を巻き込む!】

➀ゼロSC(生活支援コーディネーター)

これは、厚労省が発信している『生活支援体制整備事業』の中にある『生活支援コーディネーター(SC)』について、既存の生活支援コーディネーターのみで取り組むのではなく、地域づくりに関係する市町村の会議や住民の活動の場に積極的に参加し、住民・行政・専門職の円滑な連携及び活動活性化を促す役割として、高齢者に対する生活支援サービスの提供体制のコーディネートを行う者のことを指します。

一言で言えば『福祉的見守りの拡充』ですね。

イメージとしてはこのような形になります。

コーディネーターを増やすことで、地域の見守り体制の拡充だけでなく、関わる住民が地域づくりを自分事化できるという2つの意味でとても意義があると思います。

 

②「見守りさん」

これは、超高齢社会における地域課題を踏まえ話し合える仕組みづくりを進めるとともに、地域密着型の互助活性化を図った取組です。

地域住民を主な対象として、適切な距離感で地域に関わる方法を身に着けてもらうことを目的としており、2段構えのスタイルを取っています。

・見守りさん講習会

➤「健康へのおせっかい」を学び、適度な見守り・地域への関わり方を身につける。

・見守りさん活動ワークショップ

➤講習会参加者を主な対象に、実際の地域活動について情報交換をするとともに、関わり方のスキルアップを狙う。

まさに、『知る→参加する→参画する』の仕組みですね!

また、見守りさん講習会の内容については、このような形になっています。

講習会でのポイントは『コミュニティナース』です(ご存じない方は左記をクリックしてください)。

この取り組みに関しては昨年度より実施しており、講習会は3か所150名の募集に対して73名の参加、ワークショップに関しては3か所60名の募集に対して23名の参加だったと話を受けました。

初年度なため、今後の広がりに期待したいところですが、報告を受ける中で良いなと感じたのは、委託業者が大学生と繋がりがあったため、若い世代の受講者が多かったということです。

また、昨年度は委託業者に全てお任せでしたが、今年度は県も関わっていくと話を受けました。

課題としては講習会とワークショップ参加者のリンクが少なかったということだそう。

そのため、次からはそれぞれの開催時期を再考し、講習会を受講した方がワークショップに参加できるよう工夫すると話を受けました。

 

この説明の際、『適度な距離感』という部分について話が盛り上がりました。

池田さん曰く、適度な距離感とは『心地よい距離感』であり、具体的には『指示ではなく軽く背中を押す程度の距離感』だそう。

また、これを担える人をどれだけ増やせるかについて、いかに見守りのハードルを下げるか、小さなことでも良いので自分でできることに気づいてもらえるかがポイントだと話を受けました(自分の日々の行動が見守りになることに気付いてほしい)。

そのため、今後の戦略としては『広く浅く広げていきたい』と話しておられました。

確かに、『見守り』と気負うとハードルが上がり参加者は減りますが、『今していることでちょっと新たな視点を持つ』だと、“自分にもできそう”と感じてもらえそうですよね。

まさに、『一人ひとりができる範囲で支え合う』です。

また、この事業の素晴らしい部分は、(年月はかかりますが)事業の定着により、見守りの循環ができると住民同士の相互扶助が自動的に育成されそうだということです。

今後の活躍に注目したいと思いました。

 

③多職種による持続可能なネットワーク強化事業(多職種情報交換会)

最後の報告である多職種情報交流会について。

これは、ファシリテーター養成として持続できる体制づくりにも力を入れていると話を受けました。

多職種連携・協働の促進を目的として、下記の取組を行っています。

効果的な連携体制として、『顔の見える関係』『腕の見える関係』『腹の見える関係』を掲げており、この3つはとても分かりやすいと感じました。

(専門職である立場で)私自身、このような多職種連携は行政が行うからこそ参加率は向上し、結果、多職種が本当の意味で連携できる体制づくりができると考えています。

これを地域の職能団体や有志に油断てしまうと、残念ながら毎回同じ顔触れの意欲あるメンバーが集うことになってしまい、結果、地域全体でのボトムアップは図りにくいからです。

そういう意味でも、県として多職種連携を図ることで、より広範囲なつながりやノウハウを共有する場を創出する取り組みは、とても素晴らしいと感じました。

 

【住民をエンパワメントする視点】

今回の視察で一番勉強になったと感じた部分は、『住民の力を最大限引き出す(エンパワメント)視点で事業を組んでいる姿勢』です。

当区はありがたいことに人口が増え続けているため行政サービスは潤沢だと感じていますが、逆にこれが地域住民との協働を妨げている側面があると感じている私にとって、今回の視察は学ぶ部分が多く、大変勉強になりました。

そして、各圏域課題は違いますが、だからこそ各圏域ごとに取り組む市町村事業とは別に県の事業として取り組むことで、住民や専門職に圏域を超えた視点を持ってもらいたいという願いを感じました。

重ね重ね、今回の視察にご対応いただいた池田総括主幹と小山田副参事には感謝の気持でいっぱいです。

そして、今回の学びを当区で活かせるよう再度整理しながら、江東区がもっと豊かになるために何ができるかを考えていこうと思いました。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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