ブログへの訪問をありがとうございます!
今回は、前回の続きを書いていきます。
しつこく書いてしまいますが、議員の役割は区民の皆さまの声を代弁すると同時に、区政を区民の皆さまに伝えるという役割を担ってます。
その意味で、今回も拙い文章ではありますが、少しでも防災について区の想いと取組を知っていただき、より効果的に事業を進めるためにどうしたらよいかを一緒に考えていただけたら幸いです。
また、今回は説明が異常に長いので結論を先に書いてしまいますが、私たち江東区民は防災に関心があるからこそ、地域のつながりというものについて今一度考え、いかに地域を『自分事』できるかが大切かを実感しました。
今回説明をしてくださった両課長は区政を担う責任が強く主体的に取り組みを説明してくださいましたが、多分・・・恐らくですが、災害時は行政に何かを求めるのではなく『地域でお互いがいかに協力して乗り切るか』の話であり、行政はそれを支援することしかできないと感じています。
ではでは、長い長い公助の説明に入ります☆
【江東区防災の現状と課題】
前回は“自助・互助”に対する行政の支援について書きましたが、ここからは“公助”になります。
➀職員体制
令和5年度に震災BCPを改定し、全庁的な課題や各部の非常時優先業務を整理したとのことです。
上記に伴い、BCM(Business Continuity Management:事業継続マネジメント)委員会のもと、発災時に救助活動や行政サービスが継続できるよう、各部の主体的な体制整備や訓練実施を促していくと話を受けました。
➤危機管理体制の強化
続いて、危機管理体制の強化についてです。
危機管理室全体の即応力強化のため、現状の自然災害(防災課所管)とその他の災害・危機(危機管理課所管)の垣根を超えた組織体制を検討していると説明を受けました。
➤実践的な訓練
毎年1月の防災とボランティアの日(1月17日)のあたりで災害対策本部運営訓練を実施するほか、災害情報連絡員の参集訓練や無線等の避難所資機材取扱訓練などを実施していると説明を受けました。
災害時の頭脳を担う災害対策本部運営訓練は、より実践的な内容にしていただき、いざという時にしっかりと機能するような体制を整えていただきたいと思います。
➤江東区事業継続計画(水害編)策定検討
江戸川区が令和6年3月に水害編のBCPを策定したことを受け、江東区でも検討の必要性を感じていると話されていました。
➀~④の説明で感じたことは、『職員の数、足りていますか???』です。
職員整備については別の所管が担当となっているためこの勉強会で口にすることではありませんが、これから行う体制強化は高く評価しつつも、それなりの人材確保をしないと、オーバーワークになってしまうか机上の空論になってしまうのはもったいない。
課長ご自身が意欲的でフットワークも軽く、とても前向きに取り組んでおり、きっと課員の方々も課長と同じ想いで就業されていると思われるからこそ、頑張る人が疲弊しない体制を整える必要があるのではないかと感じました。
この辺りは8月にじっくり考え、必要であれば9月の一般質問で取り上げたいと思います。
②協定について
避難施設確保や物資調達など様々な協定を締結している江東区ですが、あえて、現時点で感じている課題を質問しました。
各協定について年1回締結継続を確認しているものの、内容や具体的な動きが不明瞭なものも多く、団体や企業側と内容の具現化に向けた協議が必要と感じていると課長より返答を受けました(あくまでも現課長が感じている課題です)。
また、能登半島地震により、自治体間協定の重要性が顕在化したことから、新たな自治体との協定の締結を検討する必要を感じたと話をされていました。
現在江東区では、栃木県大田原市、埼玉県秩父市、静岡県沼津市と協定を結んでいますが、今年の5月に各市を訪問し意見交換を行ったとのことでした。
これらを踏まえ、今後どのように自治体間協定を結んでいくのかいかないのかも含め、経過を見守りたいと思いました。
③国土強靭化地域計画
これは令和4年3月に国の要請に基づき江東区版を策定したものだそうです。
計画期間は長期計画に合わせ令和4年度から6年度となっているため、令和7年から11年度の改定を行っていく予定と話を受けました。
➃水害時の広域避難
江東5区(墨田区・葛飾区・足立区・江戸川区・江東区)で江東5区広域避難推進協議会を設置し、水害における広域避難の検討を行っていると説明を受けました。
この実施にあたっては、5区協議会のほか、国・都でも議論、検討がなされており、議論の内容については、鉄道会社などの関係機関の連携方法や広域避難施設の開設運営、住民への広報など細分化・具体化して来ているようです。
また、令和5年度には江東5区で初動の図上訓練を実施したと説明を受けました。
確かに、災害となれば江東区だけでなく周辺地域との連携は必須になるため、とても素晴らしいと思いました。
具体的な検討が進んでいるからこそ、訓練実施を重ねながらいざという時に発動できる体制を整えていただきたいと期待を持ちました。
また、現時点でもいくつか論点はあり、解決に向け検討が進められているとのことで、その一部を教えてもらいましたが、なかなかにして解決にはかなりの力を要すると感じ、改めて防災課や危機管理室の職員体制の見直し必要を感じました。
⑤避難所運営
ここについては、興味のある方も多いのではないかと感じています。
各項目について受けた説明を書きつつ、少し説明を受けての感想を入れています。
➤連絡会(年1回実施)
学校避難所運営協力本部連絡会について、全小中学校での開催を目指しているようです。
連絡会の内容としてはマニュアルの読み合わせや備蓄確認とのことですが、より現実的な計画として見直すことを提案させていただきました(具体的な避難所内区分けについて話し合う等)。
また、避難所に必要になるであろう看護・介護職などの確保もマニュアルを見直す中で整備に向け検討していただくよう提案させていただきました。
➤訓練の実施
令和5年度より、それまでの総合防災訓練(地域訓練)の内容を大幅に見直し、避難所開設運営に特化した訓練を開始いたと説明を受けました。
また、区職員や学校職員のマンパワーが不足した状況下においても地域主体で避難所が立ち上がることが目的で、令和5年度はモデル実施として、従来の地域訓練と同規模(4校)で行い概ね好評だったと報告を受けました。
令和6年度は7校(5月~12月にかけて)で実施予定とのこと。
これは現実に即した訓練で、とても良い事だと思います。
同時に、個々が訓練を実施するのではなく、各訓練の実施結果を集約/改善しながら、訓練のアップデートを図っていただきたいと思います。
➤マニュアルの見直し(本部長の位置づけ)
本年度は、避難所運営管理マニュアルや学校防災マニュアルを見直すとの説明を受けました。
その際、避難所運営管理マニュアルに関わる部分として、そもそもの組織体制についての疑問が会派メンバーから挙がりました。
江東区では避難所運営の本部長を学校長が担っていますが、学校長は区内に在住していない方も多く、現実的に考えると学校長が本部長を担うということは困難なのではないかというものです(23区中、学校長を本部長にしているのは4区しかないとのこと)。
これに対しては、地域コミュニティの希薄化などの課題があるとの回答がありましたが、せっかくマニュアルを見直すのであれば、現実に即した有効なマニュアルを策定していただけるようご尽力いただきたいと思いました。
また、避難所には、区の職員がまずは3名ずつ配置されるよう整備されているとのことで心強いと思いました。
➤避難所運営サポーター
地域防災力の維持・向上を図るために新たな担い手発掘を目的として、若い世代(18歳~29歳)に着目し今年度から始まった避難所運営サポーター。
城東地区の拠点避難所(35校)に1名ずつ配置を予定しましたが、令和6年度の募集人数35人に対して、今のところ応募は13名。
こちらは通年募集中なため、一人でも多くの応募者が増えることを願っています!
そして、区内全域で69か所ある拠点避難所に対し、初年度の応募数が予定に達していないという現状に対しては、区の責任だけにするのではなく、私自身も発信が足りていないと大いに反省すると同時に、どうしたら応募が増えるか、様々な区民の皆さまの声を聴きながら考えたいと思いました。
➤公衆無線LAN
公衆無線LANについて、拠点避難所69校分の維持管理経費を計上しており、アクセスポイントは体育館と昇降口の2ヶ所で、アクセスポイントから30m以内で利用可能となっています。
一度に利用できる人数(台数)は200台程度であり、案内は多言語対応しています。
・・・という現状を基に、年間の維持管理コストについて会派から質問がいくつか挙がりました。
光サービスのみでなく衛星通信なども視野に入れ、災害への強靭性・コスト・使い勝手を加味しながら、情報通信のネットワーク再構築の必要性を検討する必要があると意見でまとまりました。
⑥帰宅困難者対策
令和4年5月に発信された首都直下地震等による東京の被害想定によると、都心南部直下地震が発生した場合に江東区の帰宅困難者は約23万7千人生じるとの見込みになっており、これは前回の想定から大幅増加となったと説明を受けました。
上記を受け、大きく2つの項目について現状を聞きました。
➤駅前滞留者対策協議会の設置について
帰宅困難者対策の区の役割として、駅前滞留者対策協議会の設置があり、都内では50以上の駅で協議会が設置されているものの、江東区では設置がないと説明を受けました。
協議会の構成員は鉄道事業者、駅周辺の事業者、消防・警察等であり、誘導計画の策定や訓練の実施をするようです。
発災時の駅前滞留者への情報提供や誘導は区の役割となっているため、具体的な検討や対策を進めるために、まずは協議会の設置が必要だと感じました。
➤一時滞在施設の確保について
帰宅困難者を受け入れる一時滞在施設について都立施設が確保されていますが、区でも民間企業との協定により確保を進めていると説明を受けました。
区が確保している一時滞在施設の収容人数は5千人弱ですが、都立施設を足しても収容人数は不足していることは明らかであり、協定等により引き続き施設確保が必要になると説明を受けました。
23万7千人に対しての5千人弱のサポート体制では確実に不足しますね。
とはいえ、この数字をそのまま捉えて大変だと考えるのは早計で、大企業など社内で避難できる人を省いた人数(いわゆる社内避難が困難な人や観光客など)の確保は早急に行うなど、整備の際は優先順位をつけながら進め、その上で全帰宅困難者をカバーできる体制構築など、現実に即して進めていく必要があるのではないかと説明を聞きながら感じました。
⑦情報通信
江東区は、令和6年度に災害情報システムを再構築することが決まっています。
その際のポイントとしては下記の説明を受けました。
◆防災ポータルサイト及び防災アプリのデザイン性及び機能向上により、誰にでもわかりやすい災害情報
◆各種情報発信ツールの一括配信
◆避難所開設情報の文字及び地図でのリアルタイム配信
◆ネット回線が生きていればID付与などにより、避難所や協力団体など関係機関での災害情報の共有やチャット等によるコミュニケーションの実施
また、課題に対しては下記内容を受けました。
◆(クラウド型を活かすために)災害に強い回線の確保と通信設備の電力確保
◆啓発内容(コンテンツ)充実に伴う現行ホームページ構成の見直し
災害時は情報がとにかく重要。
この部分に関しては妥協することなく取り組んでいただきたいと思います。
同時に、いくら情報通信を整備しても区民の皆さまが主体性を持って確認してくれなければ意味はありません。
私たち自身も、日頃から積極的に防災情報を取りに行くよう、意識啓発の重要性についても改めて考える必要があると感じました(どうやって情報会得の啓発をするか)。
⑧備蓄
現在、食料は都と区で3日分を備蓄となっていますが、江東区では避難生活者の1日分の食料と、帰宅困難者の1食分を備蓄している現状があります。
また、令和5年度には防災授乳服及び液体ミルクの備蓄を始め、令和6年度には紙おむつ等の生活必需品の増強と段ボールベッドの新規配備等を行うこととしています。
今後については、他都内自治体では半分ほどが3日分の食料を備蓄している現状を鑑みた時、江東区として何日分の食料を確保することが良いのか考える必要があると感じました(充足すれば安心だ、が費用対効果を考えながら進めることが必要)。
個人的には、都区の役割分担が不明瞭なため、まずはここを明確にして不足分をどうするのかを考えるのが現実的だと感じました。
また、一つ重要な点として、江東区が備蓄しているのは『区民全員の1日分』ではなく『避難生活者の1日分』という部分です。
ここは要注意で、改めて、まずは自分で自分の食料は準備しておくことの重要性を認識しました。
➤備蓄の増強
これは、都区の役割分担も踏まえながら、なるべく自区内備蓄を増強する方向で検討していると説明を受けました。
また、その際に、備蓄スペースや荷捌き場の検討、消費期限等のある物資の有効活用策も併せて検討するそうです。
トイレについては、携帯トイレの増強を図っていますが、国のガイドラインを踏まえ必要数や備蓄のあり方等について検討が必要と話を受けました(東京都は令和6年度にトイレ計画を策定する予定で、区は連携しながら検討をする予定とのこと)。
➤新たな倉庫整備
備蓄物資の充実を行う場合には、防災倉庫の整備や物流拠点として運送会社の物流センターの活用検討も必要になるという説明を受けました。
確かに!
食糧備蓄を1日から3日にすると、その分の倉庫が必要になりますが、全体のバランスを見ながら検討を進めている様子がよくわかりました。
また、物流センター活用検討については、全国規模の企業は既に東日本や能登半島の経験を活かして対策を考えているだろうから、積極的に進めてほしいと思いました。
➤防災備蓄倉庫の水害対策
江東区における学校の備蓄倉庫は学校敷地の1階に設置されていることが多い(約3分の2が低層設置)のですが、令和4年度に浸水エリアの小中学校に対し、上層階への移設の可否について調査し、移設が可能な学校について、順次上層階への移設を行っていると説明を受けました。
ちなみに、移設困難な学校は、発災時に避難者等が人海戦術で物資を上にあげることになるようです。
また、防災倉庫についても、基本的には水害を考慮した設計にはなっていないようで、今後整備していく場合には、非浸水区域・高さでの整備が基本となりますが、既存の倉庫はハード面での対応は難しいと説明を受けました。
※この部分を含め『対応困難』な部分についても、江東区は諦めることなく『どうすれば解決できるか』を前向きに検討していることを併せてご報告します。
⑨総合防災訓練
昨年度は8月下旬という暑さ真っ盛りに実施しましたが、年々深刻化する猛暑の影響を考え、令和6年度は11月17日(日)に開催することとなった旨説明を受けました。
内容や運営方法は、レイアウトの工夫や啓発強化など検討するとのことです。
参加者の声を聴きながら、積極的に改善を図る姿勢を素晴らしいと感じました。
⑩消防団
管轄が消防署になるため、区としては消防団活動の円滑な遂行を図るための補助金支給、資機材の供給や優良消防団員の表彰等を行っていると説明を受けました。
また、分団本部がない団に対して、施設整備は消防署が主体となりますが、区としても協力し適地を探すと話を受けました。
⑪要配慮者対策
ここについては、議員になる前から行政に訴えていた部分であり(福祉専門職として取り組んでいました)、少し丁寧に記載します。
江東区では、高齢者・障がい者など避難の際に支援が必要な方の名簿(避難行動要支援者名簿)をまとめ、学校(拠点避難所)、警察署、消防署等に配布しています。
また、『外部提供同意書』を提出した方へは、災害協力隊が訪問調査等により『個別避難計画』を作成しています。
令和3年度の法改正で個別避難計画の作成が市区町村の努力義務となり、さらに国は計画促進に向け、福祉専門職等や地域住民との連携を盛り込んだ指針を出しました。
現状、江東区では、福祉の知識や情報のない災害協力隊が要支援者の心身状況や生活実態等、個別避難計画作成に要する情報を把握・管理することが難しいことや、作成を担う災害協力隊自身の高齢化などが課題になっています。
また、要配慮者の受け皿となる福祉避難所について、国は福祉避難所への直接避難を促進しているものの、区の福祉避難所の受け入れにあたっては、マンパワー、スペース、備蓄について課題があるとされています。
これらの課題を含め、令和6年度より、災害時要配慮者担当課長及び担当係長を設置し、要配慮者全般の対策を全庁挙げて推進することにしました!
これは素晴らしいことで、江東区の防災を進める上で、大きな一歩になりました(とても高く評価しております)。
実際の推進内容については下記のとおりです。
➤個別避難計画の策定推進
令和6年度より浸水地域の障がい者を対象に、個別避難計画策定における福祉専門職の活用を予算化しています。
8月頃から事業所へのマッチングを開始し具体のスキームを検討していくとともに、今後、対象者の拡大も検討していくと説明を受けました。
また、高齢者の計画策定については、福祉課と協議しながら障がい者と同様に福祉専門職の活用による計画、策定を進めていくと話を受けました。
※この部分については以前から提案していた事案なため、私も可能な限り行政と専門職との架け橋に努めます。
➤福祉避難所の拡充・体制整備
既存の福祉避難所の実情を精査し、実効性強化に向け、備蓄物資の整備や介護事業所等との協定による体制(マンパワー)の検討や福祉避難所の拡充を図ることの説明を受けました。
➤乳幼児、外国人対策等
ほか、要配慮者としてこども未来部(乳幼児)、地域振興部(外国人)、健康部(難病・精神)などについても、各部署で対策が進むよう、コーディネートしていく旨の説明を受けました。
具体的には、啓発の他、避難所等で必要な物資や掲示の充実や、今年度からは避難所管理運営マニュアルの落とし込みを行っていくと話を受けました。
余談(⁉)ですが、ペット対策として、江東区は“避難所にペットを連れてきて良い”としています。
【説明を受けて】
いやはや・・・今回の報告を書くことに5時間以上かかってしまいましたが、無事に書き上げることができて良かったです(字数は既に7,700字を超えるという恐ろしさ)。
最後に、防災課・災害時要配慮者担当の両課長より区民の皆さまへのメッセージをいただいたので、報告させていただきます。
区としても対策を進めていきますので、皆さまも防災意識を高めていただけたら幸いです。
両課長とも謙虚な方々なため短いメッセージですが、非常に強い想いを感じると同時に、今年度、防災に更なる強化を図る中、両課長が防災の担当を担っていただいていることについて、非常に心強く感じました。
防災というと、いつ来るかわからないからこそ備えが必要ですが、一方で、日々の多忙さに追われると改めて備えや対策という行動が後回しになってしまいます。
今回は、江東区の防災に関する最新状況や課題を教えていただいたため、ぜひこれを機会にご自身の災害時の自助・互助について意識を高めていただけたら幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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